マウントレーニアが“お香”を開発 なぜポップアップ限定販売にしたのか

森永乳業は10月27日、チルドコーヒーブランド「マウントレーニア」の発売30周年を記念し、同製品から着想を得たお香の発売を発表。11月4日から2日間、渋谷にオープンしたポップアップストア「AROMA RAINIER（アロマレーニア）」にて販売した。

今回のポップアップストアは、同製品の一部が採用している「新アロマ製法」をプロモーションする目的。

森永乳業の担当者は「商品の切り替えが店頭で行われたタイミングに合わせて、新製法を広く宣伝したいと考え、ポップアップストアの開催を決めた」と話す。

「今回の開催目的は、まだ手に取っていないお客さまにも興味を持っていただき、新製法の美味しさを実感してもらうこと。街の人流に回復の兆しが見え始める中、これまでのマスやデジタル中心のコミュニケーションではなく、リアルな体験を組み込むことで、来場者の『楽しい・面白い』など様々な感情に訴えることができます。このようなリアルイベント開催の特性を活用し、普段はマウントレーニアと接点のないお客さまにも興味を持ってもらいたいと思いました。その結果、ポップアップストアである『アロマレーニア』での体験からクチコミが生まれ、新たなファン獲得にもつなげられると考えています。実際に、『アロマレーニア』の開催中は、街行く人の目に止まる場面が見られました。ファンでない方にも多数来店いただき、実施の効果を感じています」（森永乳業 マウントレーニア担当者）。

お香は、マウントレーニアが採用している新アロマ製法を活用して、「マウントレーニアと相性のいい香り」を目指して開発。パッケージは全9種類展開。そのうち6種はイラストレーターがデザインし、香りだけでなく視覚的にも楽しめる仕上がりとした。

パッケージについて、電通のアートディレクター 辻岡翔氏は「マウントレーニアから香りを取り出すようなイメージのもと、お香のパッケージはマウントレーニアの形状にしています。紙箱で再現すると特殊な形状になるため、開閉をどうするかなど何度もやりとりを重ねて形にしていきました。またイラストでも、優しい香りがただよってくるような、人々の優しい豊かなひとときを表現しています」とコメントしている。

さらに、「アロマレーニア」のオープンを記念して、菅田将暉が出演するポスター広告の掲出も開始。ポップアップを開催する渋谷エリアに展開したポスターでは「コーヒーの香りがふんわりと漂ってくるような、幻想的な煙の世界観を大切にした」と、電通のコピーライター 當麻 和香子氏は話す。

「ただ新しくなった“アロマ製法”の技術を伝えるだけでなく、香りと味わいを堪能するゆっくりとした時間の流れや、心がほどけていく様子を描きたいと思いました。アロマを表現した煙の中にたたずむ、リラックスした菅田さんの表情にも注目いただきたいです。ポップアップストアでも、外装や内装にもこだわり、ポスターと共通した空気感をつくり上げていただきました」（當麻氏）。

クリエイティブディレクターを務めた、電通の尾上永晃氏は「チームのみんなで渋谷中を散歩しながらどこに何が掲出されるといいかを考えて周ったり、お香の香りを何度も嗅ぎ分けて選別したりと身体的に考える瞬間が多い企画でした」と語っている。