多様なチャネルを駆使し、分析と実行を繰り返すNECのインターナルコミュニケーションとは?

人手不足が叫ばれる中、社員の獲得はどの企業も苦心しているところだろう。社員を会社の「ファン」にするインターナルコミュニケーションについての事例を紹介する「インターナルコミュニケーション・デイ」が2024年10月に開催。クロージングセッションでは日本電気(NEC)シニアディレクター コーポレートコミュニケーション統括の岡部一志氏が登壇し、NECで実施しているインターナルコミュニケーションについて説明した。

「何の会社なのか」認知されにくい課題

2024年に創業125周年を迎えるNEC。同社の事業内容は、幅広い業種業態の企業や中央省庁・自治体向けのITサービス事業と、テレコムサービスや航空・宇宙・防衛システムなどの社会インフラ事業と多岐にわたっている。どれもが私たちの生活に欠かせない社会づくりにつながっており、同社社員は事業に誇りを持っていると岡部氏は強調する。現在、NECでは第3の創業期として、「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指す」というパーパスを掲げ、「社会価値創造型企業」を目指している。同社社員には浸透しているものの、就職活動中の学生を含む外部の人々には「NECが何をしている会社なのかわからない」との声もあり、社員の誇りが薄らいでいるという課題を抱えている。

世界中のネットをつなげる海底ケーブルの供給や、宇宙衛星から防衛システムの構築など、社会のインフラとなる領域に長年携わってきており、その領域の幅広さは世界でも類を見ないNECだが、グループ共通の行動指針となっているのが「NEC Way」だ。ここには先述したパーパスも記されており、パーパスを軸に中期経営計画が策定されている。そして、中期経営計画の中には、事業面での目標に加えて、達成すべきエンゲージメントスコアが文化面の目標として組み込まれていると岡部氏は説明。そのため、インターナルコミュニケーションを拡充していくことは、経営計画の中でも重要な位置づけとなっている。
岡部氏は「エンゲージメントスコアを上げていくためには、社員が経営戦略を理解し、ワクワク感や誇りを持つことが重要で、そのためにインターナルコミュニケーションにもっと力を入れなければならない」と考え、ここ数年で人的リソースも増加させ、体制を強化した。以前はコミュニケーション部門内の人的リソースは社外向け:9、社内向け:1の割合だったが、現在は半々になっているという。

エンゲージメントスコアを経営幹部から組織長全員の共通目標に

さらに岡部氏は、NECでの取り組み例を紹介した。
まず「インターナルコミュニケーションは、トップと合意形成をしたうえで進めていくことが重要」と話し、戦略の立案から企画を社長に提案することを徹底している。社長と社員が対話をする場「タウンホール」を毎月設けたり、年に1度の創立記念日には「NEC Way Day」という場を設けたりしている。また、月に2~3回はブログでの発信やビデオメッセージなど、トップから社員に対し、直接メッセージを届けるという。「タウンホール」は、コロナ
禍でオンラインでのスタートだったが、現在はリアルでの開催も含めハイブリッドで実施し、平均1万3000人ほどが参加するようになった。続けていくことで取り組み自体が社員に浸透し、「エンゲージメントの向上に役立っている」という声も社員から上がるようになったという。また、社外の発信は社内への発信でもあると考え、社長への講演やメディアの出演依頼は「社員に響くかどうか」も目的の一つに考え、出演可否を決めるそうだ。

続いて岡部氏が紹介したのは、社員の家族に対する取り組みだ。社員を支える家族にも会社のことを理解してもらうことが重要と考え、会社が家族に感謝を伝えるべきだと考えている。そのため、毎年12月の1カ月間「NEC Happy Holidays」という社員とその家族向けキャンペーンを展開。社長から家族向けのビデオメッセージ配信、社員が家族と一緒に参加できる様々な施策や社長のタウンホールミーティングに家族も参加できる機会などを設けている。
また、岡部氏は「社員のエンゲージメントが高まると会社のことを語りたくなる」と考え、社員がLinkedInの活用を通じて、社外に対して会社の取り組みを情報発信できる環境を整備中。「社員はコミュニケーションのチャネルになる」と強調した。
最後に岡部氏は、エンゲージメントスコアの位置づけについて説明。同社において、経営指標の一つであるエンゲージメントスコアの結果は、社長、役員をはじめとする組織長全員にとって、評価・報酬に反映される項目となっている。そのため、部署の責任者がそのままエンゲージメントスコアの責任者となり、現場から経営層まで全員の共通目標となる。これは組織規模が大きければ大きいほど、施策展開の上でのカギとなるだろう。また、定期的な全社サーベイなどの実施を通して効果測定を徹底し、分析と検証、仮説立て、改善に向けて進んでいくことが重要だと締めくくった。

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