ゼネコンからアクセンチュアに移籍、さらにコンサルタントからエンジニアに転身した人のスキルセット―ビジネスがわかるTECH人材になった人のキャリアの系譜③

産業界全体のDX推進が叫ばれる中で、ビジネスのあらゆる局面で、デジタルテクノロジーを理解した「TECH人材」が必要とされています。コミュニケーションやマーケティングの仕事においても、いまやテクノロジー知識は不可欠。しかし、苦手意識を持つ人も多いのではないでしょうか。
エンジニアやデータサイエンティストほどの専門職は目指さなくても、テクノロジー知識を自身の仕事に活かせる人になるためには、どんな勉強やキャリアづくりが必要なのでしょうか。
この企画は全4回にわたり、ビジネスの最前線で活躍する「TECH人材」に、これまでの学びや自身のキャリアに対する考え方、実践について話を聞きます。第3回はアクセンチュアの八木正彰さんに話をお聞きします。
※本記事のインタビュアーは、DX人材育成のオンラインスクールを運営する、Tech0の前田諒氏と斎藤貴大氏が務めます。

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八木正彰 氏

アクセンチュア
Creative Production Specialist

学生時代は機械工学を専攻。大手ゼネコンの鹿島建設へ入社し、3年半の間で医薬・食品工場の設計および複数の技術開発に携わる。その後、自身のさらなるスキルアップを求めてアクセンチュアへ転職。製造業をクライアントとするビジネスITコンサルタントを3年ほど担当し、現在は同社のコンテンツ開発部門のエンジニアロールに転籍。

■八木さんのキャリアの軌跡

○中学時代にプログラミングに出会う。大学では機械工学を専攻し、プログラミング経験を活かしたバイトを行う。
○IT活用で業界全体が成長する余地を感じ、大手ゼネコンの鹿島建設へ入社。
○アクセンチュアへ転職。製造業の顧客をクライアントとしたコンサルタントを担当
○設計から実装までを一気通貫で経験するためにエンジニア部門へ異動

新卒で入社した大手ゼネコンは、“テックスキル”で乗り切った!?

前田:八木さんのキャリアは理系分野にベースがあると聞きました。まずは、大学時代にさかのぼってキャリアの軌跡を伺えますか。

八木:学部から大学院を合わせて計6年間、機械工学を専攻していました。機械工学科では、ものづくりに必要な4力学(熱力学・材料力学・機械力学・流体力学)を中心に学び、それを活かした研究を行っていました。学部では「磁気粘性流体」という物質の特性を実験的に解明するアナリシス(分析)的な研究、大学院では「数理最適化とシミュレーション」という手法を活かして社会課題を解くシンセシス(創造)的研究に、それぞれ取り組んでいました。

前田:学生時代は一貫して機械工学を専攻していたのですね。一方でプログラミングのアルバイトをしていたと聞きました。どのような経緯で、プログラミングの仕事を始めたのですか。。

八木:中学生の頃からプログラミングには触れていて、その知識を活かしたアルバイトがないものかとぼんやり考えていた時、ソーシャルゲームを制作しているベンチャー企業の方と知り合う機会があったのです。この出会いをきっかけに、運よく雇っていただいた感じです。

斎藤:すごい、そんなこともあるんですね。本当に色々な経験をされていますね。

八木:非常に面白い経験でした。振り返ってみると明確にゴールを定めて動いていたわけではなく、自分の視点から少し先にある「なんかよさそうなところ」に進んでいった結果として学業ではハード関連、バイトではソフト関連といわゆる「ものづくり」の両面を学ぶことができました。

斎藤:その後の就職先として、鹿島建設を選んだ理由はなんだったのでしょうか?

八木:学業とバイトで得られた「ものづくり」の経験・知見、またその中でも特にITスキルを活かせる業界に行きたいと考えたからです。

あと「最初に研究室へOB訪問が来た会社へ応募する!」と考えており、縁があった鹿島建設さんへの応募を決めたのですが、当時の建設業界はこれからIT化が伸びる予感がありました。

前田:八木さんの強みであるITスキルを活かせると考えたわけですね。

八木:応募後は「このまま鹿島建設で自分のITスキルを試したい!」という気持ちが強く、鹿島建設以外は応募していなかったんです。なので、採用後に「実は採用されるかどうかギリギリだった」と聞いてヒヤッとしました。

前田:それは驚きでしたね。では、入社後の担当業務について教えてください。

八木:メインは工場の設計業務でして、お客さまの工場規模に対する要望を基に、建屋や生産ラインの要件定義を行い、そこから設計に取り掛かるといった感じでした。

プロジェクト初期は既存工場の生産ラインを見学して分析、そこから新しい工場の設計を行うのですが、分析結果を活かし、より効率的な導線を設計するのと同時に、製造工程自体の改善も行っていました。

またメインの工場設計業務とは別に、現場の方と一緒に建設現場で3Dの設計図をARで表示するアプリを開発するプロダクトの指揮を取り、最終的には外販をするくらいの反響がありました。

斎藤:外販まで漕ぎ着けたのはすごいですね。

八木:それ以外にも、工場で生産時に出る不良品をAIが選別するプロダクトも立ち上げて特許を取得しましたね。AIが不良品を学習することで、さまざまな製品の不良品判別に活用できる仕様です。そんな感じでITスキルを活かし、社内でさまざまな人と繋がることで面白いプロジェクトに参加させてもらう機会も得られました。

写真 人物 八木 正彰 氏

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