SUBARUが取り組むWebガバナンス強化 Googleアナリティクス4有料版が果たす役割

SUBARUは、国内で運営する200以上の関連サイトを一元管理するために、Web統合基盤づくりを進めている。計測ツールとしてGoogleアナリティクス4(GA4)の有料版も導入し、デジタルマーケティング支援を行うアユダンテのサポートを受けながら、Webガバナンスの体制構築に取り組んでいる。

 

「宣伝会議サミット2024(夏)」では、SUBARU IT戦略本部 ITインフラ部 Webガバナンスグループの荒木孝充氏と迎俊博氏が登壇し、データ計測ガバナンスにどのように取り組んでいるのかについて、モデレーターを務めたアユダンテ GMPコンサルティング事業部 COOの山浦直宏氏とともに語った。

200以上のサイトを管理する統合基盤を構築

SUBARUには、本体が運営する企業サイトや商品サイト、さらに関連会社や販売店が運営するサイトなども合わせると、国内に200以上の関連サイトがある。

これまで、各サイトは運営元の企業や組織によってバラバラに管理されていたことで、サーバーの形態や使用しているCMS、ドメインなども異なっていた。そのため、セキュリティレベルや運用ルールが統一されておらず、全体でWebガバナンスを強化する必要があった。

そこで立ち上がったのが、Webサイト運営事務局だ。

「本事務局のミッションは、インシデントを発生させないよう、安全セキュアなWebサイト運用を実現すること。さらに、Webサイトやその運営のために契約しているサービスなどのWebにまつわる資産を最適化し、有効活用していくことも目指しています」(荒木氏)

写真 人物 SUBARU IT戦略本部 ITインフラ部 Webガバナンスグループ主査 荒木孝充氏

SUBARU IT戦略本部 ITインフラ部 Webガバナンスグループ主査 荒木孝充氏

その具体的な取り組みの一つとして、Web統合基盤を立ち上げ、そこへ関連サイトの集約を実施。Web統合基盤はAWS上に構築し、集約した全てのサイトに同一のCMSとアクセス解析ツールであるGoogleアナリティクス360を適用して、同じ環境下で扱えるようにしている。加えて、データ計測にはGA4の有料版を導入。アユダンテのサポートを受けながら、分析環境の統合も進めている。

イメージ 図 web基盤集約

有料版で統合レポートと個別レポートを共存

「計測においては、GTM(Googleタグマネージャー)の統合計測環境を構築しました。GTMは、計測用のタグを一つひとつのページに書き込むのではなく、管理画面上から配信するだけでタグの埋め込みができるというもの。これによって全サイトに共通のタグを導入し、全サイトの統合レポートを見られるようにするほか、GTM有料版の「ゾーン」という機能を使うことによって、各社、各Webサイトの目的に応じたレポートを見たいというニーズにも応えられるようにしています」(迎氏)

写真 人物 SUBARU IT戦略本部 ITインフラ部 Webガバナンスグループ 迎俊博氏

SUBARU IT戦略本部 ITインフラ部 Webガバナンスグループ 迎俊博氏

GA4の有料版は、その計測したデータの閲覧に利用している。ユーザーは各社の従業員だけでなく、外部の制作パートナーなども含まれるため、Webサイト運営事務局が適切なユーザー登録と権限付与を行うことによって、セキュリティを担保。また、GAは頻繁にアップデートが実施されるため、アユダンテがその内容をまとめてWebサイト運営事務局に伝え、事務局は各社にアナウンスを徹底するという手法をとっている。

レポートや分析環境は、SUBARU社内とそれ以外で切り分けを行い、SUBARU社内では全運営サイトを横断して分析できるように統合レポートを作成。さらに、その統合レポートをもとに、各サイトのニーズに合った個別レポートをつくっている。

イメージ 図 実現したい環境

「GA4の無料版には、統合レポートから個別レポートを切り分けるという機能がありません。一方で有料版は、「サブ・プロパティ」という機能によって一つのレポート画面から目的に応じたデータの切り分けや権限の切り分けができる機能があるため、統合レポートと個別レポートを共存させることが可能になっています」(山浦氏)

写真 人物アユダンテ GMPコンサルティング事業部 COO 山浦直宏氏

アユダンテ GMPコンサルティング事業部 COO 山浦直宏氏

ちなみに、SUBARU社外の関連会社や販売店については、コストの問題から統合レポートの作成はせず、個別レポートのみを作成できる個別プロパティの運用に留めている。

経営トップの理解促進に取り組む

200以上ある関連サイトの統合を行う上での苦労話を聞かれると、荒木氏は、社内や各関連会社の理解を得ることの難しさについて語った。

「そもそもWebサイト運営事務局の認知が低いので、我々が何者なのかを説明して理解してもらうことから始めているのですが、なにぶんマニアックな話なので、説得力を持たせるのがすごく難しいんです。Web統合基盤への引っ越しにもコストがかかるので、その説得に難航して集約しきれていないという現状があります」(荒木氏)

同様に、経営トップにこの取り組みの重要性を理解してもらうことにも苦労しているという。

「経営トップの理解を得るためには、我々の活動による成果を数値化するなど、目に見える形にして提示しなければならないと考えています。今は、そちらにも力を入れ始めているところです」(荒木氏)

最後に荒木氏は、今後取り組んでいきたい課題を聞かれ、次のように述べた。

「やはり、まだまだ本事務局の認知を上げていかなければならないと考えています。また、せっかくGA4を導入しても、うまく活用できている人が少ないという課題もあるので、各社のWeb担当者への教育は、アユダンテさんのご協力も得ながら進めていきたいと考えています」

ほかにも荒木氏は、運用を続けることで溜まっていくナレッジの社内共有や、Web担当者同士が直接コミュニケーションをとってノウハウを共有できるようなコミュニティづくりにも着手していきたいと話した。また、同じような状況や悩みを持つ企業の担当者の方とも応報交換をしていきたいと話した。

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お問い合わせ

アユダンテ株式会社

EMAIL:yamaura@ayudante.jp
TEL:03-3239-8441
URL:https://marketing.ayudante.jp/


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