※本記事は月刊『ブレーン』2024年12月号特集「アップサイクルで循環する社会をデザインする方法」への掲載内容から抜粋してお届けします。
髪にも自然にも優しい商品を
サロンを軸に、へアケア・ハンドケア製品やコスメ、カフェ事業などを展開しているトータルビューティーカンパニーの「uka(ウカ)」。2024年7月に新たに「リジェネラティブ グッド」シリーズを立ち上げ、第一弾として「uka IZU Shampoo」「同 Conditioner」を発売した。
uka「リジェネラティブ グッド」シリーズの「uka IZU Shampoo/Conditioner for all hair types」。他にも、「for damaged hair」「Peppermint Fresh」「Anti-Itch」など、複数のラインを展開している。
「リジェネラティブ」とは「再生型の」を意味し、「地球環境を回復させて循環する方へ進むこと」を試みているという。具体的にはどのような取り組みなのか。
商品開発を進める中でuka 代表取締役CEO 渡邉弘幸さんは、抗酸化作用が強く、頭皮を健やかな状態にするのに有効だという落葉低木「クロモジ」に着目した。「伊豆の下田でクロモジという植物を育てている人がいる」という情報が入り、実際に下田に会いに行ったという。
その人物とは、日本自然環境保全協会の理事長で、元東海大学 海洋学部 准教授でもある佐藤延男さん。話を聞くと、佐藤さんがクロモジを育てる背景には下田の海の砂漠化(磯焼け)という課題があった。
「僕もそこで教えてもらったのですが、山と海の環境って、密接に繋がっているんです。どういうことかというと、山の間伐がされなくなると、森は暗くなり光が行き届かず、土壌が痩せてしまう。すると山から海に流れる水も栄養が少なくなり、海の砂漠化などを引き起こしてしまう。逆に山を間伐することで、日差しが戻り、落葉樹が生え、腐葉土になり、雨が降れば海に栄養が流れ込む。海藻が生え、貝やそれを捕食するタコが増えていく……といった具合です。そこで山の間伐を進めていくと、クロモジが生えてきたんだそうです。自然環境において、正常なターンオーバーがされ始めた兆しということだと思います」(渡邉さん)。
佐藤さんたちはクロモジに抗酸化作用があることを知り、蒸留を始めることに。その後も行政と連携し、継続的に間伐を行っている。
渡邉さんはこの取り組みを知り、ukaの新たなシリーズでこのクロモジを用いることにした。そうすることでukaの利益が下田地域の山や海の環境課題の解決に活用されると共に、地域経済の後押しに繋がると考えたためだ。さらにクロモジの蒸留を主な事業とする会社を共に立ち上げ、自身もリスクを背負い責任を持つ形で、環境と経済を共に回す仕組みを整えている。
そもそもukaでは、「あなたと私と地球が、もっときれいに、うれしくなることをふやしていきたい」というビジョンに則って・・・以降は月刊ブレーン24年12月号本誌、もしくはデジタル版記事(ご購読が必要です)でご覧ください。
この後のトピックス
・“綺麗すぎる”ストーリーがコミュニケーションの課題
・商品名をそのまま土地名にした理由
・メインビジュアル、ブランドムービーの考え方
月刊『ブレーン』2024年12月号
【特集】
アップサイクルで
循環する社会をデザインする方法
・廃棄物を「循環」の視点から見直す 「ゴミうんち展」
佐藤卓
・子ども服の廃棄を減らすサステナブル・レーベル
ゴールドウイン「GREEN BATON」
・「髪に良いことが地球にも良い」 再生を後押しするヘアケアブランド
uka「リジェネラティブ グッド」シリーズ
・デニムやTシャツも カカオのアップサイクルで地球環境に貢献
明治「ひらけ、カカオ。」
・初対面の際にも話題に? 食べられなくなった「米」を「名刺」へ
亀田製菓「Re Kameda」
・〈対談〉デザイナーが 環境問題のためにできること
清水彩香、八木彩
【青山デザイン会議】
地域発、アップサイクルの担い手たち
伊藤昌徳×田中達也×山本直人
詳細・ご購入はこちら※Amazonページに移行します。
11月28日・29日開催「宣伝会議宣伝会議サミット2024(冬) 東京」参加受付中【無料】
ソニー、ドン・キホーテ、リクルート、Jリーグなどが登壇!「ブランド価値の最大化」をテーマに、消費者との接点づくりや体験価値の創出などを中心としたコミュニケーション課題について議論を深めます。