こんにちは!第4回「韓国トレンド研究室」です。今回は「韓国のPOPUP」についてお話しします。
韓国のPOPUPは、展示やポップアップのお仕事が多い私にとって、日々とっっっっても勉強になっています。最近は、広告の案件でもアクティベーション・オフライン施策が増えているなと感じる方も多いのではないでしょうか??
そんな方々のお役に少しでも役立てますと幸いです!
【前編】
1.韓国のPOPUP事情
2.テーマのアイデアが最高!
・デジタルデトックスを体験できるT FactoryのPOPUP
・伝統文化×現代をテーマにした「CHI」
・Amore GAME party
3.本当にPOPUP!?造作がかわいく、クオリティも高すぎ!
・Sunyangのボート
・Diptyque
・チュンシクバースデー
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【後編】
4.楽しませる「体験の工夫」がたくさん!
・Sunyangのボート
・雑貨屋「object」でのチェゴシムのワッペンワーク
・チュンシクバースデー
5.拡散させるための写真スポット・フォト&ムービージェニックのアイデア
・温泉デジタルデトックスのサウナフォト
・Sunyangのボート
・OpenYY
1.韓国のPOPUP事情
まず韓国のPOPUPは、圧倒的にソンス・ソウルの森エリアで開催されていることが多いです。もちろんホンデや明洞、釜山などでの開催もあるのですが、「ソンス・ソウルの森エリア」は、路面店のポップアップストアが通りにたくさん並んでいます。
元々このエリアは工業地帯だったのですが、現在は絶賛開発中で路面店がたくさんつくられています。今では、おしゃれな若者たちの遊び場として人気のスポットで、東京でいうと表参道のような場所だそうです。
工業地帯のため土地が広く、常設店の場合でもフラッグシップ店(そのブランドのメイン・代表のお店のこと)として、ポップアップイベントが開かれていることが多いです。また、広い空きスペース・貸しギャラリーもたくさんあるため、常にさまざまなPOPUPが開催されています。
日本ではギャラリーがあらゆるエリアに点在していて、それらの密集地帯のようなものは特にないと思いますが、韓国の場合は「POPUPに行きたい時はとりあえずソンスに行けば何かしらはやってる」という感覚です。
「韓国でPOPUPのインプットをしたい!」という方は、ぜひこのエリアに行ってみてください。
2.テーマのアイデアが最高!
韓国は、コンセプトがあったり、何かのパロディだったり、テーマ性のあるPOPUPが多く、実際に私が行ったことのあるPOPUPのなかで、特にコンセプトがいいなと思ったものを3つ紹介します。
温泉やサウナをコンセプトにしたT Factoryの「デジタルデトックス」POPUP
温泉やサウナは、デバイスを過剰に使っている現代人にとって、デバイスから強制的に離れられる貴重な時間です。そんな温泉やサウナをテーマに、T Factoryが「デジタルデトックスを体験できるPOPUP」を開催していました。
来場者は最初にスタッフにスマホを預けます。そこから、本を読んだりクイズに答えたり、スマホを使わない娯楽を体験し、デジタルデトックスの時間を過ごすことができるという仕組みです。
伝統文化×現代をテーマにした「CHI」のPOPUP
2つ目は「CHI」という、よもぎの香りや、墨の香りなど、伝統や歴史を感じる香りを扱うフレグランスブランドのPOPUPです。
香りに合わせて、伝統文化をモチーフにしているのですが、それだけだと「昔」という要素しかなく、独自の世界観もつくれず、オシャレにもなりませんよね。
ここでは「チュール」を掛け算することで、「現代×伝統」の独自の世界観をつくり上げていました。スタッフの制服も、チュール素材の韓服風の制服になっていて、とっても可愛かったです♡
「チュール」を掛け合わせることで、「現代×伝統」の独自の世界観をつくりあげた「CHI」のPOPUP。
伝統文化をモチーフにしているだけで十二分に可愛いのですが、チュール素材を装飾やラッピングに使用することで、一気におしゃれさも演出されています。
Amore GAME party
3つ目は、ボードゲームをテーマにした、韓国の大手化粧品メーカー「アモーレ」のPOPUPです。特によかったのが、人生ゲームをテーマにした、「夏メイクのテスターコーナー」。
コマごとに、例えばクレンジングや日焼け止めなどがカテゴリ分けされて、メイクの手順通りに、最も自分に合うものを探せるコーナーになっています。
バラバラにテスターが置かれているのではなく、実際のメイクの手順通りに置かれていることで、連続して、全行程分テスターしてみたくなる仕掛けになっていると思いました。
上記3つの事例に共通しているのが、
「POPUPのテーマがきちんとブランドコンセプトや商品に落ちている」
ということです。
例えば、病院・美容室・パン屋さん・ゲームの世界……など、POPUPのテーマにできるものは山ほどあります。その中で、「そのテーマでやる意味」がちゃんとあるものこそが、意味のあるPOPUPになるのだと思います。
3.本当にPOPUP!?造作がかわいく、クオリティも高すぎ!
POPUPとは、期間限定の店舗やイベントのことを指します。期間限定なので、当然常設店をつくるよりも予算が限られています。
…ですが、韓国のPOPUPは、本当に期間限定なのか疑いたくなるほど凝っていてクオリティが高いです。先述した3つの事例に加え、そのクオリティに驚いた3つのPOPUPをご紹介します。
Sunyang
まずひとつ目は、ソジュ(焼酎)のメーカーのPOPUPで、ボートに乗って、水の上でおでんとソジュが楽しめるという驚きのPOPUPです。
もはや常設店でもすごい、遊園地レベルの造作……。
Diptyque
Diptyqueサマーコレクションの発売に伴って開催されたPOPUPで、今回発売されるコレクションの香りからインスパイアされた味のジェラートを楽しめるお店がオープンしました。外装からインパクト大で、サマーコレクションのパッケージデザインに合わせた、クレヨンのようなタッチになっています。
チュンシクバースデー
KAKAO FRIENDSの人気キャラ「チュンシク」の誕生日が7月21日なのですが、誕生日会のPOPUPがホンデやカンナムのKAKAO SHOPで開催されていました。
外の全面窓のラッピングから、店内の巨大オブジェ、特別映像など、超豪華なお誕生日会に…!さらにすごいのが、「誕生日付近で開催」ではなく、誕生日前日までは普通の店内で、夜に設営し、誕生日当日から開催されていたこと。設営のスピードも、細かい設定のこだわりもすごい……。
このように、クオリティがとにかく高いのが、韓国のPOPUPの特徴です(実際予算ってどうなってるのだろう…気になります)。
もちろん実際に私たちが携わる仕事では予算上限があると思いますが、例えば、「他の部分で予算を削ってでも、ひとつ何かメインビジュアルになるようなものをつくる」など、色々と工夫ができるなと勉強になりました。
…と、前半はここまで。「4.楽しませる『体験の工夫』がたくさん!」以降については、次のコラムでご紹介します。