サステナブランドは“まだ”買えない。 Z世代、消費のリアル

あらゆるメディアで語られているZ世代の特徴や消費に対する価値観。多種多様なデータが世に出ているがゆえ、「結局、Z世代ってどんな特徴があるの?」とわからなくなってしまうことも多いのでは。
実際、Z世代全体として言える特徴としてはどのようなものがあるのか。また、その特性の中でも実際に消費行動に影響を与えるものは何なのか。ここではZ世代の特徴を改めて再確認し、最新の消費動向をひも解くべく、SHIBUYA109エンタテイメントの長田麻衣氏が解説する。

※本記事は『Z世代のリアル~私たちが共感する企業 届くマーケティング~』の転載記事です。

 

SHIBUYA109エンタテイメント
ソリューション戦略部
SHIBUYA109 lab.所長
長田麻衣氏

 

社会課題への「配慮」が「当たり前」になった世代

最近のマーケティング事情が語られるとき、キーワードのひとつとして「Z世代」という言葉がよく出てきます。Z世代とは、1990年代後半~2000年代前半に生まれた人々を指す言葉。今後の社会と消費を担う世代として注目されています。

彼らは幼い頃からデジタルのある生活に慣れ親しみ、環境問題やジェンダーなどの社会課題にも敏感。一方であまりモノを買わないと言われています。これまで企業がマーケティングの対象として見てきた、生活者とは少し異なる特徴があるということで、日本のみならず世界のマーケターが彼らの価値観に注目しています。

シェアリングエコノミーの台頭に象徴されるように、Z世代はモノに対する所有欲が低い。先述のようにモノを買わない世代と言われます。それでは、先述したこれらのZ世代の特徴は、彼らの消費行動にどう結びついているのでしょうか。イメージ通り、本当に社会課題に対する意識が高いのであれば、エシカル消費をはじめとする購買行動の特性が見られるはずです。

結論を言えば、こうしたZ世代の特性は、必ずしも購買行動に直結しているとは言えない面もあるというのが私の考えです。ここからは、私が実際に聞いたZ世代の声を参考に、彼らの性格から消費をひも解いていきます。
 

彼らの性格や特徴が必ず消費に結びつかない3つの理由

現状のZ世代の消費について、押さえておきたい3つの特徴を解説していきたいと思います。

① サステナブルブランドを購入するZ世代は“まだ”少ないこと

昨今「Z世代向け」と称し、アパレルや日用品をはじめ、サステナビリティやエシカルをテーマにした商品・サービスを展開するブランドをよく見かけるようになりました。

ですが、サステナブルブランドを実際に購入しているZ世代は“まだ”多くないというのが実情。その理由は商品のビジュアルがZ世代好みではないものが多いこと。そして、もうひとつネックになっているのは価格です。

Z世代と呼ばれている生活者の2023年時点の年齢は、18歳~26歳くらい。高価格帯の商品を買うには十分な収入が得られていない学生や若手の社会人が中心です。高価な商品が多いエシカルやサステナビリティを意識した商品は“まだ”消費の対象外と言えると思います。

とはいえ、SDGs目標達成が迫っている今、サステナビリティへの配慮は企業にとっても最重要項目のひとつ。生活者のエシカル消費を促進する商品開発は急務であると言えます。

Z世代の消費者も、サステナビリティに関心がないわけではありません。ただ、価格が壁となって“まだ”購入を考えていないとなると、Z世代のみならず、誰しもが容易に購買できるコスパがよい商品を市場に送り出すための開発技術を成長させることも、企業のミッションだと言えるのではないでしょうか。地球を守る活動の手段を商品やサービスという形で提案できることが求められているのだと思います。

② ECと実店舗の使い分け

Z世代の生活者はデジタルネイティブとも呼ばれ、幼い頃からインターネットやSNSに触れて育ってきました。それゆえ、たしかにZ世代は、ECで買い物をしています。ただ、実店舗を使わないわけではなく、ECとうまく使い分けているのです。この“使い分け”の背景には――、

本記事の続きは、「Z世代のリアル~私たちが共感する企業 届くマーケティング~」で!Z世代編集者が担当した、「Z世代ムック」。購入はこちらから
 

『Z世代のリアル
~私たちが共感する企業 届くマーケティング~』

<本書の構成>
PART1
有識者が語る、Z世代の特徴
・サステナブルブランドは“まだ”買えない。Z世代、消費のリアルを読み解く
SHIBUYA109 lab.所長 長田麻衣
・表面的なサステナブルはむしろ逆効果 必要なのは企業のスタンスを示すこと
博報堂 ミライの事業室 牧島夢加
・コンテンツ大量消費時代を生きるZ世代 自分ごと感を生み出す「動画」
SNSトレンドマーケティング協会 代表理事 椎木里佳
 
PART2
米国のZ世代事情/松本泰輔
・Z世代、90年代にハマる 広告業界はノスタルジア・マーケティングブームに
・「Z」の次は「アルファ世代」 続々とアプローチを開始する米企業
 
PART3
Z世代のリアルな消費とSNS活用
・買う/買わないの判断軸はどこにある? 現役大学生の買い物事情
・Z世代は今、SNSをどのように活用するのか
 
PART4
6人の若手が考える、これからのマーケティング
・「ナンバーワン」も「みんな一緒」も求めていない 購買行動と潜在ニーズから捉えるZ世代ビジネスの在り方
僕と私と 代表取締役 今瀧健登
・YとかZとか置いといて、昨日こっそり食べた「P」が知りたい
スマイルズ 津田ひかる
・“トキ”という体験価値を売るテーマパーク
コンテンツの多様化が広がる今だからこそ「リアルな体験」を提供する
・売っているのは社会に“なくてもよいモノ”
「機能」以外の“+αの価値” 「情緒」に訴えかけるマーケティングをしたい
JT 黒髪祥
・生産者の「想い」で心を動かす 営業がない企業の代表が考える新たなビジネス観とは
イノベーションチームdot /dot 代表 冨田侑希
・化粧品が「美の押し付け」にならないためにメッセージ発信のときは常にダイバーシティへの配慮を忘れない
ポーラ 石崎眞里奈
 
・新定義 Z世代のリアル
マーケター・起業家座談会
Z世代が思う、「Z世代」とは?
 
PART5
若手マーケターが師匠に聞きたい、「企画」と「マーケティング」
・Z世代の企画屋がカヤック柳澤氏から学ぶ
面白さを追求しながらも愛される企画と会社
カヤック 代表取締役 柳澤大輔、僕と私と 代表取締役 今瀧健登
・自分自身を「マーケターだ」と思い過ぎて生活者をフラットに見れなくなることを恐れろ
サントリー 酒巻真琴、JT 黒髪祥
 
PART6
今後に大注目、Z世代クリエイターの感性
・個性は無理につくるものではない 自分自身もイラストも等身大で表現していきたい
イラストレーター ヨシフクホノカ
・映像好きとつながる、作品をつくる、公開する、反響をもらう……
病みつきになるほど楽しいサイクルの裏にはいつもSNSの存在があった
カメラマン/撮影技師 林大智
 
PART7
Z世代の起業家が考える社会とビジネスのこれからの関係
僕と私と 代表取締役 今瀧健登
Essay 代表取締役 CEO 江連千佳
Follop 代表取締役 CEO 富山知輝
 
PART8
Z世代向けキャンペーン秀逸事例10選
NTTドコモ/大塚製薬/本田技研工業/Tinder/日本ハム/サンリオ/イグニス イオ×異次元TOKYO/
ハナマルキ/カシオ計算機/明治
 
PART9
Z世代 まるわかりデータブック
 


 

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