ロボコの人格を主体にした広告
美少女メイドロボ「オーダーメイド」が一家に一台普及した時代。平凡な小学生である主人公・平凡人(たいら・ぼんど)の家にも、念願のオーダーメイドが来ることになり、凡人は心躍らせていた。
しかし、実際に家に来たのは、一般的なオーダーメイドとはかけ離れた、屈強で料理や掃除などの家事が全くこなせないオーダーメイド「ロボコ」。想定外で規格外なメイドロボ「ロボコ」と心優しい凡人との日常を描いたギャグ漫画は、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で2020年7月から連載中だ。
今回の広告出稿に至ったのは、『僕とロボコ』のテレビアニメ化(テレビ東京系列)のタイミングで「ファンの盛り上がりをつくりたい」という想いから。「ロボコは個性が非常に強く、メタ的な発言も多いキャラクターでした。だからこそ、広告においても主語をロボコにすること、ロボコが実際にやりそうなこと、をベースに企画を考えました」と広告を手がけたCHERRY のプランナー 川上大稀さん。
そこで出た企画が、今回の「僕とロボコミニ枠ジャック」。消火栓標識、川崎市のホームページのバナー、新聞のラテ欄、ヤマダデンキの店頭に設置されたテレビモニターを使った広告媒体「Y-Vision」など、ニッチで小さな広告枠にロボコ自身が出稿するという内容だ。さらにロボコ自身が公式Twitter で、「正直そこまで予算がないんです」と自虐するというメタ的な構造をつくりあげた。
そもそもこの文脈が成立するのは、作品としてはもちろんのこと、「ロボコ」というキャラクター自体の癖が強く、ロボコのファンも多いから。公式Twitterも編集部からの発信ではなく「ロボコ」の人格として発信しており、多くのフォロワーがいる。ロボコはTwitterでエゴサーチをすることでも有名で、ファンもあえて投稿文面に「ロボコ」というワードを忍ばせ、ロボコに見つけられることを楽しんでいる。
そんな背景を活かし、今回は「ファンと一緒に盛り上げていく」という構造にした。広告のクリエイティブも、漫画の中で描かれているロボコの人格を主体に。客観的に作品の面白さを伝える広告よりも、ファンの人々にはロボコらしいものが喜ばれるのでは、との考えからだ。
「今回は予算面での制約もあったので、ロボコならこんな状況に置かれた際に、見栄を張って手を替え品を替えアニメ化の告知はするけど、最終的には他の作品の大きな広告を見て悔しがるのではないかなと(笑)。そこで、たとえば『アニメ化なのに枠が小さい…』と小枠で嘆くといったように、さまざまなミニ枠でロボコらしい自虐的展開を行いました」(川上さん)。
アニメ化というタイミングで、自虐的な発言をしそうな、ロボコならではの表現となった。
媒体ごとの愛称や独自の表現を模索
各「ミニ枠」にも、実はそれぞれ意味が込められている。消火栓広告はアニメが“炎上”しないようにという願い、川崎市は作者の出身地であること、ヤマダデンキはロボコが家電であることなどに結び付け、全ての広告枠に作品と繋がる理由を付けた。
(……本記事の続きは「デジタル版」をご購読いただくとご覧いただけます)。
▼そのほか「ブレーン」2023年4月号の記事はこちら。
「ギガ死に負けない」mineoの強みを疑似体験できるOOH トイレ広告も活用
USJ「ユニ春2023」で学生向けトレインジャック YOASOBI楽曲をCMに
月刊『ブレーン』2023年4月号
【特集】
日本発マンガ・アニメ市場を活性化する
クリエイティブの力
・講談社『東京卍リベンジャーズ』
「日本リベンジャーズ」、「日本リベンジャーズメーカー」、最終巻発売告知
・『ONE PIECE FILM RED』
「ONE PIECE TIMES SQUARE TAKE OVER」
・集英社『僕とロボコ』
「僕とロボコ ミニ枠ジャック」
・サントリー食品インターナショナル「THE STRONG 天然水スパークリング」×『ストリートファイターⅡ』
・バスクリン「きき湯ファインヒート」×テレビアニメ『呪術廻戦』
・HENNGE「HENNGE One」×「ウルトラマン」
・盛り上がるマンガ・アニメ起用の広告 企画者が考えるべき5つのこと/文:野澤智行
【第10回BOVA】
応募総数発表
【UP TO WORKS】
・ライフカード「Life CARD 僕ら以上の僕ら。」
・森永製菓「よび覚ませ、集中力。」
・トヨタ自動車「プリウス NEW PEOPLE」篇
・オープンハウス「地底人」篇
・日本マクドナルド「ティロリミックス」
・日本マクドナルド「アジアンバーガーズ アジアのジューシー」篇、「アジアンごはん アジアの晩飯」篇
・野村ホールディングス「第35 期竜王戦・就位式広告」
・エクシング「気づけば笑顔。カラオケは全ての歌が応援歌。」
・ロート製薬「今すぐ正月メタボチェック」
・東急百貨店本店「『THANKS&LINK』東急百貨店本店 最後の屋外広告」
【SPECIAL】
・注目のクリエイティブチーム/サンデザインアソシエーツ
・ブランドアクティベーションを実行するクリエイターたち/大広WEDO
・BRAIN クリエイティブパートナーズ/フォントワークス
・U25 Creative プロジェクト/シチズン時計×アミューズ
【青山デザイン会議】
「世界の見え方が変わる 地理・地図から生まれる発想」
今和泉 隆行×高橋真知×柳瀬博一
【PICK UP】
・ユー・エス・ジェイ/ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
「ユニ春2023 忘れられない春が要る。」
・オプテージ/mineo
「月末の叫び」「スッキリいこう。」