NTTコム オンライン、「男女のウェルビーイングな働き方に関する調査」結果を発表

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(以下、NTTコム オンライン)は6月27日、役員を含む正社員の男女1041人を対象に、NTTデータ経営研究所と共同で行った「男女のウェルビーイングな働き方に関する調査」結果を発表した。

コロナ禍を経て、「ワーク重視派」が減少し女性では家族・友人や趣味を重視する「エンジョイ派」が最大の構成割合になるなど変化が見られた。重視する価値観に合わせて、社内制度の利用を促すアプローチをしていくことが重要なことが分かった。

調査背景として内閣府の調査では、共働きの男女世帯における「夫が費やす家事・育児・介護の時間」が妻の2割程度にとどまり、日本の女性は世界で最も睡眠時間が少ないことが分かっている。また日本の管理職に占める女性の割合が約1割にとどまるなど、多様な価値観・希望を持つ働く女性にとって、ウェルビーイングな働き方が十分に実現していない可能性が高いと想定された。

そこで本調査は、仕事に限らず家事・育児や趣味など様々な活動について重要度を問うことでウェルビーイングな働き方の価値観を探り、働く女性にとって望ましい活躍支援策を検討する狙いで実施された。

調査は「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に、2023年1月26日~2023年1月28日まで非公開型インターネットアンケートで実施し、1041人の有効回答を得た。

ワーク重視派が減少し、女性はエンジョイ派が最大の構成割合に

働き方に関する価値観を探るため、まず仕事や家族・友人、ボランティアなどの各項目について最も重視する活動を聞いた。

回答項目は、昇進に意欲的な「ワーク(仕事)派」、各種制度を利用しながら仕事と家庭の両立を図る「ライフ派」、家族や友人・趣味などを重視する「エンジョイ派」、仕事を通じた社会課題の解決やボランティアなどに注力する「ソーシャル派」と「その他」4つを設定。

コロナ以前は「ワーク派」が、男女平均で約48%(女性42.3%、男性54.1%)と最多だったのに対し、コロナ禍を経た現在、「ワーク派」は約41%(女性34.4%、男性47.5%)と減少し、「エンジョイ派)が約44%(女性46.7%、男性41.5%)と最多になった。

今後重視したい活動では、「エンジョイ派」が増加し、「ワーク派」が減少する傾向が拡大しており、コロナ禍を経て、働く男女がプライベートを重視した価値観へと移行している。

写真 データ グラフィック コロナ禍を経た働く男女が最も重視する活動。左から、コロナ前の女性・男性、現在の女性・男性、今後の女性・男性となっている。コロナ禍を経て、「ワーク派」(濃紺)が減り、「エンジョイ派」(上から2番目のグレー)が顕著に増えていることが分かる。
コロナ禍を経た働く男女が最も重視する活動。左から、コロナ前の女性・男性、現在の女性・男性、今後の女性・男性となっている。コロナ禍を経て、「ワーク派」(濃紺)が減り、「エンジョイ派」(上から2番目のグレー)が顕著に増えていることが分かる。

男女の別の内訳を見ると、「ライフ派」の割合はコロナ前・現在・今後の希望のすべての段階で女性の方が多い。ただ男女差は縮小傾向にあり、コロナ以前は女性の「ライフ派」が男性の3倍程度だったが、現状では2.3倍、今後の希望では2倍となった。

男性における、育休・産休などの制度利用のハードルは “周囲の目”

ウェルビーイングな働き方の実現に役立つと考えられる各種制度の利用状況の質問では、介護休暇・時短勤務・ステップアップにつながる研修の項目で3割以上の回答者が「利用したことはないが、利用したい」「利用したいが制度がない」と回答。希望と実態のギャップが大きいことが分かった。

また、制度の利用意向がある回答者のうち、実際に活用したことがある回答者の割合を示した「実践指数」※では、育休・産休制度について男女差が大きく開いた。女性の実践指数が50%に昇るのに対し、男性は15%だった。
※実践指数:「利用したことがある」/(「利用したことがある」+「利用したことがないが、利用したい」)

写真 データ グラフィック 制度の利用実績と利用意向の状況。上から3番目の介護休暇制度の実践指数は男女とも低く、「周囲で利用している人がいない」ことが利用に踏み出せない背景となっていると考えられる。
制度の利用実績と利用意向の状況。上から3番目の介護休暇制度の実践指数は男女とも低く、「周囲で利用している人がいない」ことが利用に踏み出せない背景となっていると考えられる。

各種制度への利用意向もあるにもかかわらず利用したことがない理由として、男性はすべての項目で「周囲で利用している人がいない」が最多となった。また女性はハラスメント対策制度、生理休暇について「利用していることを知られたくない」と考える人が多くいることが分った。

制度を利用しやすいよう、働く着方づくりを

以上の調査結果から、各制度について利用意向があるものの「利用していることを周囲に知られたくない」といった理由で十分に利用が広がっていない状況が明らかになった。

この結果を受けてNTTコム オンラインは、「利用の拡大に向けては、制度を利用して活躍するロールモデルの創出や利用ハードルを下げる工夫が重要である」と考察した。例えば「周囲で利用している人がいない」という状況が障壁となる場合、男女問わず会社全体で制度を利用しているイメージを持ちやすくなるよう、他社事例を学ぶといった機会を持つことが有効と考えられる。

特に、重視する活動や状況がそれぞれ異なる働く女性に対しては、「働きやすい職場環境をつくるためには、それぞれに合った支援策の導入と、実際に各支援策の利用が広がるような工夫が重要と考えられる」とコメント。昇進に意欲的な「ワーク派」や、各種制度を利用しながら仕事と家庭の両立を図る「ライフ派」、テレワークを重視する「エンジョイ派」など、それぞれのタイプが制度を利用しやすい社内風土づくりをしていくことも求められている。

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