※本記事は月刊『ブレーン』2024年11月号特集「映像とクリエイティブ 視聴デバイスの多様化で変わる表現」への掲載内容から抜粋してお届けします。
「自社」から「社と自」に
動画広告市場は年々拡大しており、2023年の市場規模は6253 億円で、前年比112%の成長を見せました(サイバーエージェントとデジタルインファクトによる「2023年国内動画広告の市場調査」より)。
またそのうち、スマートフォン向けの動画広告は全体の81% である5048億円を、Amazon PrimeやTVerを含むコネクテッドTVの広告は22年比137%の740億円を占めています。動画広告市場全体では、2024年は7209億円、27年には1兆228億円に達すると予測されています。このようにニーズが高まり、表現の多様化も進む動画広告ですが、ここ最近の表現における潮流として2点が挙げられます。
まず、ブランドのイメージを伝え価値を高めるブランデッドムービーの分野では、「自社」目線から「社と自」目線への変化が起こっていると感じています。それは自社の哲学を壮大に語る動画から、さまざまな「自分」、つまり生活者個々人を認めるメッセージを内包した動画にシフトしつつあるということ。昨今海外アワードなどにおいても、ダイバーシティやインクルージョンをコミュニケーションにおいて打ち出す例は多いですが、尺に自由が利く動画広告ではそれがより顕著に見られます。
「プロダクツ」から「コンテンツ」へ
一方、商品をより直接的に訴求するプロモーションムービーにおける特筆すべき変化は、「プロダクツ」目線から「コンテンツ」目線への変化です。モノを売るための商品やサービス紹介という従来の「プロダクツ」型の広告は一方向的な発信になりがちで、プロモーションは「コンテンツ」にしなければ生活者に広がりづらい時代になってきています。
では、プロモーションムービーにおける「コンテンツ化」には、どのような型があるのでしょうか。ここでは4つを挙げてみました。
ひとつ目は「ミュージック」。アーティストのミュージックビデオと融合する動画広告が確実に増えています。ポイントは、ミュージックビデオ単体としても、楽しめるようになっていること。音楽や歌詞が前面に来るように、通常の動画広告で拾う動作音やセリフなどは控えめになっているのが一般的です。
そしてこの形式の利点は、企業側ではなく、アーティストのSNSアカウントから発信がされること。そうすることで、アーティストのファン層を中心に、コンテンツとして動画が拡散されていきます。フォントメーカーのモリサワとVaundyがコラボしたMV『置き手紙』(2022年)や、当社で担当し、なとりとimaseのコラボ楽曲『メロドラマ』を主題歌に起用した日産自動車90 周年記念ムービー「NISSAN LOVE STORY」(2024年)など、最近さまざまな事例が増えています。・・・以降は月刊ブレーン24年11月号本誌、もしくはデジタル版記事(ご購読が必要です)でご覧ください。
〈以降の主なトピックス〉
- コンテンツ化の型――「クラスタ」「テレビ型のエンターテインメント」「サンプリング」
- 縦型動画広告は、プラットフォームごとの“得意とする”コンテンツを理解する
- 縦型動画を成功に導く3 つのポイント
- 海外事例に見る、縦型動画の多様な表現
映像とクリエイティブ
視聴デバイスの多様化で変わる表現
- 拡大する市場と多様化するプラットフォーム 動画広告の打ち手と表現
髙橋律仁(TBWA HAKUHODO) - 増えるアニメーション広告 テレビCMとSNSに適した表現は?
花田礼(電通) - 横型・縦型共に面白路線で人気 「銀のさら」CM 企画の裏側
ライドオンエクスプレス「銀のさら」 - リアリティと落差で引き付ける 6秒バンパー広告
P&Gジャパン/ファブリーズ「君に、鼻ツン。」 - 共感と意外性を生み出す 縦型ショートドラマのつくり方
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