EC化率を3カ年で15%まで拡大 BAKEがEC中心の新ブランドを発表、OMO戦略の実現を目指す

「BAKE CHEESE TART」をはじめとする、菓子ブランドを展開するBAKE INC.(以下、BAKE)は10月10日、新ブランド「架空のパティスリー『しろいし洋菓子店』」の発表会を実施。新ブランドの発表に先立ち、創業10周年を迎えた同社の今後のブランド展開、デジタル戦略についても説明がなされた。

北村萌氏

新ブランドの説明を行う同社・執行役員の北村萌氏。新ブランド「架空のパティスリー『しろいし洋菓子店』」の「しろいし」とは、同社の工場が北海道札幌市白石区にあることに由来する。

 

しろいし洋菓子店のクッキー缶とパウンドケーキ
オンラインでも選ばれるブランドを目指して開発された「しろいし洋菓子店」。物語要素を持ち、「イマ―シブ(没入感)」な体験を提供するブランドとして、4段構造のクッキー缶と2種のパウンドケーキを展開。販売開始は10月12日から。

BAKEは「BAKE CHEESE TART」、「RINGO」、「PRESS BUTTER SAND」などのブランドを展開するも、各ブランドで「「1ブランド1プロダクト戦略」を採用。また国内67、海外19の合計86のリアル、かつ工房一体型の店舗を通じたシズル感を訴求した事業展開に強みを持ってきた製菓企業。

今回、発表された新ブランド「しろいし洋菓子店」は、販売チャネルを従来、重視してきたリアル店舗ではなくECを中心に設定。同社が新たな事業戦略と目するオンラインとオフライン店舗をつなぐOMO戦略を体現するブランドとして開発された。

リアル店舗を中心に事業を展開してきたBAKE はコロナ禍で一時期、売上が9割減になるなど大きな打撃を受けた。リアル店舗以外のビジネスの開拓を目指し、コロナ禍の2020年6月にECサイトでの販売をスタート。現在、同社の売上におけるECが占める割合は7%で、食品カテゴリー一般のEC化率に比較して、高い水準にあるというものの、さらに今年度で10%、3カ年で15%までEC化率を高める戦略だという。

また、創業以来の戦略であった「1ブランド1プロダクト戦略」についても、今後は顧客の価値観の多様化に合わせた、多彩なブランドポートフォリオを展開する体制にシフトしていくという。同社では、コロナ禍でミッション、ビジョン、バリューを再定義、コーポレートブランドの強化を目指した。

その上で、これまでは各事業ブランドとコーポレートブランドのかかわり、あるいは各事業ブランド同士のつながりを消費者に対して、積極的に打ち出してこなかったが、今後はコーポレートブランド「BAKE INC.」をマスターブランドとして確立させ、各事業ブランドのファンに他のブランドも知ってもらい、「BAKE INC.」のブランドに期待を抱いてくれるファンを醸成していく考えだという。

山田純平氏
OMO戦略やプラットフォーム構想など、10周年を迎えたBAKEの今後の経営戦略について、発表会にてメディア関係者らの質問に答える同社・代表取締役CEOの山田純平氏。

発表会に登壇した同社・代表取締役社長CEOの山田純平氏は、BAKEの事業戦略として「ECでの成長戦略推進」「新ブランドのローンチ」「海外事業の伸長」を3本の柱にしていくとの考えを示した。

また、同社では実店舗とECストアで使える会員プログラム「BAKE Membership Program」を開始しているが、こうした会員基盤が今後の事業戦略のベースになっていくとしている。さらにはオウンドメディアとして運営中の「CAKE.TOKYO」などのメディアも活用し、顧客とのタッチポイントを最大化。最終的には「タッチポイント」と「会員基盤」、さらにメディアやECなどの「プラットフォーム」を活用し、自社商品だけでなく国内外の菓子ブランドを発掘・販売していく菓子ブランドの一大プラットフォームをつくっていく構想も提示された。

展示の様子

 

展示の様子

展示の様子
架空のパティスリー「しろいし洋菓子店」は、架空の舞台である、マンション・インディゴの1階で営まれる、訪れる人が思わず引き込まれてしまう人気の店舗という設定。マンションの住人たちが紡ぎだす物語も、ブランドが目指すイマーシブ体験の重要な要素。発表会は、マンション・インディゴをイメージさせる会場を使い、各階で異なるコンセプトの展示が行われていた。
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