モーターの世界大手であるニデック(本社・京都市)は、社名変更を機に積極的に企業CMを展開しています。人気女優の川口春奈さんを起用するなど認知向上に向けた本気度が垣間見えますが、7月から公開しているWebCMからは別の意図がうかがえます。同社のCMについて、元村田製作所広報部長の大島幸男さんに聞きました。
ニデック「開発者たちの視点」篇(60秒)
社名の認知向上はリクルーティングの至上命題
2023年4月に日本電産から社名を変更したニデックが、企業テレビCM「ニデックってなんなのさ?」シリーズを積極的に展開している。
社名を変えるとそれまで培ってきた企業ブランドが落ち、リクルーティング活動に直接影響が現れる。その意味でニデックのテレビCMは社名を浸透させる一点に絞っていて、例えば7月から始めた新CM「ニデックってなんなのさ?浮遊篇」では15秒中に音声や覚えやすい曲に乗せて「ニデック」を6回も出す徹底ぶりである。
テレビCMで関心を抱いた学生に企業の業容、社風、働き方に対する姿勢を理解し共感してもらうために、Webで詳細な情報やメッセージを発信するわけだが、理系学生をターゲットにした同社のWebCM「開発者たちの視点篇」―妄想する者が、壁を破る―は、現状多くの企業が発信するメッセージと明瞭に一線を画していることが特筆される。
WebCMの制作意図については、8月7日のアドタイ記事ですでに紹介されているので要約すると、「妄想する者が、壁を破る」とは、ニデックの技術者たちが「世界をもっと良くするためにできること」を日々考え、試行錯誤しながら、世の中になくてはならないものを生み出していく姿を表現したものであるという。
映像もメッセージも狙い通り、激しい議論を重ね、時には行き詰り、入浴中でも仕事を忘れず、ついに成功に喜ぶ開発者の姿をストレートに描き出しつつ、以下のナレーションが厳粛に入る。