Dentsu Labが5拠点開設しグローバル展開へ、CCO田中直基氏「アウトライアーとヒューマニティの視点で世界へ挑みたい」

6月17日から21日まで、フランスで開催されたカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル。その初日に、電通グループはドビュッシーシアターでセミナーを開催した。「Innovating to Impact: 120 Years of Innovation」と題したセミナーには、電通グループ 代表執行役 社長 グローバル CEO の五十嵐博氏と、同 グローバル・チーフ・クリエーティブ・ オフィサーである佐々木康晴氏が登壇。120年の歴史の中で、電通グループがどのようなイノベーションを起こしてきたのか、近年の事例を交えながらプレゼンテーションをした。

グローバルCEO 五十嵐博氏

グローバル・チーフ・クリエーティブ・オフィサー 佐々木康晴氏

このセミナーにおいて、電通グループは、国内事業を統括するdentsu JapanのクリエイティブR&D組織「Dentsu Lab Tokyo」を、今後「Dentsu Lab」としてグローバルに展開していくことを発表した。
Dentsu Lab Tokyo は、佐々木氏が日本事業のクリエイティブR&D組織として2014年に創設。既存のクリエイティブにとらわれない表現と体験の開発を手がけ、これまでにさまざまなアウトプットと成果を生み出してきた。
その中心になって活動してきたエグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター/コピーライター 田中直基氏は、今回のグローバル展開にあたり、Dentsu Lab チーフ・クリエーティブ・オフィサーに就任。アムステルダムを拠点とするグローバル・イノベーション&エクスペリエンス プレジデント 兼 Dentsu Lab プレジデントのスヴェン・ヒューバート(Sven Huberts)氏と共に、この組織を率いていくこととなった。
そんな田中氏に、Dentsu Labのこれからの展開について聞いた。

Dentsu Lab チーフ・クリエーティブ・オフィサー 田中直基氏

国や組織を横断するハイブリッド型エージェンシーへ

━━2024年でDentsu Labはちょうど10年目。その節目にグローバルでの展開が発表されました。

田中 これまで日本事業のクリエイティブR&D組織Dentsu Lab Tokyoとして10年活動をしてきたのですが、今後は「Dentsu Lab」という名称でグローバルでのハブ組織として展開していきます。その第一歩として、ロンドン、アムステルダム、ワルシャワ、ムンバイ、ベンガルールに拠点を開設します。

Dentsu Lab Tokyoがスタートする2年前、2012年に電通グループ120年の歴史の中でもっとも大きい展開があり、それがイージス・グループの買収でした。その後もM&A、さらなるグローバル化が進み、2023 年度に電通グループは新経営体制「グループ・マネジメント・チーム」を発足。グループで現在145以上の国と地域にわたり、日本、米州、EMEAとAPACの4地域体制を取っています。現在、国内に約150社、海外に約650社を擁し、従業員数は日本で2万3000人、グローバルで4万8000人、全従業員7万人を超える組織になりました(2023年12月末時点)。いまでは収益の約6割は海外が占めています。

2023年よりグループ全体として「One dentsu」を掲げ、それぞれの地域の文化や背景の多様性を踏まえ、連携を強めていく動きにあります。そのような中でDentsu Labという組織は、すべての地域と連携ができるハイブリッド型組織として、まさに「One dentsu」を体現する組織であると自負しています。

ヨーロッパの人からすると、「dentsu=メディアエージェンシー」という印象がまだ残っているなと感じることがあります。でも、ここ数年の活動を通して感じたのは、イノベーション×クリエイティブという僕らのドメインである表現やクラフトは、日本以外の場所、ヨーロッパやアメリカでも確実に通用するし、きちんと評価してもらえるということ。日本人の場合、どうしても言葉の壁にぶつかりがちですが、僕らはそこをテクノロジーやイノベーションで超えていくことができる。だから、ここ数年の海外での活動でその手応えを感じてきました。メディアエージェンシーという従来の大きな価値に、クリエイティブの要素を加えることで、グローバルでの存在感を大きく、強くしていきたいと考えています。今後はローカルとグローバルのハイブリッド展開をベースに、各拠点のメンバーを中心にしながらも、重要案件に関しては国横断のソリューションバックアップ組織として、自由に動く遊軍のようにも動きます。

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