動画配信サービスや見逃し配信の視聴者数の増加に伴って、コネクテッドTVの普及が進んでいます。それによって、テレビの見られ方や端末の使われ方はどう変わっているのでしょうか。本稿では、2017年ごろから現在に至るまでのテレビの見られ方の傾向について紹介します。
コロナ禍でテレビ視聴が急増
コネクテッドTV(CTV)とは、インターネット回線に接続されたテレビ端末を指します。テレビ端末のネット結線率(東京50キロ圏、ビデオリサーチ調べ)は、2023年時点で59.6%。2015年の24.5%から着実に増えていることがわかります。
では、テレビの見られ方はどう変化しているのでしょうか。液晶テレビなどの映像機器メーカーで、テレビ視聴データ分析サービスの提供も手がけるTVS REGZA株式会社の協力のもと、2017年から7年間のレグザ視聴データの変遷を見ていきます。
まずは全体(すべての年齢層・性別)のゴールデンタイム(19~22時)の月間平均ライブ率(利用率)は以下の通り。
GT(ゴールデンタイム)・地域全体の利用率と内訳
ライブ率 (地デジ):地上波全局
ライブ率 (BS・CS・SP):BS・CS・スカパー!プレミアムの全局、BS4K・CS4Kの全局
HDMI:HDMI入力機器 (レコーダー,Fire TV Stick・Chromecast等の機器,ゲーム機器,音響機器,セットトップボックスなど)
VOD:レグザ搭載のネット動画アプリ(TVer, NetFlix, Amazon Prime, U-NEXT, dTV, Hulu, Abema, Disney+など)
YouTube:レグザ搭載のYouTubeアプリ
再生行動:テレビの録画機能で番組を録画再生視聴 ※外付けレコーダーは含まない (HDMIでカウント)
その他:録画リスト・みるコレの利用など
テレビ全体の利用率の推移を見ると、2020年に急増しているのがわかります。コロナ禍で行動制限がかかり、最初の緊急事態宣言が発出された時期と重なっています。以降は徐々に減少し、現在は2018年ごろの水準に落ち着いています。
ネット動画アプリへのシフトが加速
2017年と現在を比較すると、全体の利用率自体に大きな差はないものの、内訳が徐々に変わっていることがわかります。同じデータで、テレビ利用率全体を100%としてグラフ化したものがこちら。
GT(ゴールデンタイム)・地域全体の利用率内訳(全体を100%)
地上波をライブで見る「ライブ率(地デジ)」と再生行動が減少し、ネット動画アプリ(YouTube・VOD)の利用が増加しています。その中でもYouTube利用の増加が目立ちます。
次にUnder49(49歳以下)を見ていきます。大まかな傾向は「地域全体」と変わらないといえますが、利用率の内訳の変化がより顕著に表れています。若年層は特に、YouTubeやVODなどのネット動画アプリへのシフトが加速しています。テレビ受像機でネット動画や映画やスポーツ中継などのオンデマンドサービスを見るというスタイルが徐々に定着しつつあることがうかがえます。
GT(ゴールデンタイム)・49歳以下の利用率内訳(全体を100%)
【調査について】
テレビ用途別の月間平均ライブ率 (利用率) を、時間帯区分ごとに集計(月間平均ライブ率 (利用率)とは、時間帯区分ごとの1日平均ライブ率合計÷対象月の日数を指す)。対象は全国、集計期間は2017年10月~2024年7月。
視聴データ提供元:TVS REGZA株式会社
https://www.regza.com/tvdata