ファン活動のDXを推進し 現代に必要な人のつながりを構築
コロナ禍によって大きく影響を受けたもののひとつに「ファン活動」がある。リアルな場所で大人数が集まりづらい環境の中、その活動の場所はオンライン上へと急速に移行した。リアルな場における企業とファンとの接点が難しくなると感じ、「ファン活動のDX」という課題に取り組んでいるのが2020年に創業したTieUps(タイアップス)だ。
社名の由来となったTie Upという言葉には、「協力」や「結びつき」などの意味がある。CEOの小原史啓氏は、人同士のつながりが生み出す「信用経済」の時代がやってくると確信し、人と人との協力や共創を生むデジタルサービスをつくろうと考え、会社を立ち上げたという。
コモディティ化により「物の差異」を示すことが困難な中で、ブランドに共感し、愛してくれるファンの存在は今後ますます重要な存在となっていくだろうと、小原氏は考えている。
推奨意向の高いファンを可視化し、増やすFRM
企業にとってのファンの存在感が増していく中で、TieUpsが提唱する新たなマーケティングの概念が「FRM(Fan Relationship Management)」だ。
「FRM」とは、顧客関係管理を行うCRMをベースに、マネジメント対象を「顧客(Customer)」から推奨意向の高い「ファン(Fan)」に変更した新しいマーケティングコンセプトだ。
CRMは顧客のLTV向上のために「購入金額」「利用期間」「購入点数」を重視しマネジメントする。それに対してFRMは、推奨意向の高いファンを通じて、新たな推奨意向者を増やすことを目的に運用し、重視する指標は「態度」や「貢献度」、「影響力」などになる。CRMのようにカスタマー(購入者)に対象を絞ることなく、興味を持って推奨してくれるユーザーを広くデータベース上に取り込む【図1】。
「たとえ商品を買っていなくても、共感・応援してくれる人は存在します。“推す”という行為もここに当てはまるでしょう。CRMが既存顧客のブランドリフトを目的にしたものだとすると、FRMは“既存顧客+新規顧客”のブランドリフトマネジメントと言えます。もともとはブランドに触れたことがなかったような人を、口コミを広げてくれる推奨意向の高いユーザーへと育てていくのがFRMであり、私たちTieUpsがこれからの企業活動にとって重要だと考えている領域です」と小原氏は話す。
ファンの推奨度合いを可視化する 「FRM」ツール利用の4ステップ
TieUpsが提供するFRMは、同社が開発しているコミュニティSNS「WeClip(ウィークリップ)」に、ユーザーを集める形で運用している。コミュニティを運営する企業にはコミュニティの管理や分析を行うためのWeClipBizダッシュボードが提供される。「①ユーザー同士の交流」「②キーパーソンの発見」「③キーパーソンへの重点的な施策運用」「④分析と効果検証」の4ステップを回していくことで、効率的なFRMを実現している【図2】。
この考え方について、コミュニティデザイン室でマネージャーを務め、ソリューションの運用に携わる田村恒平氏は次のように話す。
「TieUpsが提唱するFRMとこれまでのファンマーケティングの違いは、期待値の高いキーパーソンに重点的に施策を講じることができる点です。これまでのファンマーケティングでは、すべてのファンに対応する公平性が求められました。一方当社が提唱するFRMでは、重要度の高いキーパーソンの可視化を実現することで、表向きの公平性を保ちつつ施策運用が実現できます。平均的にユーザーグループの中で、特に重要なキーパーソンになり得るロイヤルファンは概ね2割以下です。この2割のユーザーはより深い体験を求めている傾向にあり、全員に一斉配信される施策よりもロイヤルファンに限定された施策を好みます。この2割のロイヤルファンを重点的にマネジメントすることで、推奨行動が伝播し、新たなロイヤルファンを生み出すという仕組みがFRMなのです」(田村氏)。
さらに同社ではプロフィール作成ツール「lit.link(リットリンク)」も運営している。lit.linkは180万人以上のインフルエンサーやタレント、YouTuberなどが利用している国内最大規模のクリエイターデータベースだ。この豊富なデータベースを活用し、推奨意向の高いユーザーやインフルエンサーを「WeClip」のコミュニティに誘致したり、FRMのマネジメントリストにも取り込むことができる。
「TieUpsは、ファンの多いクリエイターが多く登録しているプラットフォームlit.linkを運営していることで、推奨意向の高いファンを増やすためのナレッジが多く蓄積しています。また、当社にはコミュニティデザイン室もあり、企業のコミュニティ企画から運営支援まで幅広くサポートすることが可能です。FRMは新しいコンセプトですので運用経験者がクライアントにいることはほぼありません。コミュニティにおいても運用経験のない企業がほとんどだと思います。これらについては我々がハンズオンで導入後も継続的に支援を行いますので、安心してご相談いただければと思います」(田村氏)。
今後TieUpsでは、「FRM」のコンセプトを体系化したナレッジを公開すると共に、FRMの商標権も放棄してオープン化する計画がある。小原氏は最後に、グローバルでもFRMの浸透と課題解決を目指していくと意気込みを語った。
お問い合わせ
TieUps株式会社
MAIL:info@tieups.com
担当:津越(ツゴシ)