一流企業のトップが登場するビズリーチのCMに「人材争奪」時代の予感

大手企業のトップが自社の採用に向けた意気込みを語る「ビズリーチ」のCM。キャスティング会社イー・スピリットの足立茂樹さんは、テレビで見てとても驚いたといいます。このCMの斬新さはどこにあるのかを解説いただきました。

ビズリーチ「社長の本気」篇 野村ホールディングス(15秒)

インパクトある訴求の背景に大手企業の「お墨付き」

ビズリーチの「社長の本気篇」は、視覚的にもメッセージ的にも非常に強いインパクトを持つCMです。NEC、NRI、JFEスチール、第一生命、野村證券、三菱UFJ銀行といった日本を代表する大企業の社長が登場して、求める人材像をCM内で説明し、「社長は本気だ」というテロップとナレーションが被ってきます。

超一流企業の社長自らが顔を出して語るという演出は、非常に稀であり、それ自体が広告としての斬新さと強い印象を与えています。結果、ビズリーチが転職活動での重要なプラットフォームであることが、採用側の企業に対して伝わる一方で、転職候補者に対しても強くイメージされる一挙両得で優れたCMだと思います。

技術的には、このCMはこれまでビズリーチが展開してきた連呼型とは異なり、「テスティモニアル(testimonial)」という広告手法を取り入れ、視聴者に対して「信頼できるサービスである」というメッセージを伝えることに成功しています。

テスティモニアルCMとは?

テスティモニアルCMとは、企業・製品のユーザーや専門家が、自身の体験を通じてサービスや製品の効果を語る形式の広告手法です。この手法は、第三者の声を借りて信頼性を高め、視聴者に安心感を与えるために大変有効です。

一般消費者の場合もありますが、権威者が登場することが多く、「この人が使っているなら(薦めているなら)自分も信頼できる」という心理を利用して購買意欲や利用意欲を喚起します。そのため、出演者の信用度がテスティモニアルCMの信頼に関わる重要なポイントになってきます。

テスティモニアル手法は、20世紀前半にアメリカで普及しました。製薬業界や家電業界などで広く使われました。日本でも医薬品などで医師やスポーツ選手を起用したテスティモニアルCMは数多く存在しますが、今回のビズリーチのように、著名企業のトップが自らの顔と名前を出して広告に登場するのは大変珍しいです。

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