慶應・竹中研究室出身でつながる意外な3人!?  広告・マーケティング・メディア業界の「同窓会」

出身地や高校・大学(さらに学部やゼミ)、新卒で入社した会社など、ビジネスパーソンは誰しも、複数のコミュニティに属しているものです。そうしたコミュニティの中でも、特に10代、20代の価値観が形成されるタイミングで出会った同志との関係は、その後の仕事に対する哲学にも影響を与えるのではないでしょうか。
 
本企画では、同じ高校や同じ大学のゼミで学ぶなど、実は同じコミュニティ出身で、現在は広告・メディア・マーケティングを中心に、産業界で活躍されている方たちをお招きして、当時の思い出話から、現在のお仕事まで伺っていきます。
 
「実は、あの人とあの人は同じ高校の出身だった」「大学のゼミの先輩、後輩の間柄だった」などなど、意外な業界内のつながりも見えてきますよ。
 
第1回は慶應義塾大学の「竹中平蔵研究室」出身のお三方に集まっていただきました。

写真 人物 写真左から平尾氏、佐々木氏、山崎氏。

写真左から平尾氏、佐々木氏、山崎氏。

初回の広告界同窓会は「慶應義塾大学・竹中平蔵研究室」です
・PIVOT 代表取締役社長CEO 佐々木紀彦 氏
・サイカ 代表取締役CEO 平尾喜昭 氏
・マザーハウス 代表取締役副社長 山崎大祐 氏

マザーハウス創業のきっかけは竹中研究室にあった!

――皆さんは、慶應義塾大学の竹中平蔵研究室出身という共通点がおありだそうですね。佐々木さんが一番の先輩で次が山崎さん、さらに平尾さんと続き、年代は異なるものの、研究室を通じて今もつながりがあると聞きました。まずは3人に大学の竹中先生の研究室時代に学び、今も仕事に生きていると思うことを伺いたいです。

平尾:実は今日は竹中先生が慶應義塾大学を退官する際、OBOGに取ったアンケートを持ってきました。このアンケート結果を見ると、「ファクトベースで論理的に考える姿勢」がトップの15%で、「経済学について学んだ」は3%ほどでした(笑)。

山崎:確かに経済学だけではない学びが多かった、と思います。僕には、研究室時代の強烈な思い出があって、それは研究室の幹事をしていたときに竹中先生が大臣になられたとき(2001年、小泉内閣で経済財政政策担当大臣に就任)のこと。

そんな状況でも、いつも通りに大学に来られて一緒に学食に行ったとき、僕が竹中先生が食べた食器を片付けたんです。すると「ありがとう」と言っていただいて。こんなに立場も違うし、僕がやって当たり前なことなのに、感謝の言葉を言われるなんて、と衝撃でした。

先生は教育面では厳しい部分もありましたが、基本的には誰に対してもフラットに接してくださる。僕も将来、どんな立場になってもみんなに「ありがとう」って言える人になろうって思いましたね。

写真 人物 山崎大祐 氏

また、ゼミ面接の面接官は学生が行うのですが、そこで僕が面接したのがマザーハウスを共同で創業した山口絵理子なんです。質問の受け答えは全然ダメだったのですが(笑)、一番最後に「あなたの夢は何ですか」と聞くと「総理大臣になって世界の教育を変える」と答えていました。その一言で合格にしました。そこで落としていたらマザーハウスは生まれていませんから、学びの場は仲間づくりの意味でも非常に重要だなと感じています。

竹中先生は大物芸人、学生はひな壇芸人!?

佐々木:僕は具体的な言葉で言われたことではないのですが、雰囲気というか、風土というか…圧みたいなもの?と言えばよいでしょうか。それが一番印象に残っています。

ゼミでは、文献やニュース記事を読んで発表してみんなで議論したりと、とにかくディスカッションが多かった。その時に司会をする竹中先生は、島田紳助さんやダウンタウンさんのようで、一方で僕たち学生はひな壇芸人(笑)。

そこで手を挙げて、いかに知的かつ深いことを短く・早くプレゼンができるかが勝負。面白くなければ先生は露骨につまらなそうな顔をなさる(笑)。あのようなピリッと緊張感がある知の空間は他にないので、良い経験値になったと思います。

写真 人物 佐々木紀彦 氏

平尾:すごくわかります。アンケートでも「経済学について学んだ」という人が少ないのは、経済学はロジックやファクトの考え方のツールのひとつとして向き合った、という人が多いからじゃないですかね。

佐々木:本質的な頭の良さが問われますよね。学んだことの第1位の「ファクトベースで論理的に考える」と、2番目の「何が問題かを定義してどう議論するか」、3番目の「チャレンジ精神」、この3つは起業の成功に欠かせない考え方の鍵ですよね。

平尾:最初の授業で言われたのが、この3つに加えて、「グローバルを意識せよ」という話と、あと印象に残っているのが「文化を大事にせよ」という話でした。経済学者がいなくても経済は存在するし、政治学者がいなくても政治は存在し続けるのだけど、アーティストがいないとアートは生まれない、だからアートを大切にしよう、文化を大切にしようと竹中先生がおっしゃっていました。また、「困った人がいたときに“できない理由”ではなく、“できる理由”を出せるような人間になるべき」というエンカレッジの話も心に残っていますね。

写真 人物 平尾喜昭 氏

あと、竹中研究室を語る上でなくてはならないイベントがミニカンファレンスです。各セメスターの最後に在校生がオリジナルの政策をつくって発表するのですが、そこにOBOGがずらっといらっしゃる。そこでですよね(笑)。

佐々木:個性的な方が、たくさん来ていましたよね。

山崎:佐々木さんは青柳直樹さん(ライドシェア事業を手掛けるnewmo創業者)と同期ですよね。僕は中室牧子さん(慶應義塾大学総合政策学部教授、東京財団政策研究所研究主幹)が先輩としていらっしゃっていて、愛と厳しさでもって接してくれました。

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佐々木紀彦 氏

PIVOT 代表取締役社長CEO

「東洋経済オンライン」編集長を経て、NewsPicksの初代編集長に。動画プロデュースを手がけるNewsPicks Studiosの初代CEOも務める。スタンフォード大学大学院で修士号取得(国際政治経済専攻)。著書に『米国製エリートは本当にすごいのか?』『5年後、メディアは稼げるか』『日本3.0』『編集思考』『起業のすすめ』。

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平尾喜昭 氏

サイカ 代表取締役CEO

2012年慶應義塾大学総合政策学部卒業。学業と並行して、日本と韓国で音楽活動を行う。父親が勤める会社が倒産したことを原体験として、大学在学中に出会った統計分析から経営支援の可能性を見出し、2012年2月にサイカを創業。統計学と経済学をベースに、これまで数多くの大手クライアントでマーケティング精度向上のコンサルティングを行ってきた。その知見を基に、サイカの各種ツール開発におけるプロダクトオーナーを歴任。

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山崎大祐 氏

マザーハウス 代表取締役副社長

慶應義塾大学卒業後、ゴールドマン・サックス証券にてエコノミストとして活躍後、2007年退職。大学の後輩である山口絵理子氏と共に、「モノづくり」を通じて「途上国」の可能性を届けるマザーハウスを創業、副社長に就任。2019年3月より代表取締役。6つの生産国と3つの販売国を中心とした海外を巡りながら、従業員数・約1000人となった同社の経営管理全般を担当。その他Que社外取締役、日本ブラインドサッカー協会外部理事など。

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