デジタル化の今だからこそ、オフライン広告で成果を生む戦略を

デジタル化の今だからこそ、オフライン広告で成果を生む戦略を

良い商品やサービス、クリエイティブができたとしても、メディア戦略をうまく立てられなければ顧客に伝わらない。どのように顧客とタッチポイントをつくり、ブランド認知、売り上げ拡大につなげていけばよいか悩むマーケティング担当者も多いだろう。
本記事は2024年7月に開催された「宣伝会議リージョナルサミット2024夏 in 福岡」から、注目セミナーをレポート。嘉穂無線ホールディングスの岩橋 貴樹氏はオンライン・オフラインでの“共感”の生み方を、TVerの次郎丸 達也氏、草野 ひかる氏はTVerの広告の現状のサービスと今後の展開を紹介した。

オンライン・オフラインで顧客の「共感」を

北部九州・山口に65店舗を展開するホームセンター「GooDay(以下、グッデイ)」は、ファミリー層をメインターゲットとしてライフスタイル提案型の店舗づくりに取り組んでいる。岩橋氏によると、2015年よりマーケティング戦略とDX化に取り組み、約10年で売上20%UPを達成したという。

写真 嘉穂無線ホールディングス マーケティング部長の岩橋氏。2015年よりマーケティング戦略とDX化に取り組み、約10年で売上20%UPを達成したという。

嘉穂無線ホールディングス マーケティング部長の岩橋氏。2015年よりマーケティング戦略とDX化に取り組み、約10年で売上20%UPを達成したという。

グッデイでは顧客獲得のためさまざまな取り組みを行っている。そのうちオンライン広告では、効率的に広告を打つことができるが、Cookie規制によるターゲティングが難しくなること、大手のデジタル広告が地方のテレビCMよりも高くなるケースがあることを踏まえて、テレビCM、テレビパブリシティ、提供番組などのオフラインコンテンツにも取り組んでいる。検索時の受け皿としての役割を持たせたWebサイトや、拡散・ファン化を目的としたインスタグラムでの商品紹介、取り組みの裏舞台を発信するnoteなど、テレビの放映内容を媒体に合わせてコンテンツ化している。
さらに、「定期的なテレビCMの配信が来店数と売上増加につながっている」と岩橋氏。年末CMや物価高に合わせて安いものを爆買いするCMなどを放映し、売上・来店数の増加につなげることができたという。また、ペット用品を購入する顧客は同時に日用品も購入するという売上分析を踏まえて企画されたCM「あつまれ ウチの子フェア」を紹介した。このCMにより放送期間中の売上・来店数が8%増、翌週の売上が20%増、来客数が19%増に。放映期間中だけでなく、放映後にも伸びを見せる理由について「SNSで動画素材の募集」、「募った動画をテレビCMや店舗販促物に採用」、「CMを店舗サイネージに活用」と、オンライン、オフラインでのUGC活用がうまくできていることだと分析。わが子を紹介したいという視聴者の「共感」も上手く作用し、売上・来店増につながったと岩橋氏は強調する。

写真 「定期的なテレビCMの配信が来店数と売上増加につながっている」と岩橋氏。オンライン、オフラインでのUGC活用がうまくできていることだと分析。

「定期的なテレビCMの配信が来店数と売上増加につながっている」と岩橋氏。オンライン、オフラインでのUGC活用がうまくできていることだと分析。

社員も含めたUGC活用事例

UGCをさらに活用しようと、グッデイでは社員も一人のユーザーと捉えて、社員も含めたUGCマーケティングに取り組み始めた。インスタグラムのインフルエンサーを社内で10人募り、研修を受けてから情報発信を始めるという。マーケティング部門がバックアップし、2024年の7月中旬からお客様目線で情報を発信する予定だ。社員YouTuber制度もスタートする予定だという。

写真 社内インフルエンサーの募集や、社員YouTuber制度などスタートし、UGCマーケティングを強化している。

社内インフルエンサーの募集や、社員YouTuber制度などスタートし、UGCマーケティングを強化している。

また、グッデイでは新しいオフラインの取り組みを始める。福岡県東区の団地の空き室問題に向き合うため、福岡県住宅供給公社と連携し、『GooDay DANCHI』プロジェクトをスタート。DIYによって「団地で暮らす」ことのイメージをアップデートさせることを目指すプロジェクトだ。岩橋氏によると、収納の少なさ、和室の活かし方、部屋の雰囲気など入居者が抱くイメージをDIYで払拭することを目指しているという。「モデルルームをつくる」、「ワークショップでリノベーションに挑戦する」、「入居者を募る」の3ステップで、空き家活用・地域活性のかたちを提案することに取り組むという。
そのほか、顧客ごとのオフライン施策も実施。例えば、子どものためのワークショップや、取引先と連携した社会科見学、アイススケートのチケットやホークスの始球式投球券など特別な体験のプレゼントだ。岩橋氏は「グッデイは『家族でつくる一日』の理念を中心に、今後もオフライン・オンラインでさまざまな施策に取り組みたいと思います」と締めくくった。

