期間限定のPOPUPで認知から集客まで!韓国の事例から学ぶ、体験づくりの極意②

前回に引き続き、今回も「韓国のPOPUP」について、解説していきます。

【前編】
1.韓国のPOPUP事情
2.テーマのアイデアが最高!
  ・デジタルデトックスを体験できるT FactoryのPOPUP
  ・伝統文化×現代をテーマにした「CHI」
  ・Amore GAME party
3.本当にPOPUP!?造作がかわいく、クオリティも高すぎ!
  ・Sunyangのボート
  ・Diptyque
  ・チュンシクバースデー
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【後編】
4.楽しませる「体験の工夫」がたくさん!
  ・Sunyangのボート
  ・雑貨屋「object」でのチェゴシムのワッペンワーク
  ・チュンシクバースデー
5.拡散させるための写真スポット・フォト&ムービージェニックのアイデア
  ・温泉デジタルデトックスのサウナフォト
  ・Sunyangのボート
  ・OpenYY

4.楽しませる「体験の工夫」がたくさん!

POPUPが乱立している時代・場所において、人々が訪れる場所を取捨選択していくときに、選ばれるPOPUPである必要があります。

来場するほとんどは、「遊びに来た」お客さまのため、ビジュアル(単純に可愛い・インパクトがある・写真映えする・コンセプトがある)だけだと、満足度があまり高くなりません。

韓国のPOPUPでは、体験の満足度が上がるような工夫やアイデアがたくさんあります。そのようなPOPUPをまた3つご紹介します。

SunyangのボートのPOPUP

前編で取り上げたボートでソジュとおでんが楽しめるPOPUP。やはりなんといっても、ボートで水上散歩ができるという体験の価値がもうめちゃくちゃに高いのですが、

・受付でソジュの蓋をもらい、「願いが叶う噴水」ゾーンで蓋を投げてお願い事をしたり…
・韓国で去年の夏に流行っていた「砂ハートフォト」(砂をハート型に掘って、底にスマホを入れて撮る写真のこと)が撮れたり…
・ダーツなどのミニゲームができたり…

と体験の連続で、息つく間もなく楽しむことができるようになっていました。

チェゴシムのワッペンワークPOPUP

#2の韓国キャラ」の際にご紹介した『チェゴシム』のワッペンワークのPOPUPは、アドレナリンがドバドバの楽しい体験でした!

写真 『チェゴシム』のワッペンワークのPOPUPの様子

ぬいぐるみやポーチ、ペンケースやキーホルダー、トレカケースなど、たくさんのアイテムから自分がつくりたいものを選び、さらに大量のワッペンを選んでレイアウトしていきます。最後にお店の方にアイロンでワッペンを固定してもらい、その場で自分だけのオリジナルアイテムが完成!

やはり「カスタム」「手作り」の体験というのは、体験満足度も上がります。

そもそもワッペンワークが韓国で流行っていて、新大久保などにも上陸しているのですが、セリフとセットで人気なチェゴシムがそのワッペンワークをやる意味性というのも、とてもいいなと思いました。

チュンシクバースデー

チュンシクバースデーでは、POPUPに合わせて限定グッズが販売されていたのですが、「バースデーボックス」なるものが売られていました。

写真 商品 バースデーボックス

このバースデーボックス、誕生日パーティーには欠かせない、ホールケーキの箱のようなデザインになっているのです!

POPUPを見るだけだと、自分が誕生日パーティーに参加している感はなかなか感じられないように思いますが、アイテムとして手に取れるものに誕生日パーティーシズルがあると、「パーティーに参加している感」がより高まります。

私は、半分勉強で半分は遊び感覚でPOPUPに行っているのですが笑、とにかく、いいなと思うPOPUPに行った時は本当にアドレナリンが出まくっています(そしてそのアドレナリンでついお財布の紐も緩んでしまいます笑)。

このアドレナリンドバドバ状態はもちろんお客さんによって違います。自分がつくるイベントや展示・POPUPなどのお客さま(になりうる人)にはどんな人が多いのか、どんな体験ができると楽しいのか、お客さま視点がとにかく大事です。

例えば、「参加型〇〇」などは体験ではありますが、実際は、、

・何かしなきゃいけないのは面倒、腰が重い
・イタイ感じがして恥ずかしい
・(女性がロングスカートの時)服装的にできない

などと考えたりして、意外とハードルが高かったりします。

POPUPをつくっている側からすると、体験のカロリーの高さやハードルの高さを忘れがちですが、来場者にとって、その体験が意外と負担になっていないか、という点は、特に気を付けて設計すべき部分だと思います。

