企業の存在理由を「パーパス」として各社が言語化している。その影響は、学生の就職先選びにも及んでいる。2022年11月に学情が発表した調査によれば、6割の学生が、「パーパス」を知ると「志望度が上がる」と回答(有効回答数370)。「パーパスを通して、企業が事業を展開する目的を知りたい」「企業が目指す方向性と、自身の関心が一致していると志望度が上がる」といった声が挙がっている。
では、どのような企業のパーパス・理念に学生の関心が集まっているのか。マーケティングイベント「Advertising Week Asia」では、「学生と選ぶ ベストパーパス・プラクティス」を2022年に初開催している。事前審査を経て、36大学150名による投票で最も票を集めたのは、「水と生きる」をグループの約束に掲げるサントリー。続いて「Follow Your Heart」をビジョンに、「まだ、ここにない、出会い。」などをミッションに掲げるリクルート、「声のする方に、進化する。」を理念とするワークマンが選ばれた。なお学生は、「共感(ワクワクするか?)」「成長性(入社したいと思うか?)」「ファン度(商品・サービスが好きか?)」の指標から投票を行っている。
「水と生きる」という言葉からは、資源である水を守り、育む、自然への想いが感じられるが、加えて「水が渇きを癒し、潤いを与えるように、商品やサービスを通じて豊かな生活文化の創造に貢献する」「水のように柔軟に常に新しいテーマに挑戦し、新たな価値を創造する企業であり続ける」といった考え方も込められているという。理念体系においては、「やってみなはれ」など事業の原動力となる価値観や、「自然を尊敬する」といった日々実践していくことをまとめた「グループWay」も設定されている。
サントリーのグループ従業員の海外比率は約半数にのぼる。海外を含め「水と生きる」を浸透させていく取り組みについては「学生と選ぶ ベストパーパス・プラクティス」サイト内のインタビュー記事が詳しい。
理念を従業員が理解し実践する。そうして生まれた商品やサービスが顧客に届き、そこからは理念が感じ取れる。この好循環が起きれば、学生に対しても企業の方向性がより伝わりやすくなる。