サイエンス(大阪市)は、シャワーヘッド「ミラブル」の技術を生かし、医療や宇宙など新たな事業を展開する。このたび、一般医療機器・電動式生体用洗浄器「ミラブルボディーウォッシャー」を開発。独自の技術で効率よく吐水し、十分な洗浄力を発揮する同社の「ファインバブル技術」は、医療分野での水の使用量削減や作業負荷の低減策として注目されてきた。民間の宇宙利用時代に向けた「宇宙シャワー」の開発も着手。宇宙でも快適に使用できるシャワーの実装を目指す。
医療など様々な分野に挑戦する意気込みを見せた青山会長(左)と平江真輝専務
「ファインバブル」とは、直径0.1ミリより小さな泡で、2017年6月にISO規格で定められた。0.001ミリ以上0.1ミリ未満の気泡は「マイクロバブル」、0.001ミリ未満の気泡は「ウルトラファインバブル」と区別される。ミラブルが生成するウルトラファインバブルには、毛穴に蓄積された皮脂汚れや老廃物、臭いの元を洗浄する効果がある。特殊な「空気混合方式」を採用することで、同じ水圧でも水の使用量を大幅に節約できる。
アトピー性皮膚炎に関する臨床研究において、15人の被験者が3ヶ月間ミラブルを使ったところ、肌状態の改善が見られた。また、ミラブルは医者が手術前に手を洗う洗面台水栓に搭載された実績もあり、医療機器として認可を受ける以前から医療現場で注目を集めていた。青山恭明会長によると「薬液で頻繁に手を洗うドクターは手荒れに悩む人が多く、ミラブルの節水効果も注目された」という。
青山会長は自身の娘が肌の疾患を患っていることもあり、自社の技術を医療現場で役立てたいという強い思いがあった。そこで、3年前から医療機器として認可を受けるための取り組みを本格化させた。医療機器としての要件を満たすため、病院や大学との研究を重ね、製造販売に必要な認可取得などの手続きを完了した。