森永製菓のアイスブランド「板チョコアイス」は2024年3月、YouTube動画「板チョコアイス完全再現への道」を公開した。内容は「板チョコアイス」を1からつくってみるというもの。制作したのは商品を“完全再現”することで人気のある動画クリエイター「Genの炊事場 SUIJIBA」さんだ。今回、インフルエンサーとの共創背景について森永製菓の加藤美紀子氏、企画に携わったオリコムの濱田晃希氏に話を聞いた。
※本記事は月刊『販促会議」2024年11月号 の抜粋記事です。
YouTube動画「板チョコアイス完全再現への道」のサムネイル。
「板チョコアイス」が発売されたのは1995年。見た目は板チョコのようだが、中身にはバニラアイスが入った、森永製菓の人気ロングセラーブランドだ。発売から25年間は秋冬限定での販売としていたが、売上の好調ぶりゆえに2020年春、通年販売へと踏み切った。
商品のこだわりを伝えたい 通年販売後の認知が課題に
しかし、通年化から3年ほどが経過した2023年秋頃。認知度の定着にはまだ課題が残っていたと、森永製菓で「板チョコアイス」のマーケティングを担当する加藤美紀子氏は語る。
「通年販売に切り替え、これまで以上に認知を獲得していく必要がありました。パキッと分厚いチョコを楽しめる特徴的な食感から、一定のファン層はいるものの、食べたことのない層やチョコが好きな潜在顧客にはまだまだ魅力が伝わりきっていないと感じていたのです」(加藤氏)。
そこで、これまで同ブランドをともに担当してきた、オリコムの濱田晃希氏に相談。プロモーション企画のアイデアについて濱田氏は、「当初はインフルエンサーを活用した施策が候補として挙がっていたわけではなかった」と話す。
「伝わりにくい商品の特徴やこだわりを知ってもらうには、商品の製造工程を映した工場見学のような動画が良いと思っていたんです。ただ、人気の工場見学動画は、認知度の高い国民的ブランドばかりで。また、当たり前ですが、製造過程を見せる必要がありました。
そのため、製造過程をなかなか見せられない上に、これから認知を伸ばしていきたかった『板チョコアイス』にとっては、工場見学動画は時期尚早の施策ではないかという結論に至ったのです」(濱田氏)。
企画が振り出しに戻ってしまったところ、濱田氏がYouTubeで偶然見つけたのが「Genの炊事場 SUIJIBA」氏だった。
「Genの炊事場 SUIJIBA」氏が「板チョコアイス」のチョコ部分を試作する様子。
※本記事の全文は宣伝会議デジタルマガジン からもお読みいただけます。
あえてインフルエンサーにアイスを再現してもらった理由
「Genの炊事場 SUIJIBA」氏は、2017年から料理に関する動画を投稿するYouTuber。中でも人気を集めるのが、一般流通商品やチェーン店で販売されているメニューを「完全再現」する動画シリーズだ。レシピがわからない状態からケンタッキーフライドチキンやコカ・コーラなどを手探りで再現しており、その完成度の高さやこだわり具合が人気を博している……
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