日用消費財から、飲料・食品メーカー、アパレル、雑貨など、あらゆる業種業態とのコラボレーション企画が絶えない「小杉湯」。そのきっかけになったのは、三代目当主の平松佑介氏の想いだった。ここでは、コラボレーション先として企業に選ばれ続ける小杉湯に、「異業種コラボレーション企画」の価値や、成功のポイントを学ぶ。
小杉湯
三代目当主
平松佑介氏
コラボ実施する理由は「小杉湯」を存続させるため
杉並区高円寺に店を構える「小杉湯」。昭和8年創業、今年90周年を迎える国の有形文化財にも登録されている老舗銭湯だ。現在、小杉湯の当主を務めているのが三代目の平松佑介氏。2016年に先代から後を継いだ。
平松氏が当主として活躍するようになってから印象的なのが、企業やブランドとコラボレーションしたイベントやお風呂が後を絶えないことだ。コラボ先は食品・飲料メーカーから、日用消費財メーカー、アパレル、映画などのコンテンツなど多岐にわたる。今では、1カ月のうちにコラボお風呂を展開する日はほとんどないほど、多くの企業とコラボレーションした企画を実施している。
なぜ、小杉湯はコラボレーション企画を続けているのか、その理由のひとつには、平松氏が後を継いだ当時から持っている想いがある。
「継いだ当時から、僕のミッションは小杉湯をこれから50年、100年と、いかに次の世代へ続かせるかということにあります。ですが、銭湯の数は年々減少。業界として経営を続かせるのは難しくなっているのが現状です。そんな中でも、銭湯が現代に存在する意義はきっと大きい。企業や街とのコラボレーションは、この小杉湯を今後もずっと続かせていくためのひとつの手段にすぎません。いわば、銭湯の新しい価値を発見し、その価値を多くの皆さんに知ってもらう施策として、行っています。小杉湯だけでは得られなかった気づきや価値を、コラボ先の企業の皆さんと見つけられることは、コラボ企画を続けていて毎回嬉しく思っていますね」(平松氏)。
小杉湯で居続けるために「変化」を生む
従来の銭湯のイメージとは一線を画すような施策や、発信活動、その他に拡大した事業のおかげで、現在の来客数は平日で400~500人。20~30代の利用者がもっとも多く、若年層の獲得にも成功している。
「小杉湯のような公衆浴場の主な利用者層は中高年の方々がコアだと言われます。もちろん、昔から利用してくださっている方々の存在も大切ですが、同じくらい大切にしなければならないのが『小杉湯自体が、変化すること』だと思っています。これは、小杉湯が変わらずに居続けるために必要なことなんです」(平松氏)。
「変化が必要」とはどういうことか。平松氏の考えはこうだ。
「経営を続けるためには新規、かつ若年層の顧客を獲得する必要がありますよね。しかし、従来のような銭湯の運営では若年層の獲得は難しいことは、銭湯数の減少を見ても明らかです。つまり、銭湯が銭湯として運営を続けていくためには時代に合った銭湯の存在価値を再定義して、今のお客さまに求められるような面白い企画が必要なのだと思います。それで言うと、コラボは小杉湯を小杉湯として存続させるための方法です。これまで培ってきた小杉湯の価値も活かしながら、小杉湯の新しい魅力を発見できることは、大きなメリットだと考えています」(平松氏)。
選ぶべきは譲れない「軸」を理解してくれる相手
コラボレーション先が絶えない小杉湯だが、相手の選定の際には意識していることがあると平松氏。それは、目指したいビジョンなど、企業として譲ることができない「軸」を理解してもらえる相手かどうかだ。
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