NECは4月24日、顔認証で自動販売機の支払いができるサービスの提供を始めた。5月中旬にも伊藤園が先行導入する。今後5年間で5000台の自販機への導入を目指す。
購買日時や金額、世代、性別などの情報を得て、マーケティングにも活用する。自販機利用者は、事前に専用Webサイトで氏名やクレジットカード情報、購入時に入力するパスコード、自身の顔の画像などを登録する。
専用のタブレット端末を取り付けた自販機で、商品を選んで顔認証をした後、パスコードを入力すると購入できる。端末は既存の自販機に後から取り付けることも可能だという。導入企業には顔認証決済のためのクラウドサービスも提供する。
自販機をチャネルとするメーカーにとっては、設置場所を広げる後押しにもなり得る。建設現場や工場など、安全やセキュリティ上、財布やスマートフォンなどを持ち込めない場所でも、自販機の支払いが可能になる。NECは2023年度中をめどに、施設入場時やパソコンのログインなどでの顔認証と連携し、同じIDで自販機購入もできるよう、サービスを強化する予定。
自販機の設置台数は、2000年をピークに減少傾向にある。日本自動販売システム機械工業会の統計では、2022年12月末時点で前年比0.9%減の267万7300台となった(両替機など自動サービス機除く)。主力は飲料自販機で、同比0.5%減の224万2700台だった。
自販機の輸出量は2016年をピークに減少し、2020年以降急減した。偽造貨幣の判定能力などが日本製の自販機の優位性だったが、キャッシュレスが浸透したことが障害のひとつとなっていると見られる。