アプリの収益化、どうする? 広告を入れてもタウンWiFiユーザーの満足度が高い理由

ユーザーに損をさせない

街ナカのフリーWi-Fiに自動でつながるアプリ「タウンWiFi by GMO」の日間アクティブユーザー(DAU)平均収益が、2021年8月から22年3月にかけ、8倍以上に増加した。AppLovin(アップラビン)のアプリ開発者向け広告収益化システム「MAX」を導入した結果だ。広告を入れてもユーザー離れは起きないか……? GMOタウンWiFi 中馬隼人氏は、「ユーザーからの反響はいい。レビューの評価も高い」と話す。

23年3月時点のタウンWiFiのMAUは約220万人。月間で新規インストールが約20万件、延べダウンロード件数は約1300万件に上る。飲食店や交通機関、市区町村などが設置しているWi-Fiに、パスワードや生年月日を入力する手間なくつながる点がメリットだ。

接続のたびにAmazonギフト券や「nanaco」などと交換可能なポイントも付与される。広告の掲載を始めたのは、このポイント還元の原資にするためだ。

広告導入によるユーザー離れの防止について、中馬氏は「単に広告を取り入れるだけでは、ユーザーにとっては相対的にアプリの利用価値が下がってしまいます」と話す。


「ただ広告を入れるだけでは、ユーザーからは何か損をしているかのような見え方になります。それまでは広告を見ずに使えていたアプリだからです。『タウンWiFi』におけるポイント付与のように、新たな価値の追加をすることでバランスが保たれます。『タウンWiFi』ではさらに、ポイント原資を捻出するため、という経緯をユーザーの皆さまにお伝えしました」(中馬氏)

実際、ポイント付与はニーズの高い機能だった。ポイントに限らず、新しい機能を追加する際は、「アンケートやインタビューを実施するなど、事前にニーズを確認するようにしている」という。

改善点はすぐアプリに反映

中馬氏がAppLovinの「MAX」を選んだのは、ある開発企業に勧められたことがきっかけ。「タウンWiFi」にポイント付与機能を追加するにあたって、いわゆる「ポイ活」(=消費者がポイントを集める活動)アプリに相談しに行ったところ、「MAX」の名前が挙がった。

GMOタウンWiFiの創業は2015年。当初から収益モデルを決めていたわけではなく、「スマホユーザーがいつでもインターネットに接続できるような状況をつくろう、というビジョンありきでした」(中馬氏)

「もちろん企業ですから、ビジネスの継続性も重要ですし、ユーザーにとっての価値向上のために機能追加や改善も必要です。アンケートでポイント機能のニーズが高いことがわかったので、追加しようと考えたときに原資が必要だと。そこでポイ活アプリを開発・運営している企業に話を聞きに行きました」(中馬氏)

仮にいま、逆の立場で別の企業から相談されたら、『MAX』を勧めるか――そう尋ねると、中馬氏からは「はい、『MAX』を使えばいいと思います」と屈託のない回答が返ってきた。

「少なくとも『タウンWiFi』にとってはよい判断だったのかと思います。当社は30人もいないような規模で、広告運用に限りませんが『◯◯だけ担当している』という単一タスクの人間がいないんですね。なのでまず広告運用の容易さ。それから、手数料がかからないという点も魅力的でした。広告を見てユーザーがどう反応するかもわからなかったので、始めやすく無料のところで、まずは導入してみよう、と」(中馬氏)

導入してみて実感したのは、「サポート体制の厚さ」だ。AppLovinの高木利奈氏は、「すばやく改善をくり返す場合は週次で、最初に時間をかけて構築し、効率よく自動化していきたい場合などは頻度にこだわらずミーティングを実施しています。『タウンWiFi』の場合は前者に該当します」と話す。

「わからないことがあるとすぐ質問をしているのですが、返信がとても早い印象があります。わかったらすぐ反映なり調整なりしたい、という状況なので、僕らの足りない部分をフォローしてくれていると思っています。そういう意味でも替えのきかない存在です」(中馬氏)

