周年を機に学習まんがを共同制作 高砂熱学工業の100周年企画

※本記事では月刊『広報会議』2024年9月号(8月1日発売)に掲載した連載企画「周年イヤーの迎え方」を転載しています。

立候補制で周年事業チームを編成

空気調和設備を中心としたエンジニアリング事業を展開する高砂熱学工業が、2023年11月16日に創立100周年を迎えた。

周年企画を「1GOALプロジェクト」と銘打ち、100周年の「00」を「GO」に見立てたロゴを制作して社内プロジェクトのシンボルとして活用したという。

「これまでの100年を思い、次の100年を目指してわくわくできるような施策を社員参加型で進めていきたいという思いがありました」と語るのは、100周年記念事業を担当したコーポレート・コミュニケーション室室長代理の成田晶子氏。

その言葉通り、プロジェクトにおけるパーパス策定とブランディング推進、イベント開催のワーキンググループは有志の社員からの立候補制を取り入れ、3部門から61人の社員が自ら名乗りを上げた。

写真 人物 複数スナップ パーパス策定ワーキンググループのミーティングの様子

幅広い属性の社員が集ったパーパス策定ワーキンググループのミーティングの様子。

周年事業の基本方針である「innovation ~周年事業自体を目的化せず、未来の経営につなげるものとする~」のもと「理念確立」「ブランド醸成」「意識変革」の3つの目標を掲げ、最初に取りかかったのが「パーパス策定」だ。

当時のコーポレート・コミュニケーション室室長として同事業を担当した関信越支店管理部長の鎭目竜次氏は当時の様子を振り返る。

「パーパス策定のために実施した全社員アンケートによって見えてきたのは、一般生活者からの認知度不足によるエンゲージメント低下でした。これは裏を返せば、リーディングカンパニーでありたいという社員の思いの強さでもあります。同時に社是への理解や共感の強さも分かり、それらを意識しながら議論を重ねていきました」。

3年目の技術職担当から現場で所長を務める社員、社歴の長い社員まで幅広い顔ぶれが揃ったパーパス策定ワーキンググループが原案を練り上げ、同社初となる社員共感投票を実施。共感したキーワードの結果などを踏まえて「環境革新で、地球の未来をきりひらく。」に決定した。

「策定の過程でも社員に『自分も参加した』という実感と愛着を持ってもらえるよう、世代別にオンラインディスカッションなどを実施しました」(成田氏)。

エンゲージメント向上の工夫

100周年記念ロゴマークは社内公募を行い、70点ほどの応募作品の中から選定。次の100年に向けた思いや、描く未来を表現したデザインが集まったという。

ロゴ 100周年記念ロゴマーク

社内公募から生まれた記念ロゴマーク。「1」の矢印は、“挑戦”を続けていく力強い意志を、「00=∞」は事業や個々人の可能性の“無限の広がり”を表現。100の下には『空気の流れ』を曲線で表現し、その色には前身である「髙砂煖房工事」の“煖房”=オレンジを起点に、“冷房”=ライトブルー、これから進むべき“環境創造”=グリーンを用いている。

そして2023年10月からはテレビCM放映、東京メトロのグラフィック広告、4都市のターミナル駅でのサイネージCM、新聞11紙への広告掲載、全国各地の車両サイネージCMに加え、学習まんが『空気のひみつ』をGakkenと共同制作するなど、精力的なPR活動を展開した。

「社員のご家族を含め、多くの方に届くよう広告展開のエリアを広げ、『空気のひみつ』は全国の小学校や図書館などに寄贈したほか、社員やお客さまにも配布しました。社員からは『自分の仕事を子どもに知ってもらえて嬉しかった』『両親に仕事のことを伝える際に役立った』などの声が届いています」(鎭目氏)。

実データ グラフィック 学習まんが『空気のひみつ』表紙

Gakkenと共同制作した学習まんが『空気のひみつ』は、社員と家族とのコミュニケーションツールとしても活躍したという。

鎭目氏からコーポレート・コミュニケーション室室長を引き継いだ中村功氏は、100周年を機に制定したグループパーパスの理解浸透を含め、今後もブランディング推進を強化していくと語る。

「今回の1GOALプロジェクトは、社員のエンゲージメントやブランディング向上の根幹となりました。ブランディングとはゴールがあるものではなく、社内外で“我々がどうありたいか” を形にしていくアクションです。多様性が求められる時代にフィットする双方向的なコミュニケーションで当社のDNAをつなげていく作業を今後も継続していけたらと考えています」。

写真 誌面 高砂熱化学工業百年史

高砂熱学工業の歴史をまとめた百年史。

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