前回のコラム「今ラジオCMから考えたい『ふつう』の幸せ――トヨタ自動車 カローラ『ふつう』篇」はこちら
わたし、ラジオ好きコピーライターの正樂地咲がお届けします「名作ラジオCMの時間」。
- 第7回は、2018年のACC賞のラジオCM部門でブロンズを受賞した、
- 森ビル/六本木ヒルズ「ここ東京の真ん中・17歳と49歳」篇をご紹介します。
- 今回はまず初めに、CM原稿をそのまま朗読しようと思います。
- (よろしければこちらでお聞きください)。
- 女の子:単身赴任中の父に会いに長崎から東京へ
- 17歳と49歳
- 東京で行きたい場所は山ほどあるのに
- 父と行きたい場所がひとつもない
- たどり着いた 六本木ヒルズ
- 長崎でもやってる映画を見た
- 早めの夕飯 天ぷら
- ビールで真っ赤な父の顔
- 東京を見せてやる
- なぜか親子で展望台
- 52階から見る夜景は
- 父が私にしてくれた
- たかいたかい史上
- 最高を記録した
- ここ 東京の真ん中
- 六本木ヒルズは森ビル
このラジオCMは私が原稿を書かせていただいたラジオCMであり、ナレーションも私が務めたものとなります。
名作ラジオCMを紹介するコラムで自身が関わったものをご紹介するのは気恥ずかしいのですが、普段、どんなふうにラジオCMを考え、つくっているのかを記したかったのです。お許しください。
- さて、このラジオCMは私にとって初の取り組みにトライしたもので、詩を書くイメージで、CM原稿を書きました。
- 具体的には、想像の余白を大きくとって、体言止めを多用しています。
- 主人公を誰にして、どんなシチュエーションにすると、六本木ヒルズが特別な舞台として描けるか。
- そう考えた時に思い出したのが大好きな映画『花とアリス』。蒼井優が演じる少女アリスが、親の離婚により離れて暮らしている父親とデートをするシーンがある。
- そんな風に、一定の距離感がある父と思春期の娘が、どこへ行くでもなく、東京のランドマークという理由で六本木ヒルズに辿り着く。初めは乗り気じゃなかった娘も、少しずつ心を開く。ここまでの設定は割と楽に考えられた。
- ここから、心を開くきっかけをどうするか。
- クライマックス……恋人同士なら展望台に行くだろう。でも親子で行くかなぁ……ということをしばらくグルグル考えていた。
そんなある日、東京出張で立ち寄った(普段は大阪に住んでいる)新橋駅の改札を出たところあたりで、なぜかふと「あっ、展望台。たかいたかいの最上や。」と思いついた。これを降って湧いたと言う人もいるかもしれないが、ずっと考えていて、頭の片隅にあったので思いつくことができた。降って湧いたのではない、ねばりひねり出した。
そしてまたこのように、アイデアが出たタイミングに明確な瞬間があることも珍しい。この時は確かに、新橋の改札を出たら思いついた。その後、何度も同じ改札を通るが、別にいいことはない。そんなもんだ。
あと、私のラジオCMのつくり方の特徴として、自分の声をスマホに録音して尺やトーンを検証するというものがある。この時も、何度も何度も自分で読み、その音源のままプレゼンをさせていただき、結果、私の声で録音することになった。ちなみにこのコラムの音声も自宅でスマホで録っている。
このラジオCMの設定では17歳としているが、当時私は32歳。私は声が幼いというか、頼りないので、声色と年齢が合わなくて、お母さん役などは、自分ではできない。「見た目年齢」とよく言うが、声の見た目……声色?声色年齢?みたいなものもあるんだろうな。
もちろんプロの方が読むと映える原稿が大半ですが、ちょっと日常味を強く出したい時には自分や周りの人に読んでもらうのもいいのかもしれません。
- ほとんどの場合、失敗しますが、たまに大成功するので
- 恥ずかしがらずに試してみてもいいのかも。
- 森ビル/六本木ヒルズ
- 「17歳と49歳」篇(60秒)
- 〇C+NA/正樂寺咲
- M:~♪
- 女の子:単身赴任中の父に会いに
- 長崎から東京へ
- 17歳と49歳
- 東京で行きたい場所は山ほどあるのに
- 父と行きたい場所はひとつもない
- たどり着いた六本木ヒルズ
- 長崎でもやってる映画を見た
- 早めの夕飯 天ぷら
- ビールで真っ赤な父の顔
- 東京を見せてやる
- なぜか親子で展望台
- 52階から見る夜景は
- 父が私にしてくれた
- たかいたかい史上
- 最高を記録した
- ここ東京の真ん中
- 六本木ヒルズは 森ビル
本コラムは隔週でお届けしていきます。次回は2週間後の2月9日(金)。また皆さまとお会いできますように。