『LEON』編集部に営業チームを編成 変わる出版社の広告営業体制

広告市場においてはインターネット広告が今も成長を続けている。その一方で、近年はマスメディア企業のDXの強化、それに伴う新たな広告商品の開発が進んでいる。大手マスメディア企業の広告営業の戦略とは?『LEON』を基点に新たな組織体制を構築した主婦と生活社のケースについて紹介する。
※本記事は月刊『宣伝会議』2024年2月号に掲載の「メディア企業に聞く広告営業戦略」記事を転載したものです。

2019年に広告部をメディアビジネス部に変更

主婦と生活社では、2019年に広告部をメディアビジネス部へと名称変更した。この動きには従来の“広告”にとらわれないメディアビジネスのマネタイズ方法を考えて実践していく組織になるという姿勢を示す目的があった。そして、こうした組織変革の先駆けとなっているのが、同社刊行の『LEON』だ。同誌においてはメディアビジネス部で『LEON』の広告営業活動を担っていたメンバーが、『LEON』が属する編集第2部の中に編成され、『LEON』に特化した営業を担当する体制をつくっている。

「編集部との連携をより強化することで情報伝達を緊密にし、提案の商機を逃さない体制が構築できている。また2021年から開始したサービス『Club LEON』を含む会員制サービスで、公式オンラインショップ、各種SNS、公式Webサイト、そして雑誌本誌を束ねた『ONE LEON』プロジェクトを本格化させたが、これらのマネタイズが目的」とLEONメディアビジネス事業室の唐沢裕室長は説明する。

「『LEON』の読者層である40~50代の富裕層男性にリーチしたいラグジュアリーブランドなどは、広く認知をとる必要はなく、限られたターゲットに適切に情報を届けたいと考えている。その点で、『Club LEON』を基点とした『ONE LEON』の構想に共感してくださる広告主は多い」(唐沢氏)という。

次世代の富裕層もターゲットに取り込む

さらに、今後LEONメディアビジネス事業室が注力したいと考えているのがECデータを活用した提案だ。「『LEON』の公式オンラインショップの売上は好調だが、そこで蓄積されるデータは、現在は運用型広告での活用が中心。しかし、データの量も増えていく中で、広告配信以外の活用法も企画・提案していきたい」と語る。

メディアとしての展望としては、今後は若年層に『LEON』の世界観に興味を持ってもらうことで次世代の読者を取り込むビジネスを意識していきたいと考えを語る唐沢氏。「『LEON』の読者の中心層は40~50代の経営者層であるものの、年に2回開催している読者イベントには最近、若い方たちも参加している。彼らはラグジュアリーに興味をもっており、来場している。従来から『LEON』読者は中高年男性の富裕層だったが、彼らに憧れを持つITなどで成功した20代が増えてきている。彼らを取り込むようにビジネスを展開したい」と話した。

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LEON編集部 メディアビジネス事業室 室長 唐沢裕氏

LEON編集部
メディアビジネス事業室
室長
唐沢 裕氏

『LEON』創刊の翌年の2022年にLEON広告営業として中途入社。2019年12月に広告部(現メディアビジネス部)からLEON編集部内にあるメディアビジネス事業室に異動となり、現職に就任。



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