「MAX」導入後も広告掲載の改善のための打ち合わせを重ねた結果、eCPM(有効インプレッション単価)は2021年7月から9月の2カ月経過時点で60%以上伸長した。


「毎週のように打ち合わせをしてA/Bテストの結果について話し合い、ベストな設定の模索を一緒にやらせていただきました。『タウンWiFi』に限らず、広告運用を担当されている方は多忙な状況が多いので、成果をあげるためのサポート体制は、これは比較点としても当社の強みだと考えています」(高木氏)

掲載側が取るべき姿勢

「MAX」はいわゆる「ハイパーカジュアルゲーム」(対象ユーザーを選ばず誰でも遊べるゲーム)のほか、「ポイ活」系、コミック系、金融系など、「広告による収益化をしているアプリでは幅広く導入されています」と高木氏は話す。

中馬氏から「MAX」導入への相談があった際も、「ポイ活」系アプリでの広告収益化の実績のほか、ベンチマークとなりそうな類似ジャンルで収益を大きく伸ばしているアドネットワークや平均CPM、広告フォーマットなどに基づき、「タウンWiFi」でも試せそうな施策を検討した。

「『ポイ活』系に限らず、広告を入れることによって、ユーザーが離脱しないか、どのように広告を掲載すればよいか、他社はどのように広告への導線を引いているのか、といった事例も多いので、かなりのジャンルにおいて、ご相談に乗ることができると考えています」(高木氏)

アドネットワークを平行して比較し、入札単価が最も高いものを掲載する「アプリ内ビディング」も「MAX」の特徴だ。これにより広告読み込みの遅延が減少することで、導入企業の収益増加はもとより、スムーズな広告表示がユーザーメリットとなる。

広告枠を設けること自体はユーザーに受け入れてもらえそうだ。……しかし、もうひとつ懸念がある。広告の内容によるユーザー離れだ。特に「タウンWiFi」は、スマホユーザーであれば老若男女を問わずユーザーになり得るアプリのため、広告内容による不快感を持たれないようにする必要もあった。

「『このジャンルの広告は出さない』と予め決めているものはあります。ユーザーから問い合わせが入るような場合は、配信されている広告を一覧できる管理画面があるので、そちらで停止の連絡を各アドネットワークに対して行っています。確かにあの管理機能は便利ですね。問い合わせの限られた情報からどんな広告かはわかっても、どこから配信されているのかがわからなければ、各社への確認からしなければならないので」(中馬氏)

その管理機能とは、「MAX」に搭載されている「Ad Review」だ。自社アプリの広告枠で流れている広告そのものを、AppLovinのほか、他社のアドネットワークも含めて一括で確認できる機能がある。「タウンWiFi」ではユーザーに悪影響のある広告がないかの確認を日々行っているという。ただ、現状では広告内容への問い合わせが頻繁に入るような状況にはなっていないようだ。MAU220万人を誇るアプリだが、「問い合わせをいただいたときにはすばやく対応していますが、かといって、毎日、何かしら広告を止めているといったことはありません」(中馬氏)。

「ユーザーのメリットになることは基本的にどんどん取り組んでいきたい」というのが中馬氏の考えだ。

「ユーザーメリットがあれば、広告枠のパターンを増やすこともあるかもしれません。ただ、優先順位トップにあるのはユーザーですね。広告がネガティブにとらえられるのは、掲載側のメリットを優先し、ユーザーにとってメリットがないケースがあるからではないかと思います」(中馬氏)

広告は本来、広告主が商品やサービスをユーザーに届けるためにお金を払って出すもので、ちゃんとユーザーに届けなくてはならない、というのが掲載側のスタンス。

「ユーザーメリットを考えていれば、広告を、お金を稼ぐための道具として消化しないような設計が考えられるのではないでしょうか」(中馬氏)





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