freee「合理的配慮対応方針」を公開、社内研修がテレビで紹介も

サステナビリティへの姿勢や取り組みに関する発信は、いまや企業価値の向上に欠かせない。月刊『広報会議』では、サステナビリティについて効果的な発信をしている企業の広報担当者に、「反響のあった情報発信」やそのこだわりを聞く連載企画「広報担当者のためのサステナビリティ実践ノート」を掲載している。
 
本記事では、「合理的配慮の対応方針」を対外的に公開し、メディア露出にもつなげたfreeeの事例を紹介する。
 
※本記事は、『広報会議』2024年10月号(2024年8月30日発売予定)転載記事です。

クラウド会計ソフトを提供するfreeeは今年6月、「合理的配慮の対応方針」を発表した。プレスリリースを通じて公表したほか、メディアへのコミュニケーションなども実施し、テレビをはじめ複数のメディアで報じられたという。

そもそも同社は2022年9月に「DEIポリシー」を制定したほか、これまでも障害者のアクセシビリティの推進を図ってきた。

その背景をfreee DEI(Diversity, Equity & Inclusion)チームに所属する吉村美音氏は「当社は『スモールビジネスを、世界の主役に。』というミッションを掲げています。個性的・創造的で多様なスモールビジネスを広げるため、自社がまず多様な環境をつくらなければユーザーに多様な環境を提供するのは難しいとの考えからDEIを推進しています」と語る。

こうした中2024年4月から、障害のある人が社会生活を送る際の障壁を事業者と当事者で対話して取り除く「合理的配慮」が民間事業者にも義務化された。

同社はこのタイミングで「合理的配慮の対応方針」の公開を決定。合理的配慮委員会委員長を務める中根雅文氏は、「それまでも障害のある方からの問い合わせや要望に対応していましたが、方針の策定を通じて社内外への明文化を図りました」と振り返る。

同時に「合理的配慮を知る」の社内研修も実施し、従業員への浸透にも注力した。研修でこだわったのは、従業員一人ひとりへの「合理的配慮」の自分ゴト化だった。

写真 人物 複数スナップ

freeeが実施した、「合理的配慮を知る」社内研修の様子。目隠しをするなど、障害のある人の状態でコミュニケーションを行うワークショップを実施。従業員の当事者意識の醸成を図った。

そこでまず、従業員が目隠しをするなど障害のある人の状態でコミュニケーションを行うワークショップを実施。「合理的配慮」は煩雑なことではなく、お互いできる範囲で工夫しながら柔軟に対応することであると体感できる場を創出した。

「合理的配慮は困っている誰かのためではなく、皆が生きやすくなるために必要なもの」という姿勢を示し、「合理的配慮=当たり前のこと」と考えてほしいという狙いがあった。

また合理的配慮について相談できる専用窓口も社内に設置し、中根氏率いる専門委員会も設けた。障害のあるステークホルダーが同社とのやり取りの中で感じる障壁を取り除き、対応者や対応部署による配慮の差異などをなくしていく。委員会が収集した各知見を全社にフィードバックし、プロダクトの改善などにも役立てるという。

そして6月、「合理的配慮」に関する方針や同社の考え、施策を発表した。プレスリリースでは、組織図を用いて社内の連携体制を解説するなど、全社的な取り組みだとアピール。広報から関係メディアや記者クラブへのアプローチも図り、テレビのニュース番組にも取り上げられた。

同社の広報チームに所属する土島あずさ氏は「プロダクトに関する発信は経営者や経理担当者にしか届きませんでしたが、アクセシビリティの情報発信によって取り組みに興味を持ってもらう間口が広がり露出につながりました」と語った。

●「対応方針」における具体的な取り組み

・部門間で認識を揃えていくための社内委員会の設置
・合理的配慮を理解するための社内研修の継続的な実施
・問い合わせ窓口の設置、および社内エスカレーションルートの整備
・対応内容の事例化と社内周知
・事前的改善措置(環境の整備)の実施
など

●「対応方針」のポイント

・合理的配慮の相談窓口を設置。ステークホルダーがfreeeとのやり取りにおいて障壁を乗り越えるための調整を行う。専門チームがワンストップで相談に対応する。
・社内でも、顧客へ適切な合理的配慮を行う専門委員会を設置。各事象へ組織的に対応し、対応者や対応部署による配慮の差異等をなくす。

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