今回は國枝商店の「よーじやを『あぶらとり紙だけのお店』と思わせないためのアイデア」についてのオリエンテーションです。課題詳細ページはこちら。
よーじやグループは1904年に創業。2024年で創立120周年を迎える企業です。代表取締役社長が2020年に代替わりし、現在5代目の國枝昂が指揮を執っています。
1904年の創業当初、初代・國枝茂夫は大八車で市中を売り歩き、化粧品や日用品を販売していました。“よーじや”という社名は、大八車で商品を売り歩いていた頃、当時「楊枝(ようじ)」と呼ばれていた歯ブラシを取り扱っていたため、「楊枝(ようじ)屋さん」と呼ばれていたことから名付けられています。
平成初期には、ドラマ『家政婦は見た!』の作中であぶらとり紙を使用しているシーンが放映され、知名度が一気に上昇。一時は京都の店舗で入場制限を行うほどの賑わいを見せていました。
ドラマの放送以降、メディアでしばしば取りあげられるようになり、1998年にはあぶらとり紙の売上が全体売上の7~8割に。その後、海外への展開やカフェの開店などの直営店を15店舗ほどの出店をしました。
コロナ禍で売上が激減し、ブランドの方向性を転換
ここからは、現在のよーじやの取り組みについて説明します。
コロナ前の当社は売上の多くを国内観光客や海外旅行客に依存してしまっていたがゆえに、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。旅行が自粛指定されると同時に、売上が減少してしまいました。
このような経緯もあり、よーじやでは方向性を転換しました。
これまでのよーじやは「あぶらとり紙を買うところ」という看板商品としてのあぶらとり紙のイメージが付いていましたが、よーじやには他にも様々な商品あり、その一つひとつに多くのファンの方がいらっしゃいます。
その点を、もっと知っていただこうというのが新しい動きです。また、あぶらとり紙が普段から使えるスキンケアアイテムであるということも、しっかり知っていただきたいと考えています。
次に具体的な取り組みについて紹介します。
まず、あぶらとり紙を単なるお土産品ではなく、手軽に使えるスキンケア商品として日常的使っていただく第一歩として、2022年にあぶらとり紙「HAKO」「BATON」を発売しました。
本商品は、あぶらとり紙の約100年ぶりとなるスタイルチェンジとして話題を呼び、これからのよーじやをアピールする商品となっています。
あぶらとり紙以外にも「まゆごもりはんどくりーむ」、リップクリーム「ゆず艶や」、敏感肌にも使える「熟成せっけん」、スキンケアライン「うるおいプラス」など肌をための様々な商品をラインアップ。創業当時から変わらない本物志向の考え方のもと、使い心地の良さにこだわっています。
また、当社の展開する香りシリーズにも根強いファンの方が多くいらっしゃいます。リラックスできるフローラルの香りと繭から採れる保湿成分セリシンが特徴の「まゆごもり」シリーズは、ロングセラーシリーズです。
これからのよーじやが目指すもの
「『京都のお土産の定番』にとどまらず、一層多くの方に愛されるブランド」になるために、①肌ケアブランドとしての認知、②日常的に親しまれるブランドになること、③「『敢えて二兎を追う』経営」を軸とします。また、より多くのお客さまに愛されるために、“脱観光依存”を掲げ、日常の暮らしにフィットしたブランドになることを目指していきます。
“脱観光依存”とは、商品の良さ、よーじやの良さを知っていただき、お土産として配るためだけではなく、日常的に使うアイテムとして購入いただきたい、という考えを示す言葉です。
ここで重要なのは、“脱観光”ではないこと。変わらず愛してくださる観光地のお客さまも大切にし続けながら、よーじやを日常的に取り入れてくださるファンの方を増やしたいと考えています。
“脱観光依存”を推進するにあたり、商品の傾向にもその色が出ています。
最近の商品では、夏季限定で売り出した冷感とラムネの香りが特徴の「ひんやりボディジェル」、秋限定で販売した金木犀ではなく、銀木犀の香りのハンドクリームなどは、いずれも好評で早々に完売しています。
これまでのイメージを一新するようなアイデアを
最後に、今回の課題の詳細について説明します。今回募集するのは、「よーじやを『あぶらとり紙だけのお店』と思わせないためのアイデア」です。
ここまでご紹介したように、よーじやは「肌ケアブランド」「自分のためのお店」へ生まれ変わるため、様々な取り組みを行っている発展途上にあります。
ただ、よーじやのロゴを見た方が受ける印象は今も「京都のお土産のイメージ」で、そのイメージを一新できないという現状もあります。
そこで、今回の課題のポイントは2点です。
1つめは、「日常使いのブランドであること」のアピール。旅行先で買って、他の人に配るためのお土産としてだけでなく、自分用に購入して、日々使いたくなるような、日常に寄り添うブランドとして認知を広げたいと考えています。
2つめは、「『肌ケアアイテム』のアピール」です。当社はあぶらとり紙だけでなく、ハンドクリーム、スキンケアラインなど、多くのアイテムを取り扱っているということを生かしたアイデアがほしいと考えています。商品ラインアップについては、ぜひ当社のオンライン通販サイトをご確認ください。
また、アイデアの中で避けていただきたいものは、過度な「和」や「京都」の押し出しです。一般的なイメージとは裏腹に、実際には和風雑貨の取り扱いは少なく、普段使いの肌ケアアイテムが売上の大半を占めています。
これまでのイメージにとらわれない、皆さまからの柔軟なアイデアをお待ちしています。