普段は競合同士 伊藤園とコカ・コーラ「2024年問題」解決へ向け共同配送開始

伊藤園と、コカ・コーラ ボトラーズジャパンは8月30日、愛知県新城市を中心としたエリアにおける物流面での協業を開始した。「物流2024年問題」への対応を背景にした物流における生産性の向上と社会課題解決が目的。

写真 商品・製品 コカ・コーラ、お~いお茶

物流面における協業の背景にあるのは昨今の「物流2024年問題」。物流においては、安定的に製品を届けるための物流網の維持・構築が求められる一方、1配送あたりの積載効率や、荷待ち時間など、物流体制においては課題が潜在しているのが現状。さらに物流効率の低下は、CO2排出量を増加させる環境負担の要因にもなっている。

前述の「2024年問題」に関連する物流課題を解決すべく、今回、伊藤園とコカ・コーラ ボトラーズジャパンが協業。両社の物流体制が類似していたことも理由をなり、共同配送に至った。両社は20247月から愛知県新城市を中心とするエリアにおいて実証実験を開始。本格的な運用は同年8月より開始している。

両社の物流体制について、伊藤園では小売店等に製品を配送する際、管轄の支店を中心に自社製品やサービスを営業担当者が直接提供する「地域密着型営業(ルートセールス)」方式を採用している。しかし流通・小売業界や物流業界の変化の中で、製品配送において取引先店舗間の移動に際して長距離となってしまうケースが発生、これに伴った配送効率の低下などが課題となっていた。

一方、コカ・コーラ ボトラーズジャパンでは、自社物流拠点から小売店等に配送する際、物流パートナー社の店舗配送トラックを使用。特定のエリアにおいては、日によって積載量にバラつきがあり、積載率や配送効率が低下することを課題視していたという。

写真 店舗・商業施設 伊藤園 コカ・コーラ

両社の物流における課題を踏まえ、今回の協業では、両社の物流拠点から小売店舗への配送部分を、コカ・コーラ ボトラーズジャパンの物流パートナーが両社製品を混載して配送する。トラックとドライバーをシェアすることにより、1配送当たりの積載量を向上させつつ輸送距離を最小化することで、配送効率の向上と環境負荷の低減を図る。

グラフ その他 共同配送

具体的には、コカ・コーラ ボトラーズジャパンが委託する物流パートナーが、店舗配送後の復路で伊藤園豊橋支店に立ち寄り、伊藤園の製品を積載。そしてコカ・コーラ ボトラーズジャパンの倉庫に一時保管した後、翌日以降に両社の製品を混載し、共通店舗へ納品ツルという流れをとる。なお、各取引店舗での伝票などは、確実に物流パートナー社が管理。両社が触れることがないように各社の決められたルールで処理する取り決めだ。今回の取り組みで得られた知見をもとに、他エリアへの拡大も進めるとしている。

普段は競合となる伊藤園とコカ・コーラ ボトラーズジャパン両社だが、今後も非競争分野においてのアライアンスを検討。持続可能な地球環境の保全と企業価値向上の両立、そして清涼飲料業界の発展に取り組んでいくとしている。

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