こんにちは。西武ライオンズ広報部長の赤坂修平です。
ライオンズファンのサポートもあり、昨夜(6月25日)も1-0と辛勝でしたが日ハムとの初戦を獲りました。
試合で活躍をした選手のなかで、誰をヒーローインタビューのお立ち台に上げるかは、ライオンズでは広報部長が選任しますが、昨日は3名の選手を上げました。そのうち牧野翔矢選手は、怪我から長いリハビリ生活を経て、育成選手(プロ野球選手を目指す位置付け)に下げられても、腐らず努力を積み重ねてきた選手でした。
その結果、昨日、支配下に再登録され、即一軍でスタメンマスクを被り、5投手をリードし、完封劇を演出しました。
お立ち台で涙を流した牧野選手を、先発した同期同学年の渡邉勇太朗投手が抱擁した姿が印象的でした。こういう姿を見ると、誰をお立ち台に上げるかは、必ずしも試合結果だけではなく、個々の選手が持つストーリーも重要な要素だと改めて感じさせられます。
さて、今回のテーマは「産業界とプロ野球界の危機管理広報の共通点」です。
キーワードは「情報の収集・整理・活用」と「内外に誠実に」です。それに加え、以前のコラムでお話をした「公平性の原則」も含まれます。
20年前に経験した不祥事対応が「危機管理」の原体験に
私の初めての危機管理は、コクド時代に遡ります。入社4年目の2004年3月1日、西武鉄道本社ビル前には、多くの取材陣がいました。前日に、コクドアイスホッケーチームが日本一になったので「優勝したらこんなに取材が来るんだな」と出社しました。
いつものように掲載されたメディア記事などのクリッピングに取りかかると、産経新聞一面の「西武鉄道 総会屋に利益供与の疑い 警視庁 役員ら聴取」という文字が目に入りました。アイスホッケーが優勝したから取材陣が集まっていたのではなかったのです。
そこから一連の事件へ発展し、有価証券虚偽記載やインサイダー取引で、西武鉄道の株式が上場廃止になりました。
西武グループは、カリスマオーナーの堤康次郎氏、二代目の堤義明氏が経営し、当時でも100年近い歴史があり、二人とも類まれなる才覚で時代の注目を集め、金融機関からも信用力の高い企業グループでした。
コクドはグループの事業持株会社という位置付けでありながら、非上場だったこともあり、前向きな広報はしっかりやっていたものの、ネガティブな取材は比較的お断りをしていました。
それが、いきなりクライシスに直面し、私自身も組織自体も経験不足が露呈しました。メディアも本件を報道しますが、そもそもコクドや西武グループの公開情報が少なく、広報に問い合わせをしても満足のいく回答が得られないことで「何か隠しているのではないか」という疑念を持たれ、強いトーンの報道が先行していました。
当時、私は広報部の最若手だったため、メディアの取材対応をするというより、毎日発生する雑多な業務を、同期の庶務担当と共にやっていましたが、少しでも上司や先輩方の役立ちたいという一心でやっていました。
プロ野球経営もしているグループのため、一般紙のみならずスポーツ新聞や週刊誌と、ありとあらゆるところに掲載されていました。早出して紙面のクリッピング、前日夜のテレビニュースを編集しダビング、雑誌のチェックをしていると、あっという間に夕刊が届く時間になり、夕方からやっと自分の業務に。これが毎日続きました。
この時、西武グループが創業からどのような変遷を経て、今のガバナンス体制になっているのか、株式状況や取締役体制、財務諸表、決算公告の仕方など、全く分からない自分がいました。非上場会社であっても、自分の働いている会社に興味を持って調べていれば説明できたはずです。この時、情報の収集・整理・活用が大事だと気付きました。
広報が整理した情報を持っていて、それを記者にレクチャーできれば、記者も事前情報をもとにある程度記事を書くことができます。企業としての行いは許しがたいと思っても、少なくともコクド広報は「隠している」という心証は持たれず、一定の関係性は築けたはずでした。