キリンホールディングス(HD)はマーケティングリサーチの一環で、生成AI活用の道を探る。新商品開発の過程で生成AIを用い、アイデアに対して消費者がどんな反応を示すかを推測する。
12月19日に発表した。フレーバーや無糖、ノンアルコールなどの商品バリエーションが多い「氷結」から検証を始める。実際の消費者を対象とした調査自体は残し、生成AIから得る擬似的な消費者の反応は、調査前の工数短縮や、商品案の精度向上に生かす。これまでは、開発担当者が過去の消費者データから想定される反応を抽出するなどの作業に平均50時間かかっていたという。
生成AIには過去3年分の消費者インタビューなどの定性データを学習させた。データは今後も順次追加する。活用する生成AIは複数社と同時に検証を進めており、キリンHDは「個別の名称については回答を差し控えたい」とした。
キリンHDの調査によると、「氷結」をはじめとしたRTD(栓を開けてそのまま飲めるアルコール飲料、Ready To Drinkの頭文字)は、気分に合わせて「選ぶ楽しさ」が求められる傾向にある。キリンHDは生成AIの活用対象に『氷結』を選んだことについて、「お客さまから注目いただいているブランドであり、全社的に注力したいと考えている」とし、商品開発の速度向上を図る。
「氷結」は2022年に過去最高の年間販売数量を更新。特に「無糖シリーズ」が好調で、23年12月は前年より2割増産した。