情報を発信しても、すぐに埋もれてしまう――広告・広報活動を行う人々にとっては常々悩ましい課題だ。情報過多の時代に、人々の“記憶に残る”情報発信を行うにはどうすればいいのだろうか。
本記事は2024年7月に開催された「宣伝会議リージョナルサミット2024夏in福岡」から、注目セミナーをレポート。BBDO J WESTの平田 純一氏と九州博報堂の松尾 昇氏は話題になる広告の生み出し方を紹介した。
「とがった」広告でバズらせる
九州エリアでは、「とがっている」広告が多いと話す平田氏と松尾氏。
そもそも「とがっている」広告とは、情報をそぎ落とし一番伝えたいことだけに絞って表現したもの。限られた出稿量で人々の注目を集める「とがっている」広告はコスパがよく、予算がかけられない九州エリアにおいて最適な戦術だという。そこで4つの具体例を紹介し、さまざまな「とがらせ方」について言及した。
限られた出稿量で人々の注目を集める「とがっている」広告はコスパがよく、予算がかけられない九州エリアにおいて最適な戦術だという。
まず1つ目の事例は鹿屋市の二大名産品である鰻と和牛。鰻の注文が大きく増える土用の丑の日に和牛もPRするため、松尾氏は和牛生産者VS鰻の養殖業者が「土用のうしの日問題」で論争するという茶番劇を新聞の全面広告とWeb動画で展開した。和牛生産者が「土用の丑の日に「う」のつく食べ物がいいという理由で鰻が選ばれるなら、それは「うし(牛)」でもいいはずだ」と主張すると、鰻の養殖業者も負けじと反論。意見広告のように展開した「土用のうしの日問題」広告は徐々に注目を集め、Yahoo!ニュースのトップ記事になるほど波及した。
九州博報堂の松尾氏。意見広告のように展開した「土用のうしの日問題」広告は徐々に注目を集め、Yahoo!ニュースのトップ記事になるほど波及した。
2つ目の事例はJ1リーグに所属する「アビスパ福岡」。2023年に大躍進をしたものの、何度かJ2に降格した過去の結果から「弱い」というイメージが先行し、ファン獲得が伸び悩んでいた。そこで松尾氏は、電車内をアビスパの広告で埋め尽くした「アビスパトレイン」に一風変わった広告を提案した。たとえば選手のポスターに、「愛犬が、あまり懐いてくれない」など人柄が伝わるひとことを掲載。「視座を下げる」をコンセプトに、サッカーを知らない人でも興味を持てる内容に仕上げた。
BBDO J WESTの平田氏。ザコシショウのギャグ「シュー!」とともに開閉する館内のエレベーターや自動ドアは話題になり、X(旧ツイッター)で14万いいねを記録。さらに誕生祭の過去最高集客数を更新するという快挙につながった。
3つ目の事例として挙げられた沖縄県の求人誌「Agre」は、求人数が県内トップという特長を発信し、かつ競合他社に負けないインパクトのあるCMを求めていた。そこで平田氏は「求人がいっぱい」を「旧人がいっぱい」に変換。「旧人」というキャラクターが多数登場するCMは話題となり、認知度を飛躍的に高めた。
4つ目の事例である商業施設の「パークプレイス大分」は、22周年誕生祭の告知に芸人・ハリウッドザコシショウを起用。平田氏はザコシショウの「シュー」というギャグですべてをコンテンツ化するという試みに挑戦。特にザコシショウのギャグ「シュー!」とともに開閉する館内のエレベーターや自動ドアは話題になり、X(旧ツイッター)で14万いいねを記録。
さらに誕生祭の過去最高集客数を更新するという快挙につながった。
定型化の罠に陥らないよう、「見たことある」、に安心しないで、自分の頭の中で課題を考え直すことを心がけることが重要。
「とがっている」広告をつくるためには、「定型文を徹底的に嫌うことが大切」と両氏は口を揃える。定型化の罠に陥らないよう、「見たことある、に安心しないで、自分の頭の中で課題を考え直すことを心がけるように」と締めくくった。
毎月実施している無料体験講座には、九州博報堂の松尾氏も登壇(8月24日)します。ご興味のある方は下記よりお申込ください。
https://www.sendenkaigi.com/class/detail/cac_free.php#pid33120
コピーライター養成講座 福岡教室の概要サイトは下記になります。
https://www.sendenkaigi.com/class/detail/copywriter_kiso.php
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