キャッチコピー生成技術の最新トレンド
月刊『宣伝会議』主催の「宣伝会議賞」の季節を迎えている。AIによるキャッチコピー生成技術の進化は広告業界に大きな波紋をもたらしているが、「宣伝会議賞」応募者の皆さんもまた、これらの動向が気になるところだと推察される。前回の月刊『宣伝会議』10月号では、AIの影響はさらに深化し、新たな局面を迎えつつあると触れた。では、最近のキャッチコピー生成技術のトレンドはどうなっているのだろうか?
コピーライターの思考を学んだ「AICO2」の登場
電通と電通デジタルが2024年8月に発表した「AICO2」は、コピーライターの思考プロセスをAIに学習させた画期的なツールだ※1。このツールの特筆すべき点は、単にコピーの文言だけでなく、コピーライターの意図や思考プロセスまでも学習させている点にある。これにより、AIは「伝えるべきこと」と「表現方法」を理由とともに提示できるようになった。
「AICO2」の開発背景には、従来のAIツールの限界があったという。2017年にリリースした初代「AICO」には、過去のコピーと類似したものを出力したり、テーマとかけ離れたコピーを生み出したりする傾向があった。また、一般的なLarge Language Model(LLM)をそのまま利用するだけだったため、心に響くコピーを生み出すには不十分だったのだ。
AIの創造性を科学する東京大学AIセンターとの共同研究
「AICO2」の性能評価は、東京大学AIセンターとの共同研究によって行われた※2。この実験では、コピーライターの思考プロセスでファインチューニング※3したGPT-3.5 Turboモデル(ChatGPT SFT)と、ファインチューニングしていないGPT-4モデル(ChatGPT Non-SFT)を比較している。
実験結果は興味深いものだった。ChatGPT SFTは全体評価で5%高いスコアを獲得し、特に「時代性」で24%、「魅力」で13%のスコア向上が見られた。一方で、ChatGPT Non-SFTは人間のみの場合と比べて12%低いスコアとなった。この結果は、AIにコピーライターの思考プロセスを学習させることの有効性を示している。
また、別の観点からは、論文本体でも述べられているように、「現在の大規模言語モデルが抱える問題点である、物理世界や人間の感情・感性に関する理解・知識が不足しているという点を克服する必要性がある」ことも強調しておきたい。
…この続きは10月1日発売の月刊『宣伝会議』11月号で読むことができます。
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