※本記事は、広報会議2024年12月号 特集「BtoB企業に学ぶ 広報チャンス」(11月1日発売予定)の転載記事です。
2024年6月に設立された、GMOインターネットグループ傘下のGMO AI&ロボティクス商事(略称:GMO AIR)。同月に実施した設立記者発表会では、同社が目指すAIとロボットの融合による未来社会のビジョンを広く示したほか、二足歩行ロボットなど、パートナー企業のロボットやドローン計8体が登場するインパクトのある演出を図った。
多くのメディアが取材に訪れ、9つのテレビ番組で取り上げられた。また9月に開催された展示会「Japan Robot Week 2024」への出展も話題となり、併せて200以上の媒体で紹介、50社以上との商談が進行するなど、業界内外で話題を集めている。
設立記者発表会に登壇した、GMOインターネットグループ グループ代表 熊谷正寿氏(真ん中)とGMO AI&ロボティクス商事 代表取締役社長の内田朋宏氏(右)、千葉工業大学未来ロボット技術研修センター所長の古田貴之氏と、8体のロボット。
社会課題と紐づけた広報を
GMO AIRの事業内容は、AIとロボティクス技術を持つパートナー企業の商社として、GMOインターネットグループが有する各種サービス・ノウハウと共に、クライアント先に産業界向けの業務効率化や自動化ソリューションを提供することだ。
広報体制では、GMOインターネットグループ全体の広報活動をサポートするグループ広報部が担う。専任の広報担当者は置かず、グループ広報部が5名体制でサポートを行っているという。広報戦略としては、メディアリレーションの強化とメディア露出の拡大を重点施策として位置付ける。各社のサービスや取り組みが「社会課題をいかに解決するか」を、分かりやすく伝えることに注力している。
目指すべきビジョンを強調
こうした中、2024年6月の設立記者発表会では、同社が提供するAIとロボティクスのソリューションを紹介し、今後の事業展開についての説明を実施。「『AIとロボットをすべての人へ。』というコーポレートキャッチを掲げ、当社の設立背景に加え、AIとロボットが解決する社会課題や当社の事業によって目指すビジョンを発信することに注力しました」と語るのは、GMOインターネットグループ グループ広報部の田部井葉奈氏。
発表会の冒頭ではまず、同社が目指すAIとロボティクスの融合による未来社会のビジョンを示した動画を放映。テクノロジーの急速な変化が進む時代において、AIとロボティクスがもたらす変化を示した。工場での自動化や、ロボットが人間と協力して作業を行う様子、さらには医療現場でのAI活用シーンが映し出され、視覚的にその可能性を表現する形に。AIとロボティクスが実際の業務にどのように寄与するのかをイメージできる内容を目指し、ロボットが人間と共存する未来の姿を示した。さらにこれが、すべてAIがつくった動画ということも話題となった。
「AIとロボットをすべての人へ。」GMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR)
その後、GMO AIRの設立背景や目的について、GMOインターネットグループの代表である熊谷正寿氏と、GMO AIRの代表取締役社長である内田朋宏氏がそれぞれ説明した。特に、2040年までに1100万人の労働人口が減少するという具体的なデータを示しながら、現代の製造業や物流業界における深刻な人手不足の問題を提起し、その解決策として事業を展開していく姿勢を強調する形に。
「『労働力の確保が企業にとって大きな課題』であることを強調し、AIとロボットによる課題解決の可能性があることを一貫して伝えることにこだわりました」と田部井氏。具体的に、従来工場などで活躍してきたロボットが、AIの導入により自律的に判断し、より高度な作業ができるようになると説明。生活の質も向上し、人間がさらに創造的な活動に集中できる未来像を提示した。
GMO AI&ロボティクス商事の設立意義について、熊谷グループ代表は「労働力の確保が企業にとって大きな課題」となる中、AIとロボットを活用して課題解決していく姿勢を強調した。
プレスリリースとして出した記者発表会のレポートやSNS、公式サイトなどでも同様のメッセージを一貫して展開。社会課題を解決するために、AIとロボティクス技術を活用したソリューションを提供するという企業イメージの醸成を図っている。
「AIにボディを与える」演出
また記者発表会では、「AIとロボット技術の融合」というテーマをビジュアル面から効果的に伝えることにもこだわった。特に注目されたのが、ロボットなどが計8体登場して行われたデモンストレーションだ。