CARTA HOLDINGSは12月25日、デジタルインファクトと共同で、リテールメディア広告市場に関する調査結果を発表した。
本調査は、同社が2023年9月に行った調査における定義を変更し、再推計を行ったもの。広告主によるリテールメディア広告に対する広告支出の総額を、リテールメディア広告市場規模とし、2022年までの推計および2023年から2027年までの予測を行った。2023年9月からの変更点は以下の通り。
- ■変更前
- 店舗を持つ小売企業に設置されたデジタルサイネージに配信される広告および小売企業が運営する、各種オンラインメディア広告(※1)の総称。
- *上記グラフにおいて、緑色の箇所のみが該当。
- ■変更後
- 店舗を持つ小売企業(店舗事業者)ならびにEC専業の小売企業(EC事業者)が提供する、各種オンラインメディア広告(※1)の総称。店舗に設置しているデジタルサイネージ広告も含む。
- *上記グラフにおいて、緑色と黄色の箇所の合計が該当。
今回の調査によると、大手EC事業者が提供するリテールメディア広告は、多くの広告主からのデジタル広告需要を取り込み、2023年はデジタル広告全体を大きく上回る水準で増加。デジタル広告配信におけるクッキーレス化が進展するなかでも、ターゲティング精度高く運用できるためだと分析している。
一方、一部の大手店舗事業者による広告商品は、メーカー企業のマーケティング・販促需要を確実に取り込みながら、着実な市場の成長をけん引したとしている。
これらの結果を背景に、2023年のリテールメディア広告市場は3,625億円、前年比122%となる見通し。またその内訳は、EC事業者が3,405億円、店舗事業者が220億円と予測している。
また同社は、リテールメディア広告市場は今後も引き続き高い水準で成長を持続するとの見方を示す。2027年には、2023年比約2.6倍の9,332億円規模に拡大すると予測している。分析の背景には、大手EC事業者が提供するリテールメディア広告への広告主からの高い水準の需要の継続と、店舗事業者が提供するリテールメディア広告への需要の急増があるとした。
店舗事業者においては、大手GMS企業が小売事業のDX化の一環としてリテールメディア事業への注力を進めており、広告商品の拡販に向けた環境整備を推進。大手コンビニエンスストアチェーン企業でも、リテールメディア事業部門の組織体制の整備、あるいはデジタルサイネージ等の設備投資が進み、今後の事業成長に向けた準備が進められている。
これらを背景に、店舗事業者におけるリテールメディア広告市場は、2023年は220億円、前年比163%となると見込む。今後は、リテールメディア事業を支えるテクノロジーの進展が、多くの店舗事業者の参入支援を促し、広告主からの確実な需要の高まりのもと、2027年には2023年比約6.3倍の1,390億円に達すると予測している。