コニカミノルタが2023年に創業150周年を迎えた。コニカとミノルタが経営統合を実施してから20年の節目でもある。
150周年のキーワードはすべてのステークホルダーへの「感謝」、自社の過去・現在・未来を通じた「誇りと自信」、そして新たな姿への「進化」。周年期間は2023年度の1年間に設定した。
プロジェクトチームの事務局は日本に設置したが、グローバルを含めたグループの全社員の連帯とエンゲージメント向上を図るべく、企画検討段階から海外の広報宣伝部門や海外の自社グループ広告会社と協同して情報を発信してきた。
グローバル全体での展開
「150年の歴史を含め自分たちが何者であるかを理解し、自分の言葉で伝えられる情報発信を意識しました。2本制作した動画も、言語や文化の壁を超えてメッセージやムーブメントを届けることに注力しました」と語るのは、デザインセンターブランドエクスペリエンス部ブランディンググループの東さや香氏。
2023年4月に公開された社内サイト「WE ARE 150 HUB」は、誰でもスムーズにアクセスできるよう6カ国語対応で制作し、6月から「LUMINATOR」キャンペーンを実施。
社内向けサイト(左)で展開された「LUMINATOR」キャンペーンの投稿ページ(右)。
「自薦他薦を問わず、身近にいるレジェンド(伝説の人)に光をあて、グローバルの仲間にシェアする企画です。コニカミノルタの進化を支えているのは社員一人ひとりであることに気づいてもらおうという狙いもありました」(東氏)。
また、同社のさまざまな事業の始まりやターニングポイントについて、当時を知る社員へのインタビューをもとに「イノベーションストーリーズ」として掲載。
「『変わらぬ想い』や『技術の系譜』といった当社の根底に流れる大切な財産を、若手社員やキャリア入社した社員にも伝えたいという想いから企画しました。社員が感想を書き込める形でイントラネットに公開したのち、社外向けの記念サイトにも公開しました」と東氏は話す。
取材した社員からは「孫に自慢します」という喜びの声も届いたという。1年かけて取材した11のストーリーは、2024年4月に発行された150周年の記念誌にも収録されている。
各国ならではの表現を期待
日本をはじめ各国でさまざまなイベントや取り組みが行われ、その様子はグループ全体にシェアされた。国によって文化やコミュニケーションスタイルも違うため、あえて細かいルールは設けず、現地ならではの表現を期待したという。
「家族を招いてのキックオフイベントやPOPUPミュージアム、メッセージを装飾したバスや桜の木のライトアップなどが展開されました。スペインでは、150周年のマニフェストを社員一人ひとりが読んでいくビデオをつくってくれて、大切にしたい軸がブレずに伝わっていることに感動しました」と東氏。
スペイン、クロアチア、スロベニア、アメリカ、中国など、世界各国で多様なイベントや取り組みが実施された。
2003年の統合以来、コニカミノルタとしては初の周年事業。さらにグローバル展開で足並みを揃えるというチャレンジに大きな手応えを感じている。
周年について東氏は「『歴史や過去の栄光に寄りかかってはいけない』という想いもあり、日本では歴史を強調する発信は控えていましたが海外の社員たちの熱狂的なコミュニケーションを通じて150年という歴史の価値を再認識できました。その意味でも、今回の取り組みは貴重な機会でした」と振り返る。
2024年1月からは「フューチャービジョンキャンペーン」としてクリエイティブのアップデートなどを実施。今後も「ビジョン」にフォーカスしたコミュニケーションを展開していく予定だ。