富士フイルムは5月24日、東京・南青山に富士フイルムグループのデザイン・IT開発拠点「FUJIFILM Creative Village」をオープンし、同日に開所式を開催した。
本オフィスは富士フイルムのデザイン開発拠点である「CLAY(クレイ)」と、IT開発拠点の「Its(イッツ)」の2棟で構成されており、計170名が勤務する。
デザイナーが使用するCLAY棟はコンセプトづくり・建築デザイン・空間デザインや什器に至るまで、全て社内のデザイナーが手がけた。
1階は、集中力を高めクリエイティブな発想が生まれるよう、敢えて壁側を向いて座るデスクの配置に。さらに天高は5mと高さを設け、開放感を感じられるようにした。
また、デスク自体も奥行1500㎜と広くとり、スケッチしながらPCを使えるなど、設計からデザイナーの意見が取り入れられている。フロア中央には大きな吹き抜けを設置し、2階のデザイナーとも接点が生まれるような仕組みになっており、デザイナー間の共創を意識したつくりとなっている。
地下には3Dプリンターなど最先端の機器を揃えたプロトタイプ制作室や、シーズインキュベーションフロアと呼ばれる、「イノベーションの種」を創造するためのディスカッションスペースなども設えられている。
「ネクストスタンダードをつくるデザイン」
開所式には富士フイルムホールディングス代表取締役社⾧・CEO 後藤禎一氏、富士フイルム執行役員デザインセンター⾧ 堀切和久氏、執行役員メディカルシステム開発センター⾧ 鍋田敏之氏が登壇。開所の狙いや富士フイルムのこれからについて語った。
後藤氏によれば、今回の新拠点の開設はデザインとITの密接な連携による価値創出をさらに加速させることが目的。両部門でイノベーションを創発し、高い競争力を持ち革新的な製品サービスを生み出す戦略拠点と位置付けている。
「富士フイルムは写真領域のみならず、医療・ヘルスケアなど多様な領域で進化してきた。社会に提供する価値であるアウトカムを最大化することで、社会課題の解決やサステナブルな社会の実現への貢献を目指す。そのためにカギとなるのがデザインとITの力」と述べた。
次いで、デザインセンター⾧を務める堀切氏が登壇した。同社のデザイン組織は2017年に西麻布にクリエイティブな環境づくりの一環で「CLAYスタジオ」を構えて以降、多くのデザイン賞を受賞するなど成果をあげてきた。IT開発部門と一体化した新拠点で、その流れを加速させたいとした。
「富士フイルムのデザインは、ネクストスタンダードをつくるデザイン。冒険心が次のスタンダードをつくりだす原動力となる。当社は新拠点のオープンにより、デザイナーとエンジニアの化学反応を起こし、ネクストスタンダードを加速させることを狙っています」(堀切氏)。
また、新拠点は、富士フイルムの旧本社の向かいに建てられたが、その点について堀切氏は「旧本社からイノベーティブな商品が数多く生み出された。その向かいに建てることで、過去のイノベーションにリスペクトしながら、新しいイノベーションを起こしていくことに繋がれば」と語った。
最後に開発センター⾧の鍋田敏之氏が登壇し、AIやITを活用した医療現場の変革について説明。その後、3名によるテープカットが行われた。