「伏線回収したい」視聴者の思いが再生回数の増加に

民放公式テレビ配信サービス「TVer」は、常時約800番組の見逃し配信、地上波放送のリアルタイム配信を実施するなど、2024年1月には月間ユニークブラウザ数3500万を突破し、過去最高記録を更新した。次郎丸氏によると、利用者の構成比は人口動態に近い形で分布しており、ドラマだけでなく、バラエティやスポーツのライブ配信の拡充により若年層や男性ユーザーも増加しているそうだ。

写真 TVer 広告事業本部営業部 部長 次郎丸 氏。最近ではバラエティやスポーツのライブ配信の拡充により若年層や男性ユーザーも増加している。

TVer 広告事業本部営業部 部長 次郎丸 氏。最近ではバラエティやスポーツのライブ配信の拡充により若年層や男性ユーザーも増加している。

最近ではTVerに対応するデバイスの拡充に注力しており、今ではほとんどのテレビブランドでTVerアプリが利用可能。 総再生数の33%以上がコネクテッドテレビによるものだという。また、大型テレビで見た時の広告に対するストレスが少ないこともわかっており、最近ではテレビデバイスのみで広告配信したいというリクエストも増えてきているようだ。
現在TVerのコンテンツにおいて、ドラマとバラエティは同程度の再生数となっており、アニメやスポーツコンテンツの再生数も増加傾向にある。
ドラマは、1~3話の常設配信、オリジナルスピンオフ、ダイジェスト配信などを行っている。 ストーリーの構成上、4話で大きな展開があると、伏線回収のために1~3話を見る人が増え、結果的に再生数の増加につながるのだという。バラエティでは大型企画やローカルエリアの人気バラエティを含めてM1層を中心に男性ユーザーが増加。「M-1グランプリ」では、敗者復活戦のワイルドカード企画をTVerのみで配信したことで視聴につながった。また、アニメはドラマ、バラエティに次ぐ第三の柱として、さらなるコンテンツの拡充を目指している。そのほか、リアルタイム配信では「報道ステーション」や「WBS」などのニュース番組を充実。 各局の臨時ニュースや報道特番も配信していることがユーザーに徐々に認知されつつあり、地震が起こればTVerを見るという人も増加してきている。

写真 『なんとなく、TVerを覗いてみよう』と目的がなくても毎日訪問する『習慣的視聴』を目指しています」とまとめた。

『なんとなく、TVerを覗いてみよう』と目的がなくても毎日訪問する『習慣的視聴』を目指しています」とまとめた。

TVerを開くと、今まで見たことがないコンテンツに出会える状態にしたいという思いから、オリジナルコンテンツも製作。2023年9月から「潜入捜査官 松下洸平」が配信された。2024年3月から「すぽると!on TVer」といったデイリースポーツニュースのライブ配信&VODも行っている。また、キャンプ特集・グルメ特集といった興味関心をテーマにした特集も複数設置。放送局、ジャンルをまたいだコンテンツの出会いの場にしている。
次郎丸氏は「すべての人々に、豊かな動画情報とエンタメ体験を」をTVerの目指すものとし、「今は、見たい番組があるときに視聴する『目的視聴』だが、『なんとなく、TVerを覗いてみよう』と目的がなくても毎日訪問する『習慣的視聴』を目指しています」とまとめた。

伝わりやすい環境でブランドセーフティを保ったまま広告を配信できる

続いて、草野氏が広告プラットフォームとしてのTVerを説明した。セールスグロースとしては、2022年から2023年の1年間で対広告主、対広告代理店ともに約170%売上が増加している。「TVer広告は届けたい人に最後まで広告を見てもらう、伝えることができる」と話し、その理由にTVerが「自分が見たいもの」を見に行く、能動型専念視聴メディアであることを挙げた。

写真 TVer 広告事業本部営業部 草野氏。2022年から2023年の1年間で対広告主、対広告代理店ともに約170%売上が増加している。

TVer 広告事業本部営業部 草野氏。2022年から2023年の1年間で対広告主、対広告代理店ともに約170%売上が増加している。

TVerのCMは、有音で再生される視聴環境のため「メッセージ」が伝わりやすい。加えて、テレビCMに慣れているユーザーにとって途中に広告が入ることへの違和感や嫌悪感が少ないこと、また権利処理済で放送基準にそった「安心・安全」なコンテンツが配信されるためユーザー嫌悪感を少なくすることができることを強調した。また、スキップできない広告フォーマットのため、視聴完了率は平均95%。ユーザーから直接取得している1st party dataとTVer独自のターゲティングデータを保有しているため、コネクテッドテレビでもターゲティングが可能だ。性別、年齢、地域だけでなく、アンケートから取得した17個の「興味関心データ」を活用したターゲティングや番組カテゴリーを指定した広告配信もできる。

写真 TVerではユーザから直接取得した1st party dataでコネクテッドテレビのターゲティングも可能。

TVerではユーザから直接取得した1st party dataでコネクテッドテレビのターゲティングも可能。

2024年4月からは、テレビ視聴傾向、世帯年収、子どもの有のターゲティングデータも追加しているという。TVerへの広告出稿の方法には「放送局予約型」「TVer広告」「広告会社」の3つの商流があることを紹介し、草野氏は「自社に合った商流を選んでください」と締めくくった。

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株式会社TVer

住所:〒105-0004 東京都港区新橋2-19-10 新橋マリンビル 6F
Webサイト:https://biz.tver.co.jp/
メール:tver-ad-contact@tver.co.jp


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