プライバシーマーク(Pマーク)を運営する日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)は2月から、「知るといいこと、Pマーク。」をキャッチフレーズとした黒塗りの交通広告を東京メトロ大手町駅やJR大宮駅で展開している。期間は3月上旬までを予定している。
歴史上の有名な人物名を一部黒塗りにした、テスト問題のようなこの広告。「隠されていても特定できて面白い」などとSNSで話題を集めている。
Pマークは、個人情報保護の体制や運用が適切な企業、団体(事業者)に付与するロゴマーク。事業活動におけるマークの使用を認めて社会的な信用を与えている。2023年4月で創設から25周年を迎え、2024年1月末時点では約1万7600社がマークを取得している。
Pマーク取得後に従業員の名刺などに記載する企業も多いことから、ビジネス層の間で一定の認知度はあるものの、マークの意味や内容まで知られていることが少ないことが課題だった。調査を実施し、ビジネス層の中でも認知度が低い30代をメインターゲットに設定。一連のPR企画を通して、Pマークが「個人情報」と紐づくように考案した。
交通広告は2月上旬から3月上旬にかけて大手町駅や大宮駅で掲出。「ちゃんと隠さないと、個人情報は特定される。」という文言とともに、「…妹子」「シェイク…」などと、見覚えのある歴史上の人物名が一部黒塗りの状態で記載されている。
問題形式のように羅列されているため、「隠されていてもわかってしまうのが面白い」「つい人名を調べてしまった」などとSNS投稿やネットニュースで取り上げられ、話題になった。
JIPDEC プライバシーマーク推進センターの福岡峻氏は「キービジュアル決定の際に、まずは広告が邪魔にならないこと、あわよくば面白がっていただける可能性があるものを、最も意識していました。それを前提に、”個人情報”という小難しいと捉えられるであろうもののハードルをどう下げるかと意識しました」と説明している。
企画を手がけた博報堂プロダクツのクリエイティブディレクター 有冨悠氏によれば、目的は「個人情報はちゃんと取り扱わないと個人を特定されてしまう危険がある」という気づきを与えること。
「黒塗りされた5つの個人名のうち、1問目でルールを把握してもらい、難易度を上げながら滞在時間が長くなる構成を狙いました。別解が浮かんでしまう仕掛け、『塩』だけで人名がわかってしまう恐ろしさと気持ちよさなど、いろいろな感情がわいてくる奇問ができました」(有富氏)。
広告には、「気になる答えは『プライバシーマーク』検索」と記載されており、検索すると特設サイトから回答を確認できる。サイトでは、4択の質問で個人情報の知識を学べる「個人情報取り扱いクイズ」や、Pマーク導入のメリットをイラストとともに伝えるコーナーなどを設けている。
新たにWeb動画も制作し、特設サイトや公式YouTubeで公開。「次の個人名を、特定できますか?」という試験問題のような音声が流れた後、一部分がピー音で隠された偉人の名前が読み上げられていく内容だ。そのほか、ニュースサイトなどでWeb広告も出稿している。
スタッフリスト
- 企画制作
- 博報堂プロダクツ
- CD+企画+C
- 有冨悠
- 企画+C
- 木島美羽、草薙未貴
- AD
- 涌井渚
- D
- 徐逸文
- Pr
- 山下健太朗(デジタル)、岩田龍(映像)
- PM
- 杉山那友多
- 演出
- 米内華子
- AE
- 小島一晃
- 掲出
- 大手町駅(2/5~2/11、3/4~3/11)、大宮駅(2/12~2/18)