マイクロソフト、フラニ族のアルファベット書体開発で2部門最高賞 カンヌ受賞作

6月19日からフランス・カンヌで開催された「カンヌライオンズ国際クリエイティビティフェスティバル2023」。4日目には、Brand Experience & Activation、Innovation、Mobile、Creative Strategy、Creative Business Transformation、Creative Commerceの6部門が発表された。

マイクロソフトはDesign部門に続きCreative Business Transformation部門でもグランプリを受賞。西アフリカのフラニ族のアルファベット書体を開発した「ADLaM an Alphabet to Preserve a Culture」が評価された。


実データ グラフィック 「カンヌライオンズ国際クリエイティビティフェスティバル2023」

また4日目には小室哲哉さんが「Sound of Creativity」と称してライブパフォーマンスを実施した。


写真 人物 複数のシンセサイザーを用いて演奏をする小室哲哉氏。
複数のシンセサイザーを用いて演奏をする小室哲哉氏。

各部門のグランプリ獲得作品は下記の通り。

Brand Experience & Activation部門

EA Sports、Apple「FIFA 23 X TED LASSO」
(Apple+EA Sports)

サッカーチームの監督の苦悩を描く、Apple TV+の人気コメディドラマ『テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく』と、世界的なサッカーゲーム「FIFA23」がコラボレーション。主人公のTed Lassoと、彼が監督を務める架空のチーム「AFC Richmond」をゲーム内に登場させた。ゲームのプレイヤーは、AFC Richmondを選択してプレイをすることができる。お馴染みのキャラクターたちがプラットフォームを超えて活躍する様子に『テッド・ラッソ』のファンは大歓喜。メディアへの出稿無しに話題化を成功させ、ドラマ自体の視聴数も35%増加したという。

 

Innovation部門

Augmental「MouthPad^」
(Wunderman Thompson+Augmental)

テック企業のAugmentalは、脊髄の損傷などで手や指の動きに困難がある人々に向け、口内に装着して舌でPCやスマートフォンをコントロールできる装置「MouthPad^」を開発した。装置は歯科矯正に用いられるマウスピースのような形で、センサーを内蔵している。現在は同社のWebサイトから、ウエイトリストに登録することが可能。障害を持つ人々が自立した生活を送れるサポートを試みている。

 

Mobile部門

PedidosYa「World Cup Delivery」
(GUT)

2022年の「FIFAワールドカップカタール2022」で悲願の優勝をつかんだ、サッカーのアルゼンチン代表チーム。南米で食品デリバリーサービスを展開するPedidosYaは、この国民が歓喜するモーメントを捉えて企画を実施した。開催国のカタールから戻ってくる、代表チームと優勝トロフィーの動きを追跡し、デリバリーアプリ上で見られるようにしたのだ。ユーザーには「Your order is on the way(あなたのご注文品は配達中です)」という通常の通知のみを送付。アプリの誤作動かと内容を確認した人々は、企画の意図を知り喜びの声をあげた。そして代表チームが到着したタイミングで「Your order has arrived(注文品が到着しました)」と通知を送付した。

 

Creative Strategy部門

Renault「Renault – Plug-Inn」
(Publicis Conseil)

電気自動車(EV)の導入に注力してきた自動車メーカー ルノーによる、EVの充電インフラを整える施策。同社によると、フランスでは既に100万台以上のEVが使用されているが、公共の充電スタンドは約8万しか用意されていないという。そこでルノーは、“充電スタンド版のairbnb”として、アプリ「Plug-Inn」を打ち出した。「Plug-Inn」を介すると、個人が有する68万以上の充電スタンドが使えるようになる。利用者はお手頃価格で充電ができ、充電スタンドの所有者は収益を得ることができる。

 

Creative Business Transformation部門(Design部門でもグランプリを受賞)

Microsoft「ADLaM an Alphabet to Preserve a Culture」
(McCann)

西アフリカ地域に住むフラニ族の言語、プラール語は4000万人以上の人々に話されているが、長らくこの言語にはアルファベットがなかった。子どもの頃から母国語を守ろうと決意していたバリー兄弟は「ADLaM」という手書きのアルファベットを制作。しかし、このアルファベットをデジタル化して、現代のデジタルでのコミュニケーションに使えるようにし、フラニ族の人々が自らの言語でビジネスを行い、SNSを通じてつながり、情報を見つけられるようにする必要性が残っていた。

兄弟はデジタル書体のプロトタイプを開発していたが、よりデジタルに最適化し、より広い範囲で利用できるように改良する必要があった。そこでマイクロソフトが兄弟と書体デザイナーの専門家グループに加わり、読みやすく書きやすいアルファベットの改訂版を作成。マイクロソフトは現在、全世界のプラットフォームで改訂版のアルファベットを採用している。また改訂版のアルファベットは現在、「ADLaM Display」フォントとしてunlocked.microsoft.comでダウンロード可能で、Microsoft 365の一連のプログラム、デスクトップ、モバイルなどにも展開されている。

Creative Commerce部門

HungerStation「The Subconscious Order」
(Wunderman Thompson)

サウジアラビアで食料品配達サービスを展開するHungerStationは、膨大なメニューの中で何を注文すべきか迷うユーザーに解決策を提示した。アプリにユーザーの潜在意識を分析する機能を追加したのだ。画面上にさまざまな料理を表示させ、スマートフォンのカメラが高度なアルゴリズムを用いてユーザーの視線の動きを追跡。AIが料理の選択肢を絞り込み、ユーザーに簡易的なデータレポートを提供。そこからおすすめのHungerStationのレストランのリストを提案した。

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