ハンドソープ市場を拡大した「キレイキレイ」ヒットの仕掛け

1997年に誕生したライオンのハンドソープ「キレイキレイ」は、 固形石鹸が主流だった手洗い石鹸市場を大きく変える商品となった。25年を超えて愛される「キレイキレイ」について、ブランドマネジャーの小西真梨氏に聞いた。

『販促会議』人気連載「ヒットの仕掛人に聞く」では、いま話題の “ヒット商品” の 仕掛け人が開発の背景やプロモーション戦略を明かします。

※本記事は、2023年3月1日発売の『販促会議』2023年4月号の転載記事です。

DATA

販売名:キレイキレイ薬用ハンドコンディショニングソープa
(医薬部外品)
小売価格:オープン価格
主な販路:ドラッグストアなど
 

今月の仕掛人

ライオン
ハウスホールド事業本部ビューティケア事業部
キレイキレイグループ マネジャー
小西真梨氏

 

ハンドソープ市場を拡大したキレイキレイ

─あらためて25年前の誕生経緯を教えてください
「キレイキレイ」が誕生したのは1997年です。その前年、大阪でO157による集団食中毒事件が発生し、清潔に対する関心が高まっていました。親はしつけとして手を洗ってほしい、一方の子どもは押しつけを嫌がるという負の連鎖がありました。

当時、実際に手を洗う場面ではまだ 固形石鹸が主流でした。こうした市場 環境で、「キレイキレイ」は手洗いの習 慣化を社会的使命として開発しました。全ての人が自発的に手を洗い、その習慣を家庭に浸透させるためには “バイ菌は怖いもの” という恐怖訴求よりも、手洗いを少しでも楽しい行為にすることが必要だと考えました。

そこで家族の清潔と健康を願う母親の愛情を意識したキャラクター「キレイママ」を起用しています。「キレイキレイ」という商品名も「〇〇しようね」と動詞化できるような言葉として選ばれています。手を洗う行為と商品名がリンクし、キャラクターも含めて楽しい習慣になればという思いが込められています。

─すぐに消費者に受け入れられたのでしょうか。

「キレイキレイ」の登場によってハンドソープ市場は一気に拡大、使用率も上昇しました。発売開始後しばらくして売上シェアナンバーワンを獲得。 2000年代に入ってからは現在までの21年間トップの座を維持しています。
※2002年1月~2022年12月シリーズ累計販売金額 インテージSRIハンドソープ市場(ボディ石鹸除く)

1997年に誕生した「キレイキレイ」。「薬用」としての機能を備えつつ、手洗いを習慣化することを目指す「楽しく洗えるハンドソープ」という地位を確立した。

消費者、販売店のニーズに応える新商品

─2020年の3月にはハンドコンディショングソープを発売しています。

コロナ禍の発売になりましたが、コロナ禍を意識して開発したわけではありません。ハンドソープ市場では低価格帯アイテムが9 割を占めるようになり、購買単価の低下がメーカー、販売店の課題となっています。

そこで消費者のニーズに応え、販売店の課題も解消するようなアイテムが必要でした。 18年の当社調べでは、菌から家族を 守りたいと思う子育て女性は約9 割存在しており、きちんと殺菌したい半面、手の乾燥や手荒れが気になると回答していることもわかりました。

そこで、キレイキレイの強みである、殺菌力、石鹸成分による汚れ落ちと、当社の技 術である手肌のうるおいを保つ吸着保 湿技術を兼ね備えた「キレイキレイ薬 用ハンドコンディショニングソープ」 を開発しました。

デザイン面では、清潔感や安らぎを 表現するマットな乳白色や柔らかなシェイプのボトルで、家の洗面所で自然 になじむようにしました。発売開始後、順調に販売数を伸ばしており、販売店 の購入単価アップにも貢献できていると感じています。

2020年に発売した「ハンドコンディショニングソープ」は、シンプルなボトル形状もあり人気を集めている。店頭での視認性よりも、生活に寄り添う色、ボトルデザインを選んだ。

 

……本記事の続きは、『販促会議』2023年4月号で読むことができます。

月刊『販促会議』2023年4月号

 
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