前回のコラム「とにかくわかりやすく『ブロックチェーン』の仕組みを説明します。」では、ブロックチェーンとはみんなでひとつの台帳を見ていて、その台帳の上にあるデータは真に自分のものだと言える。そしてその技術を元にしたweb3の世界では、これまで紙でしか証明できなかったものを、デジタル上でも証明できるようになる、そして紙で郵送しないといけなかったものをNFTで送ることで少し便利になるかもしれない……というお話をしました。
今日は、よくいただくご質問に答える形式で、web3について解説をしてみます。
Q. web3、ほんとに普及するの?
2030年にはweb3のユーザーは全世界で10億人を超えると言われています。インターネットの初期の頃も、ネットは怪しいし、セキュリティがヤバい、ギークしか使わない、こんなものは広がらない、と言われていました。仮想通貨業界も2024年に何百億円単位のハッキングとかもありましたし、おそらく同じように日進月歩という感じだと思います。今後どんどんセキュリティ面も強化されていき、使い勝手が良くなっていくまさに真っ只中だと感じています。
web3のスタートアップなどに投資をするベンチャーキャピタルの「a16zcrypto」による2022年の調査によると、2030年には10億もの人々がweb3を利用していると言われています。
たとえば不動産を購入したときに、不動産会社がうやうやしく渡してくれる紙の権利証。不動産を買ったことがある方はきっと家に置いていると思いますが、火事とか空き巣など、やっぱりちょっと不安です。こうした紙の重要書類はNFTで台帳上に保管しておくほうが安全で便利だと思います。仮にPDFでクラウドサービスに保管していたとしても、それが本物だとは証明できませんし、そのクラウドサービスが停止したらデータは消えてしまいます。
他にも、もっとシンプルな例ですが、海外の友達から10万円を受け取るのに、手数料で計5000円、着金まで2〜3週間かかることもあるのに対して、30円(ガス代)と30秒くらいの手数料で完了できます。この社会、便利なものは広がるので私はweb3の普及は間違いないと思っています。
Q. web3が普及したら、web2はなくなるの?
そうではなく、合体します。web2(SNSなどに代表されるような、情報の流れが双方向な Web の時代)がなくなるということではなく、web3の技術でweb2がもっと便利になる、というのがイメージに近いと思います。たとえばNFTの売買をするのは普通のWebサイト上ですし、web2がなくなることは現状ありえません。広告会社風に言ってみると、クライアントに提出する見積りも従来通りデザイン、フロント、バックエンドとあり、そこにブロックチェーンという項目が足されていく感じです。
筆者作成
Q.仮想通貨やNFTは
どうやって所持したり送ったりするの?
仮想通貨やNFTを所持したり送ったりするには、メールアドレスと銀行口座が合体したようなwallet(ウォレット)が必要です。メールを送るように、相手先のアドレスを入力することで仮想通貨もNFTも送れるようになります(前回紹介したガス代を納めるため仮想通貨が必要なことが多いです)。現状このwalletを持っている人は恐らく全世界でも日本でも10人か20人にひとり以下、という感覚だと思います。
筆者が使用している『MetaMask』(世界で最大の分散型wallet)の画面。
Q. walletにはどんなデータが入るの?
大きく分けると仮想通貨とNFTです。将来的にはwalletには、行った場所や食べたものの記録や、学歴や職歴、所持している資格情報や、健康診断の結果まで入ってくると思います。運転免許証や保険証、マイナンバーの情報がここに全て入ってくる未来もありえると思っています。
筆者作成
Q. みんなが見れるところ(台帳)に個人情報を置きたくない人は、どうしたらいい?
これはとても良い指摘で、ブロックチェーン上に乗っているが詳細は見られない、みたいな技術は世界中でまさに研究されているところなので、すぐに解決すると思っています。年齢も名前も健康診断の結果も明かさないものの中にあるNFTなどの情報から、20歳以上である、とか大病はしてない、ことを証明するといったようなカラクリです。なので自分が21歳か46歳かという秘密は守りつつもお酒は買える、とか、身長体重スリーサイズは明かさないけど健康なことだけは証明できて保険には入れる、などができるようになりそうです。
Q.で、結局いつみんなが使うようになるんですか?
現在のweb3の普及率は、インターネットで言うところの2000年くらいのそれだと言われています。イメージ的にはまだiモードが出た1999年の翌年。ガラケーで着メロの時代。Facebook(2004年)もiPhone3GSもTwitterも出る2008年よりかなり前。2011年のLINEやInstagramの登場は、まだ10年以上先。実際にはまだその程度の普及率なので、現時点で超マイナーなイメージですし、本当にさまざまな捉え方がされているのだと思います。人によっては、NFTは投機的で危ない!と思い込んでる方もいらっしゃるのが、実際のところだと思います。
さて、ブロックチェーンとweb3について2回に渡ってご説明してきました。そろそろ具体的な事例に入っていきましょう。次回、ついにブロックチェーンを使ってどんなことがアレコレできるのか、についてお話ししたいと思います!
【次回に続く】