月刊『宣伝会議』が主催する公募広告賞の第62回「宣伝会議賞」では、11月5日まで作品を募集しています。締切まであと1週間のラストスパート企画として、「ことば」に関わるプロフェッショナルの方々とのコラボ動画を配信します。
第2弾は、前回に引き続き「ことば」に関する総合的研究機関である国立国語研究所の准教授で、『岩波国語辞典』『広辞苑』の改訂にも携わる柏野和佳子氏と、コピーライターで「宣伝会議賞」審査員の野澤幸司氏の対談です。キャッチコピーの「表情」をテーマに語ります。
対談後半のテーマは「キャッチコピーの表情」について。
国立国語研究所の柏野和佳子氏は、「多義を支えているのが比喩である」と話す。比喩の種類として「メタファー(暗喩)」「シネクドキ(提喩)」「メトニミー(換喩)」を解説。普段意識することはないかもしれないが、言葉の世界には「ある言葉が別のものを表す」という比喩がそこかしこに溢れていると指摘する。
こうして豊かな言語表現を形づくるメタファーを中心とする比喩だが、「広告の世界では、時代の変化とともに、できるだけ直線的に、すべてを言わないと伝わらないようになってきた」と野澤幸司氏は指摘する。一方で、野澤氏自身は、メタファーの持つ価値を強く感じているよう。情報が伝われば目的は達成できるものの、メタファーによって、より人の心に残る広告を作ることができる、とその効用について語る。
「直接的な表現がバーナーで一気に熱を加えるものだとしたら、メタファーは炭火。温まるのは遅いが、長い間熱を届けることができる」と話す。
さらに、メタファーの使い方には企業の個性や商品らしさが表れると述べ、「そういう例え方をする企業っていいね」と感じてもらえることが、メタファーを使う意味のひとつだと話す。
そして話題は、2人の「気になった言葉」「比喩が使われた好きなコピー」に。
柏野氏は学生から教えてもらった「低みの見物」という言葉を紹介。「高みの見物」をもじった新しい表現が、特にSNSで「新参者として謙虚に見守る」という意味で使われ始めている例を挙げ、言葉の使われ方の広がりを解説した。
野澤氏は「ナイフで切ったように夏が終わる。(1982年 PARCO/長沢岳夫)」を挙げ、「突然」という言葉以上に、突然の終わりであることが伝わる強い表現であり、かつ古さを感じさせないとして、普遍的な魅力を語った。
――本対談の全編は、宣伝会議公式YouTube、及び国立国語研究所公式YouTubeにて公開中です。前編はこちら。
第62回「宣伝会議賞」の応募はこちら。
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