ファッション相談アプリをBtoB展開
Relicは1月22~24日、NTTドコモの新規事業創出プログラム「docomo STARTUP」との共創で展開するファッション相談アプリ「coordimate」を活用し、購入前に試着室内でコーディネートについて相談ができるサービスの第2回実証実験を三井ショッピングパーク ららぽーと海老名(神奈川県海老名市)で実施する。ファッションについて気軽に相談できるようにすることで購入率を高める狙い。実証を通じてサービスの効果を検証し、これまで一般ユーザー向けに提供してきた同アプリをBtoB向けに本格展開する方針だ。
実証はショールーミングストア「LaLaport CLOSET 」で実施。自身の服装を写真で投稿することで、ボランティアで参加した女性アドバイザー「mate」から改善点などのアドバイスをもらえる。店員と違い、第三者による中立な意見を得ることが可能だ。本実証ではららぽーと海老名のテナント6店舗が参加し、各店のスタッフがアドバイスの内容に合致した商品を提示する仕組みも導入。提示された商品を購入するため、各店への来店を促す効果も期待できる。来店客にアプリのダウンロードを勧め、実証期間中に新規登録者100人を目指す。
同社の調査によると、18~34歳の地方出身の男性の多くが自身のコーディネートに自信を持っておらず、特に女性のフィードバックを求めているという。一方で「試着時に店員に相談することが気恥ずかしい」という声もあり、第三者に気軽に相談できる同アプリを開発した。2022年7月に正式リリースされ、現在のユーザー数は約2万5000人。男性ユーザーが大半だが、女性ユーザーも増加しているという。
現在はBtoC向けに無料で提供されているが、今後はBtoB展開よる収益化を計画している。リアル店舗やECサイトと連携を図り、購入手数料などが収益源となる予定。本格的なBtoB展開に備え、実証実験でアプリ導入による回遊率や試着率の変化などを検証する。
第1回実証実験は2023年9月に三井アウトレットパーク 木更津(千葉県木更津市)の「KISARAZU CONCEPT STORE」で実施。期間中実験用の専用端末を受け取った方の約4割がアプリを利用し、そのうち3割が商品を購入するなど大きな反響があった。一方でテキストのみアドバイスでは不十分という声もあり、2回目の実験ではテナントが商品を勧める施策を取り入れた。
「LaLaport CLOSET」は三井ショッピングパーク公式通販サイト「Mitsui Shopping Park &mall(アンドモール)」に出品された人気のファッションショップを集めたショールーミングストアだ。複数ショップの商品をワンストップで気軽に試せるだけでなく、気に入った商品はQRコードを読み取るだけで、簡単に同サイトにて購入できる。様々なデジタルトランスフォーメーション(DX)施策も特長で、正確な体形を分析する「3D骨格診断」が可能な3Dボディスキャナーや、AIカメラでパーソナルカラーやファッションタイプなどを診断できるディスプレイなどを設置している。
コロナ禍の影響で拡張現実(AR)や仮想現実(VR)を活用した試着など、アパレル業界ではDX化が進んでいる。コロナ禍明けで実店舗のDX化も注目を集めているが、昨年閉店した「アマゾンスタイル」など失敗例もある。ドコモgacco経営企画室マネージャー及びcoordimate Founderの飯野健太郎マネージャーは、店舗DXについて「『X』(X-formation)のほうが大切だ」と話し、無人化や効率化にこだわるよりも、顧客の判断を後押しすることや、選択肢を増やす仕組みづくりが重要だと強調した。
三井不動産の伊藤榮輝主事は「ECサイトが普及しても、特にファッションでは試着の需要が高く、実物を選ぶニーズはなくならない。ららぽーとをはじめとする当社商業施設のリアル店舗としての”五感で楽しむことができる“という強みを生かしつつ、DX化を推進したい。」と考えを示した。