大型メディアに留まらない 交通広告の秘めた可能性
人々の移動が再び活発になりはじめたことに伴い、屋外広告や交通広告など、OOHへの注目が高まりつつある。
電通が2月24日に発表した「2022年 日本の広告費」でも、屋外広告が2824億円(前年比103.1%)、交通広告が1360億円(前年比101.0%)とともに回復傾向が見られている。鉄道関連の交通広告は、主要駅で人通りが多いロケーションに設定された駅の大型サイネージやボードなどに需要が集中しているとされている。
東京メトロの広告メディアを扱うメトロアドエージェンシーでもこの傾向は見られており、新宿駅や渋谷駅などのターミナル駅に設置した大型メディアへの問い合わせが増えているという。それらの期待に応えるべく、同社は今年1月に「渋谷55ストリートビジョン」を新設した。JR渋谷駅ハチ公口からほど近い東京メトロ半蔵門線渋谷駅のコンコース約55mにわたり、従来の約1.5倍にあたる94インチ相当の縦型サイネージを24面設置し、行き交う人々にインパクトを与えている。
媒体販売局 駅メディア部で媒体の開発や販売管理に携わる境大空氏は、「大型のインパクトメディアは道行く人に驚きや衝撃を提供できます。ただ、交通広告の魅力は大型メディアだけではありません。当社では、駅設備などを活用し、人々の印象に残るメディア開発も積極的に進めています」と話す。
空調機、トイレの壁面⋯ 駅に点在するメディアとしての価値
同社では、メディアガイドに掲載している広告枠だけでなく、夏の暑い時期には駅構内に設置された空調機にエアコンの広告を掲出するなど、カスタムで企業ニーズに沿った新規メディアの開発を行っている。
「空調機広告は媒体メニューに存在していた商品ではありませんでしたが、広告会社から『新しいことができないか』と相談を受け、一緒につくりあげました。掲載スペースとしては決して大きくはありませんでしたが、『夏×空調機』というアイデアで話題をつくることができました。夏という季節感と、地下鉄という空調機が活躍する立地を生かした好事例だと思います」と境氏。
他にも同社では駅構内にあるトイレ壁面のラッピング広告を試験的に実施。商品化を目指して検討を進めている。
このような駅設備を活用した広告はどのような効果を発揮し得るのか。境氏は、生活者の想定していない場所に広告が掲出されていることの“意外性”に価値があると考えを話す。
「既存の広告枠は、『ここには広告がある』と生活者は予想できています。しかし、普段何気なく通り過ぎていた設備が、ある日突然、広告になっていたら印象に残りますよね。また、“エアコンの広告”ד空調機”の事例のように、自社の商材に沿った場所・設備を活用することで、広告にストーリーを付与できます」。
既存メディアを活用した 表現の幅が生み出す価値
また境氏は、既存のメディアであっても新しい表現方法を模索することも重要だと話す。
「テレビドラマの広告で、新宿駅のメトロプロムナードの柱を主人公に見立て、服やマフラーを着せた展開がSNSで話題になりました。特にTwitterでは多くのツイートが投稿され、1000万以上のリーチを獲得。この事例のように既存メディアであっても新しいアイデアと掛け合わせることで、これまでにない広告を表現することができます」。
OOHを起点にSNS上で話題となり、ネットやテレビでニュースとして取り上げられるなど、商品/サービスのPRのネタとなることは以前から多かった。既存のメディアであっても、クリエイティブの工夫次第では目新しいものに変わり、大きな話題となる可能性を秘めていると言えるだろう。同社では、メトロメディアの広告が、SNS上でどの程度効果があったのかを可視化し、同社のサイトで分析結果のコラムを掲載するといった取り組みも行っている。
あの設備やメディアを生かすなら?自由な視点が生む新しい交通広告
新しく広告メディアを生み出す際も、既存メディアを活用する際も、「固定観念にとらわれず、生活の中で見かける設備や空間を、広告に生かすとしたらどのような表現ができるのか、という視点で見ることが大切」だと境氏は考えを話す。
「普段から駅を歩く際に意識してほしいです。毎日見慣れた駅でも、ふと立ち止まって見渡してみると、新しい発見があるかもしれません。私たちメトロアドエージェンシーでは、皆さまのアイデアや発見を形にし、人々の心に残る交通広告を一緒に生み出していきます」と展望を語った。
メトロアドエージェンシー
媒体本部 媒体販売局
駅メディア部
境 大空氏
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