新制度に移行した「東京ゼロエミ」事業 有効活用する家電販売事業者

省エネ家電への買い替えを促す東京都の制度「家庭のゼロエミッション行動推進事業」が、10月から新制度に移行した。申請者が家電の購入者から販売事業者に変更され、店頭での直接値引きが可能になった。値引き後の価格が記載された値札を使用できるため、事業者の期待は大きい。研修会や販促物で量販店や専門店を支援し、同制度を積極的に活用しているパナソニックに話を聞いた。

写真 人物 パナソニックマーケティングジャパン首都圏社の倉林隆志常務(左)、エリア戦略係の西田雅則担当課長(中央)、玉ノ井諒主務

パナソニックマーケティングジャパン首都圏社の倉林隆志常務(左)、エリア戦略係の西田雅則担当課長(中央)、玉ノ井諒主務

「家庭のゼロエミッション行動推進事業」は、設置済みのエアコン・冷蔵庫・給湯器・照明器具を、省エネ性能が高い機種に買い替えた都民に対して、「東京ゼロエミポイント」を付与し、ポイント数に応じた商品券とLED割引券を交付する制度。2030年までに温室効果ガス排出量を2000年比で50%削減する「カーボンハーフ」の実現に向け、家庭の省エネ行動を促すことが目的で、2019年10月からスタートした。

家電販売事業者は同制度を活用して高価格帯商品の販売につなげており、パナソニックも買い替えの提案や高機能製品の訴求に役立てた。コロナ禍以降の物価高や光熱費高騰の傾向によって、ランニングコストを抑えることができる省エネ家電のニーズが高まっていたことも追い風だった。

同社は対象商品を分かりやすくするほか、省エネ家電の機能性をアピールするチラシやPOPなどを販売店に提供することで制度を最大限に活用。販売員が店頭で同制度を利用した接客トークができるよう、販売店向けの研修も実施した。

一方、旧制度(2019年10月から2024年9月30日までの購入が対象)では、製品購入後に購入者が東京都に申請する必要があった。販売店は制度の存在や申請方法を顧客に伝える工夫を凝らしていたものの、申請の手間が要因で販売機会の損失につながっていたという。制度に関する店頭への問い合わせも多く、販売店側の負担も大きかった。

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