米ネット広告費は10.8%増 22年下期から減速の兆し

米インタラクティブ広告協会(IAB)が発表した2022年の米インターネット広告費は、前年比10.8%増の2097億ドル(約28兆2000億円)だった。GDPに占める割合は約1.2ベーシスポイント増加した。米国経済と共に、22年下期に入ってからは伸長率に減速がみられる。

デバイス別では、モバイルが前年比14.1%増と全体を上回って伸び、1541億ドルとなった。仕事やプライベート双方のデジタル化や、5G(第5世代移動通信システム)の開始、ソーシャルメディアのショッピング機能などが寄与した。ネット広告全体に占める割合は、2.2ポイント増加して73.5%となった。デスクトップ向けは同比2.6%増の556億ドルだった。

寡占状況はわずかに改善した。ネット広告に占める上位10社の収入は1611億ドルで、占有率は前年から1.8ポイント下がった。減少は2016年以来初という。20〜21年も伸び率は0.5ポイント増と市場の伸びに対して低かった。一方、上位26社以降の合計が同比1.5ポイント増の343億ドル、上位11〜25社の合計が同比0.3ポイント増の143億ドルとなった。

広告フォーマット別のシェア率では、ディスプレー広告、動画広告、音声広告が増加した。ディスプレー広告は前年比12.0%増の635億ドルで、シェアは0.3ポイント伸ばした。動画広告は同比19.3%増の471億ドルで、シェアは1.6ポイント増。音声広告は同比20.4%増の59億ドルで、シェアは0.2ポイント増となった。

検索広告は、広告収入は前年比7.8%増の844億ドルと増えたものの、フォーマット別シェアでは1.2ポイント減。22年末に一般に広まり始めた対話型の生成AI(人工知能)技術の浸透によっては、将来的に大きな変動が起こる可能性もある。

広告フォーマット別の伸び率では、SNSの下落幅が大きい。どのフォーマットも21年に急激に増え、22年は減少する動きを見せたが、伸び率はおおむね20年並となっている。一方、SNSは20年の前年比16.3%増から、22年は前年比3.6%増の12.7ポイント減と大きく失速した。伸び率は過去10年で最も低い水準。アップルのアプリ追跡透明化(ATT)機能の影響が大きいとみられる。

2022年に急成長したのはリテールメディア広告で、広告収入は375億ドルとなった。大手2社が市場の45%を占めている。IABは報告書で、「広告を出す企業は、予算をリテールメディアに移行すると予想される。〔投資対効果の把握がしやすい〕クローズドループ環境と、測定のためのファーストパーティデータの提供が移行理由となる」とした。

 


 

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