「こどもびいる」で知られる佐賀県の清涼飲料水メーカー 友桝飲料は、1月8日の成人の日に佐賀新聞に2つの15段広告を出稿した。
「こども、20歳に乾杯。」というコピーが書かれた新聞広告には、傾けられた「こどもびいる」の瓶が、その裏面には「おとな、0歳に乾杯。」というコピーで「おとなびいる」の広告が掲載されている。表裏になったその新聞広告を透かして見ると、「こどもびいる」と「おとなびいる」が乾杯した絵が見えてくる。
これは、清涼飲料水「こどもびいる」が今年で発売20周年を迎えたことを機に企画された同社初の広告だ。この広告が生まれた背景を、クリエイティブディレクター 伊藤敬生氏は次のように話す。
「オリジナル商品や全国のご当地サイダーの企画・開発を手掛ける友桝飲料は、創業100年を迎える老舗。全国の“地サイダーブーム”の仕掛け役であり、“強炭酸ブーム”の火付け役であり、『こどもびいる』は全国的にもよく知られていますが、社名をはじめ会社そのものがあまり認知されていないという現状がありました。そこで『こどもびいる』20周年を機に自社のブランディングを図り、自分たちのブランドをしっかり発信していきたいという友田諭社長の思いから企画が始まりました」
「こどもびいる」発案者でもある浅羽雄一氏も加わり、「こどもびいる」が20歳になったことをどうやって祝うべきかを考える中で出てきたのが「おとなびいる」、つまり本物のビールをつくるという企画だった。同社で製造することも可能だったが、短期間での製造は難しく、クラフトビールで知られる三重県の伊勢角屋麦酒に依頼。限定生産で、「こどもびいる」のりんご風味を生かしたクラフトビールが完成した。
この製品の発売を機に、同社初のブランディング広告として生まれたのが、先の広告である。この広告では、コピーライター 永野弥生氏による同社の新しいスローガン「友と、ますます。」もお披露目されている。
「炭酸飲料とアルコール飲料では注意書きなども違うため、同じ広告紙面に、同じ企画で出すことができない。そこから考えたのが、表裏で見せるという企画でした。それを20周年おめでとう、0歳で誕生おめでとうと乾杯をしている状況にすれば、おとなとこどもが乾杯する姿を表現でき、お互いにバトンを渡しているような感じに見えるのではないかと考えました」(伊藤氏)
友桝飲料のお膝元である佐賀県小城市で開催された成人式では、新成人たちへ「こどもびいる」と「おとなびいる」のセットが贈呈された。1月8日に同社の公式サイトで発表後、SNSではそのネーミングと共にじわじわとつぶやかれ始めている。
「おとなびいる」は現在、佐賀県内のお店での販売他、佐賀県内の一部の飲食店で飲むことができる。
スタッフリスト
- 企画制作
- 電通九州、HOMEBASE、アド・パスカル
- CD、AD
- 伊藤敬生
- C
- 永野弥生
- D
- 長匡
- 撮影
- 牧野正文
- STPL
- 三浦僚、萩原有美
- AE
- 上野孝次郎、米永日菜子