5.拡散させるための写真スポット・フォト&ムービージェニックのアイデア

最近日本でもPOPUPや体験イベントなどが増え、多様な面白い・可愛い・素敵なイベントがたくさん開催されています。

ただオフライン施策は、SNSで勝手には広がりません。さらにPOPUPは期限もあるため、期限内で「認知→集客」まで到達しなくてはならず、難易度が高いです。

「UGCが拡散されてそれを見た人が二次的に来場していく」成功例を画面上で見ていると、“自然発生的バズ”を期待してしまいますが、実際はそんなことはなく、そこには「UGCが生まれるような工夫」や「UGCが拡散されるような工夫」がたくさん仕込まれています。

今回も3つの例をあげて説明していきます。

温泉デジタルデトックスのサウナフォト

前編でも紹介したT FactoryのデジタルデトックスのPOPUPは、空間自体もとても可愛かったのですが、なんせスマホを預けてしまっているため、内装を撮るタイミングがあまりなく、コンテンツ内容の性質上、UGCで出ていくことがあまり担保されていませんでした。

しかし、スマホを体験後に受け取った後に、怒涛のフォトスポットが待ち構えていました。笑

サウナのなかで写真が撮れるコーナーが特に可愛く、つい撮りたくなってしまう仕掛けに。鏡が曇っていたり温度計がガラスについているのですが、サウナフォトスポットの部屋が4つほどあり、それぞれで温度が異なり、鏡の曇り具合も違っていて面白かったです。

写真 温泉デジタルデトックスのサウナフォト

チムジルバン(韓国式サウナ)の際に頭にタオルを羊みたいに巻く(ヤンモリという)のですが、それ用のタオルも用意されていました。

SunyangのボートのPOPUP

こちらは言う間でもなく、とにかく動画映えします。

消費者には、開始2秒で動画を飛ばすか観るか判断されるため、とにかくトップカットに惹きをつくるのが大事だと言われていますが、このPOPUPはまさに理想のトップカットが撮れるものでした。

※詳しくは前編をご覧ください。

OpenYY

人気アパレルブランド「OpenYY」が、ハローキティコラボを開催中、期間限定で店舗もキティコラボ仕様になっていました。

ぬいぐるみが積み上げられていたり、鏡の枠にキティちゃんがびっしり・・・!韓国では鏡越しに自撮りをする文化があるのですが、よく見かける、カッティングシートでロゴなどが印字されているものから、このようにインパクト大の装飾まで、アイデアが幅広くてすごい!!

これらの事例のように、POPUPやイベントの設計時には、来場者がつい撮りたくなるような仕組みを考えておくことが重要です。実際に空間をつくる際には、スマホでその場所で撮ってみて、「簡単に技術なくとも良い感じの写真が撮れるのか」を最終チェックしてみるとよいかなと思います!


今回もここまで読んでいただきありがとうございました!(毎度長くなってしまってすみません!!笑)

次回は「韓国の街に溢れるクリエイティブ」がテーマです。

韓国には、本当にフラッと散歩しているだけで、勉強になる表現やアイデアが溢れています!次回もぜひ読んでいただけると嬉しいです。

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佐々木日菜(kakeru プランナー/イラストレーター)
佐々木日菜(kakeru プランナー/イラストレーター)

大学時代、フリーのイラストレーターとして活動。過去に制作した展示は、「どっちかといえばこっち展」「いい人すぎるよ展」「やだなー展」「みんなどんな感じ?展」「いい人すぎるよ美術館&切ないすぎるよ博物館」「うれしいすぎるよ展&そういうことじゃないんだよ展」など。展示ではイラストも担当している。著書に「いい人すぎるよ図鑑」。

佐々木日菜(kakeru プランナー/イラストレーター)

大学時代、フリーのイラストレーターとして活動。過去に制作した展示は、「どっちかといえばこっち展」「いい人すぎるよ展」「やだなー展」「みんなどんな感じ?展」「いい人すぎるよ美術館&切ないすぎるよ博物館」「うれしいすぎるよ展&そういうことじゃないんだよ展」など。展示ではイラストも担当している。著書に「いい人すぎるよ図鑑」。

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