経営理念の浸透を「おかげさまで」に込める/伊藤忠商事

4月に刷新した伊藤忠商事の新CMは、企業理念として掲げる「三方よし」を「おかげさまで」という平易な表現に込めるとともに、シンガー・ソングライターの宇多田ヒカルを起用し若年層にも意識していることがうかがえます。同社のCMについて、元村田製作所広報部長の大島幸男さんに聞きました。

伊藤忠商事「おかげさまでが地球を」篇(30秒)

リクルーティングか経営理念の浸透か

伊藤忠商事が『「おかげさまで」が地球を回す力になればいいのに』をテーマとした企業広告を展開している。一般的に社会から認知されることが困難なBtoB企業が企業広告をする目的は、リクルーティングだ。とにかく社名を意識してもらうことからスタートする。そして究極のゴールは「この企業を信頼、なんとしてもここで働きたい」と思うロイヤルティを形成することである。

しかし、伊藤忠商事の場合多くの調査を見れば、BtoB企業とはいえどもトップクラスの信頼度、就職希望ランキングにあり、すでに確固としたロイヤリティを獲得している。

ではなぜ、そんな伊藤忠商事が企業広告をするのか? 同社のホームページから要約すれば、「次の世代には『希望』を語れるように、次の世代からは『おかげさまで』と言われるように選択をしていかなければならない、この先の世界・地球を考える時にその選択が地球を回していく力になれば、という願いを込めた」とある。

つまり、同社のルーツ近江商人の三方よしの精神―「売り手と買い手の満足だけでなく、社会に貢献できてこそよい商売といえる」現代のCSRにも繋がる経営理念の根幹―を世界共通のものとして定着させたいとの壮大な目的なのであり、知名度向上に汲々としていた者として感動を覚える。


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